「狩りの時間」イ・ジェフン、学生時代に恐怖体験も“怖い人に金をむしり取られた”

OSEN |

写真=Netflix
イ・ジェフンの言葉には、愛情がたっぷりこもっている。自身が務めた役柄ジュンソクを説明する俳優イ・ジェフンは、「狩りの時間」という映画にベストを尽くしたため、監督や他の俳優たちに対する愛情と尊敬に溢れていた。

イ・ジェフンは最近、Netflixを通じて公開された映画「狩りの時間」で、希望がない世界でさまよう青年ジュンソクを務めた。

彼は親友ジャンホ(アン・ジェホン)、ギフン(チェ・ウシク)、サンス(パク・ジョンミン)を率いるチームのリーダーで、強盗を計画して、緻密な計画を練って実践に移す。成功したように見えたが、ある日突然、謎の男ハン(パク・ヘス)が現れて危機に陥る。ジュンソクと友人たちは、困難を乗り越えて、願っていたユートピアにたどり着くことはできるだろうか。

イ・ジェフンは最近に行われたインタビューで、自身が演じたジュンソクに対して「ユートピアを夢見て、今の状況を抜け出そうとする人物です。私は作品を撮影している間、毎回これが最後で、これ以上見せれるものがないと思うほど力を注ぎますが、ユン・ソンヒョン監督はジュンソクを通じて、そんな私の情熱的な一面を見せたかったのではないかと思います」と明らかにした。

ジュンソクとギフン、ジャンホ、サンスは、日常で悪口をよく言うキャラクターだ。俳優たちの普段のイメージとは違い、予想外だという反応が相次いでいる。これに対しイ・ジェフンは、「私は荒っぽく悪口を言う人ではないのですが、『時々そんな姿をユン・ソンヒョン監督に見せたのかな?(笑)』『そんなキャラクターを、私を念頭に置いて書いたのかな?』と思いました」と話した。

そして「『番人』を撮影しながらさまざまな一面があったと思います。親切で優しい部分もあるけれど、腹が立ったり、この状況に対する不条理を表現する上で荒っぽくアピールした姿を、ジュンソクというキャラクターに注ぎ込んだと思います。ジュンソクは読んだ時に違和感がありませんでした。目標に向かって進んでいく姿があったので」と、自身の性格と比較した。

イ・ジェフンとユン・ソンヒョン監督がタッグを組んだのは、今回が初めてではない。2011年に披露した「番人」が、観客と評論家たちの好評を受けて、もう一度タッグを組むきっかけになった。

イ・ジェフンはこの日、「『番人』という作品を通じて、ユン・ソンヒョン監督に出会い、それが縁になって『狩りの時間』まで、兄弟のように過ごして来ました。次回作について話しながら、『当然するんじゃない?』と思いました。一緒にタッグを組む事になったら、何でも希望に答えて、役に立ちたかったです」とし、出演を決定した理由を明かした。「ユン・ソンヒョン監督が描いた『狩りの時間』という世界観を、早く見てみたかったです。他の作品よりも早く意志を固めました」と話した。

また「ユン・ソンヒョン監督の3作目、4作目の作品を早く観たいです。新型コロナウイルス感染拡大により、公開することは容易ではありませんでしたが、良い時期に公開することになって嬉しく思っています。今後、監督や俳優たちと一緒に、観客のみなさんと対話できる日を夢見ています。今後(ユン・ソンヒョン監督に)次回作に呼んでもらえなかったら寂しいです」と話した。

しかし、「狩りの時間」の中のジュンソクを表現する過程は容易ではなかったはずだ。ハンに追われる様子を表現する時、内面から湧き上がる不安、心配、憂鬱など、複雑な感情を表現しなければならなかったからだ。

これに対して、イ・ジェフンは「学生時代に怖い人に連れて行かれて、お金をむしり取られた経験があり、それに対する恐怖があります。人生で誰かに“狩り”をされるという体験はよくあることではありませんが、それに対する想像力を発揮する部分で正解はないので、限界まで追い込もうという結論を下しました。いままでも恐怖は十分にありましたが、もっとできるんじゃないかと思いました。大変でした。監督も追い込んで加減することなく、限界に対するチャレンジを続けました」と振り返った。

記憶に残るシーンについては、地下駐車場でハンと遭遇するシーンを選んだ。「子供たちが、ハンがどこにいるか警戒する場面があります。その時がとても寒い冬で、場所は駐車場の地下5階でした。(頭や背中の)後ろから陽炎が立っていましたが、それは体から熱を放出して蒸気が上がって見えたものでした。それを見て不思議に思いましたし、『人が死を控えている状況って感じなのかもしれない』と思った」と話した。

イ・ジェフンは「番人」のギテ、「狩りの時間」のジュンソクを通じて、比較的に強烈で強い姿を見せた。これまでの映画とドラマでは、見せたことのない一面だった。特にユン・ソンヒョン監督の映画だけで、その一面を見せている理由が気になった。

「作品ごとにメインで見せる性格があり、部分的な要素では荒っぽい性格もお見せしたことがあると思います。『番人』での荒っぽく強いイメージが強烈に印象付けられていて、そのような姿をメインで見せる作品を期待されていたと思うけれど、片方ではユン・ソンヒョン監督との『狩りの時間』を通じて、もしギテが生きていたらこんな姿だったのかな?と思わせたかったんだと思います。ユン監督だから(私のそんな姿を)引き出して表現することができたんじゃないかと思います。今後の作品でも荒っぽい一面を見せることがあるかと思います(笑)」

長い時間が経っても「番人」に対する愛情と関心は変わらなかった。「『番人』は2010年に撮影しました。短編映画を撮りながら、俳優に対する夢を育んでいた時期でした。長編映画の主人公をするという重みを抱えながら、役者として一段と跳躍する時期にユン・ソンヒョン監督に会うことができて、前に進む重要な時期でした。(『番人』は)私という役者の基盤を築いたきっかけにもなったと思います。映画に接する態度、姿勢、自身の何もかもを投げ出す姿は、ユン・ソンヒョン監督を見ながら演技の面でも影響を受けました」とし、ユン・ソンヒョン監督に対する感謝の気持ちを表した。

イ・ジェフンは「狩りの時間」の結末について、自身の考えを打ち明けた。

彼は「撮影前後にストーリーボードを見て台湾に行って、ジュンソクが感じる状況を現実的なものに例えて考えようとしました。諦めることもできたのに、好きなことに戻ってしまう、ある意味で運命だと思いました。役者として(撮影中や他のことでも)自身を苦しめてしまう考えをすることがありますが、これじゃなければダメだからとか、自分が後戻りするしかないとか、これに最善を尽くして自分自身に恥がないか考えながら、最後のシーンを撮影しました」と答えた。

記者 : キム・ボラ