アメリカ・ロサンゼルスで10日（日本時間）開かれた「第92回アカデミー賞」授賞式で、ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」が、最も注目される作品賞を含む4冠に輝き、韓国映画の歴史だけでなくアカデミー賞の歴史も塗り替えた。

「パラサイト 半地下の家族」は、世界の映画産業の頂点であるハリウッドで、外国語映画という壁とオスカーの長い伝統を打ち破り、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞（旧 外国語映画賞）の4部門で受賞する栄光を成し遂げた。

韓国映画は、1962年のシン・サンオク監督作品「離れの客とお母さん」以降、アカデミー賞に挑戦し続けてきたが、受賞はもちろんノミネートされたのも今回が初めてだ。

こうした中で「パラサイト 半地下の家族」が、英語以外の外国語の映画として初めて作品賞を受賞し、オスカーに新たな歴史を刻んだ。

また「カンヌ国際映画祭」の最高賞であるパルムドールの受賞作が、アカデミー賞作品賞を同時受賞したのは2作目で、1955年の「マーティ」（アカデミー賞受賞は1956年）以来、64年ぶりとなる。

アジア系の監督が監督賞を受賞したのは、台湾出身のアン・リー監督以来2人目。アン・リー監督は、ハリウッド映画「ブロークバック・マウンテン」（2006）と「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」（2013）で監督賞を2回受賞しているが、「パラサイト 半地下の家族」は全編韓国語の純粋な韓国映画という点で、より大きな意味がある。アジア系の脚本家が脚本賞を受賞したのも「パラサイト 半地下の家族」が初めてだ。

ポン・ジュノ監督は、共同で脚本を手掛けたハン・ジンウォン氏と共に脚本賞を受賞し「シナリオを書くということは、実は孤独で寂しい作業だ。国を代表して書いたわけではないが、韓国にとって初のオスカーだ」と語った。

「パラサイト 半地下の家族」はアカデミー賞で美術賞と編集賞にもノミネートされたが、惜しくも受賞を逃した。

同作は、家族全員が無職のキテク（ソン・ガンホ）一家の長男（チェ・ウシク）が、家庭教師の面接のためにパク社長（イ・ソンギュン）の家を訪れたことから始まる、予期せぬ事件を描く。貧富の差という普遍的な問題を取り上げた作品で、共生できず、寄生するしかない社会の構造に対する問題意識を、ブラックコメディーという形で浮き彫りにした。

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