「正直な候補」キム・ムヨル、初のコメディジャンルに挑戦“笑いが起きないシーンは投票で変えることも”

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「“コメディポシレギ(ポシレギは韓国語で赤ん坊、転じて新人という意味)”という言葉は、良い意味ですよね? 本当に感謝しています。俳優は新しい姿を届ける事が仕事であり、義務だと思っています」

俳優キム・ムヨルは180度変わったイメージチェンジを恐れなかった。むしろ明るい撮影現場の雰囲気のおかげで「(新しく挑戦した演技を)苦労なくこなせました」と謙遜した。

最近、キム・ムヨルはソウル鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)で行われたメディアとのラウンドインタビューで、映画「正直な候補」に関する話や、人としてのキム・ムヨルの率直な一面まで、すべてを伝えた。

「正直な候補」は嘘をつくことが一番簡単だという、当選3回目の国会議員チュ・サンスク(ラ・ミラン)が選挙を控えたある日、一夜で嘘がつけなくなるようになってから繰り広げられるドタバタコメディ映画だ。キム・ムヨルは雨の日も雪の日もチュ・サンスクの傍を守る熱血補佐官のパク・ヒチョル役を演じた。

舞台やスクリーンを通じ、精力的な活動を展開しているキム・ムヨルだが、正統派コメディを演じたのは今回が初めてだ。これについてキム・ムヨルは「コメディはミュージカルジャンルが基盤となる要素です。本来、ミュージカルは雰囲気が明るいので、すぐに慣れる事ができました。チャン・ユジョン監督の作品だったので良かったです。演技をしていると、脚本家の意図がある程度把握できる部分があります。とても共感できたし、逆に監督が(僕の演技を)どのように見てくれているのか気になっていました」と謙遜した。

新しい雰囲気の作品であったため、キム・ムヨルが演技に臨む姿勢も特別だった。キム・ムヨルは「(大きく)欲張ったりはしませんでした。共感を得ることができないコメディは、ふざけているだけだと思われるかもしれません。なので、この作品はファンタジー的な要素を持っている作品であり、できるだけリアルな雰囲気を出そうとしました。状況の中で、危機感溢れる雰囲気が出るように気を配りました」と語った。

同作でキム・ムヨルはラ・ミラン、ナ・ムニ、ユン・ギョンホらと共演した。特にキム・ムヨルはナ・ムニの存在感、演技への情熱を絶賛した。

「ナ・ムニ先輩と共演したのは今回が初めてでしたが、存在そのものにとても救われました。作品の軸になる方だと思います。最も驚いたのは、(ナ・ムニ先輩が)これまで会った俳優たちの中で、最も練習を多くする方であることでした。休憩時間の間、ずっと(ナ・ムニ)先輩と台詞のやりとりをしていました。本当に尊敬しています」

キム・ムヨルはラ・ミラン、ユン・ギョンホについても忘れなかった。キム・ムヨルは「ユン・ギョンホ兄さんは、無表情でいる時は怖く感じるかもしれませんが、本当に温かく配慮のある方で、一緒にいるととても楽しいです」と伝えた。ラ・ミランについては「相手役のラ・ミラン先輩にとても支えられました。コメディの演技に対する心配が、(ラ・ミラン先輩のおかげで)和らぎました」と明かした。

俳優たちの完璧な相性のおかげだろうか。キム・ムヨルは映画公開前からすでに“コメディポシレギ”という肩書を手にした。「ポシレギ」という単語の意味がよく分からず当惑したキム・ムヨルは「良い意味」という説明に明るく笑った。

「コメディポシレギですか? そのように見てくださったら本当にありがたいです。でも、実は僕は今回の作品で本当にほぼ何もしませんでした。新鮮な刺し身を生で食べる(韓国語で苦労しないで何かを得るという表現)という言葉がありますよね? 本当に素晴らしい俳優たちと一緒だったので、僕は言葉通り“生で食べれて”、上手くいかないという部分もありませんでした」

愉快なコメディ映画であるだけに、撮影現場の雰囲気もとても明るかったという。しかし、完璧な作品に仕上げるための意見の対立も少なくはなかった。

これについてキム・ムヨルは「(1つのシーンを)複数のバージョンで分けて撮影しました。現場の雰囲気が凍りついたり、スタッフの誰一人も笑わない場合は投票もしました。最近の現場の流れはとても速いので、(このような部分が)難しかったですが、スタッフのみなさんがとても協力的でした」と伝え、スタッフのおかげであると感謝した。

意見の対立があると、いつも誰が勝つのかという質問を受けると、キム・ムヨルは悩まず「いつも監督が勝ちます」と強調した。チャン・ユジョン監督の溢れる情熱に関するエピソードも公開した。

「僕たち同士で、体育大会を行ったことがあります。年齢別、性別でチームを分けて対決しましたが、監督はいつも1位でした。実は、監督の趣味はマラソンで、僕と初めてミーティングをした日も朝ハーフマラソンを走ってきたんです。監督の(このような)情熱に惚れて作品を選んだのだと思います」

「正直な候補」はコメディ映画だが、「国会議員」「選挙」という題材であるため、政治に言及せざるを得なかった。キム・ムヨルは「この映画は、政治色を持たない映画です」と強調し、政治について率直に語った。

また「この映画は『正直な候補』というタイトルですが、政治の物語ではなく、有権者たちの映画です。僕は普段政治に関心を持とうと、とても努力しています。“正直な候補”を作れるかは、僕たちにかかっていると思います。少なくとも、自分が暮らしている町がどのように動いているかには関心を持つべきだと思います」と強調した。

キム・ムヨルは「(今回の作品で)コメディジャンルへの親近感が沸きました。(観客が)僕に親しみを持つことができれば、コメディジャンルに(演技の幅を)広げられる可能性があるのではないでしょうか」と伝え、今後正統派コメディの作品にもどんどん挑戦していきたいと打ち明けた。

俳優キム・ムヨルではなく、人としてのキム・ムヨルに関する質問も続いた。「キム・ムヨルは正直な人か?」という質問を受けると「違います。常に正直でいることはできません。しかし、正直になるべき時は正直です。時々、善意の嘘をついたりする時はあります」と打ち明けた。

本来お酒が好きだが、健康のために3年前から禁酒しているというキム・ムヨル。彼は「バスケットボールをよくします」と普段の趣味についても明かした。

「僕はバスケットボールをします。目的を持ってみんなで動き、ボールが網の中に入る時、何かが解消されるような気分になります。若い頃から所属していた一般のバスケットボールチームがありますが、親善試合もたくさんやっています。実は、1年ほど(体育館を)共同で借りてバスケットボールをしていたチームがありましたが、その方々は1年間ずっと僕が誰なのかに気付いていませんでした(笑)」

妻である女優ユン・スンアに関する質問に対し、照れた笑顔を見せた。ユン・スンアは試写会を通じてすでに「正直な候補」を見たという。キム・ムヨルは「(ユン・スンアは)ラ・ミラン姉さんが大好きです。撮影を終えると、その日にあったことを(妻に)話します。(今回の)現場は、常に面白いことだけがあって、楽しい話だけしていた覚えがあります」と振り返った。

他に、過去お酒を飲んだ状態でSNSでユン・スンアに告白をしたことに触れると「それは消すことができません。良い結果に繋がって何よりです」と言い、愉快な笑いを届けた。

最後にキム・ムヨルは「実は、僕の夢は俳優です。着実に演技を届けることができるということに、十分感謝しています。本音を言えば、もっとたくさんの作品に出演したいです」と付け加えた。

記者 : キム・ミンジュ