「南山の部長たち」イ・ビョンホン“新人時代はルックスに批判も…今では監督に褒められるように(笑)”

TVREPORT |

写真=SHOWBOX
“演技の第一人者”“韓国のジョーカー”“南山のイ・ビョンホン”など……。映画「南山の部長たち」の主演イ・ビョンホンの演技に称賛が相次いでいる。

「南山の部長たち」は1979年、第二の権力者と呼ばれていた中央情報部長が、韓国大統領暗殺事件を起こすまでの40日間のストーリーを描く映画だ。イ・ビョンホンは劇中、中央情報部長キム・ギュピョン役を演じた。韓国の軍人・政治家のキム・ジェギュをモチーフにした人物だ。

ノワール的なこの映画でイ・ビョンホンの顔はより際立つ。第二の権力者として閣下に対する忠誠心で生きてきた人物が暗殺者に暴走する過程をイ・ビョンホンは繊細な感情演技で表現した。

この過程で見せたイ・ビョンホンの演技はまさに素晴らしい。髪の毛一本、目を瞬く動作一つまで、イ・ビョンホンは全てを計算して演技したようにみえる。彼は毎回自分の限界を超えながら人生のキャラクターを更新している。

――実在する人物を演じることにおいて、プレッシャーはありましたか?

イ・ビョンホン:「天命の城」と「王になった男」などに出演したけれど、近現代史の実在人物を演じるのは初めてです。プレッシャーがすごかったです。まだその時代を生きた人々が生きているので、事実を歪曲したり、逆説的にミステリアスなまま残っている部分をこの映画が規定してしまったらいけないと思いました。そのため、どの撮影よりも慎重に行ったと思います。

――キム・ギュピョン役の出演オファーを受けた時、どう思いましたか?

イ・ビョンホン:僕は映画を選ぶ時にストーリーを見て、自分が演じるキャラクターを見て、本当にこのような感情を演じてみたいと思いました。とても繊細な心理や人物同士の葛藤、そういったことを非常にドラマチックに感じましたし、魅力的だと思いました。

――人物をどう理解しながら演じましたか?

イ・ビョンホン:まず基本的にシナリオに出ている中で遊ぼうと思いました。自分がどう理解したと思わず、シナリオに書かれた通りに最善を尽くそうと思いました。シナリオを読んだ時も、映画を観た後も「どうしてそんなことをしたか」は議論になるところだと思います。

――エンディングシーンの前まではずっと節制した演技を見せますが、容易ではなかったと思います。

イ・ビョンホン:爆発する時は爆発するけれど、息苦しいほど自身を抑えて自制するじゃないですか。それを表現するのは俳優にとってとても難しいことかもしれません。でも自分の個人的な考えや感情を加えるのはいけないと思いました。近現代史の大事件だったし、実在していた人物であるため、シナリオに書かれているまま最善を尽くして、その中で演技しようと思いました。

――“韓国のジョーカー”という好評もあるようです。

イ・ビョンホン:初耳です。とても嬉しい称賛で、光栄ですね。

――キム・ギュピョンはどうして中央情報部ではなく、陸軍本部に行ったのか? というシーンの表情が印象的でしたが、どのように演じましたか?

イ・ビョンホン:無の状態ではないかと思いました。映画の後半に正気ではない感じでどんどん進められていきますが、キム・ギュピョンは2回くらい主観的ではなく、客観的になって状況を見ます。血に滑って光景を見知らぬ感じで見る瞬間と、車で血だらけになった靴下を見ながら埃がついたと言う瞬間です。主観と客観を行き来する感じだったと思いました。

――暗殺するシーンが演劇的にも見えました。

イ・ビョンホン:長い時間を1カットでいきました。すごく技術的な部分なんですが、監督が1カットに繋ぎました。カメラ監督や監督が非常に念入りに撮影しました。だからもっと演劇的に見えたかもしれません。この映画に僕の個人的な考えは一つも入っていませんが、滑った部分だけは監督と相談して入れました。

――髪の毛を触るシーンが多いですが、どんな意味を持っているのですか?

イ・ビョンホン:実在人物の映像を見ました。ヘアセット剤を使えないので、長く伸びた髪の毛をめくる姿を見ました。髪の毛一本が滑って落ちるのにも耐えられない姿が非常に敏感で神経質な感じを与えると思ったので、そういった部分を参考にしました。

――ルックスが実在人物とそっくりではないですが、シンクロ率は意識しましたか?

イ・ビョンホン:その点に対して監督とカメラテストの前にたくさん話し合いました。監督に「声や言い方も僕がキャラクターに合わせた方がいいのか、そのまま行った方がいいのか」と聞いたら、監督に「そのままの方がいい」と言われました。ヘアスタイルやメガネなど重要な部分だけを参考にしました。

なのでルックスのシンクロ率は考えませんでした。ですが、当時その人物が持っていた感情や心理状態に最大限近づくために努力しました。僕たちが知っている様々な資料やドキュメンタリー、実際の映像、そして色々なところから聞いた証言も全て役に立ちました。実際の状況を知らないので厳しい部分はありましたし、こうだったのでは? と推測する点もありましたが、彼の心理状態に近づくために努力しました。

――俳優イ・ヒジュンさんと揉めるシーンの撮影はどうでしたか?

イ・ビョンホン:僕も体に擦り傷がいくつかあります。シナリオを読んだ時も、撮影をどうすればいいのかと思いました。普通のアクションみたいに事前に約束した動作があるわけではなく、ただ揉めて倒れるシーンでした。セリフもよれたし、極度の興奮状態だったのでめちゃくちゃだと思いました。実際やってみたらその通り、めちゃくちゃでした(笑)。でも監督はそのめちゃくちゃなところが気に入ったみたいです。

――体重を25kgも増やしたイ・ヒジュンさんの姿にたくさん笑ったと聞きました。

イ・ビョンホン:登場するキャラクターが皆とても深刻で、真剣で緊張感が溢れるこの映画で、クァク室長(イ・ヒジュン)が失笑を与えてくれる役でした。あんなに太ると発声も歩き方もだいぶ変わりました。話しぶりやトーンを変化させたいと思ったのかもしれませんが、僕たちは実際の彼を知っているからもっとおかしかったです。ヘリコプターに向かって走るシーンは深刻なシーンなのに、後ろ姿がすごくおかしかったです(笑)。

映画を観た直後、イ・ヒジュンさんに「君が大きな役割をしたようだ」と言いました。極端で深刻な状況の中でイ・ヒジュンさんが少し休めるポイントを作ってくれたと思います。撮影当時、食事の時間に苦しむ姿を見ました。宿題のようにぐいぐい食べていましたが、途中からは食事の量を減らしていました。次の撮影があるからと。食事にたくさん苦労していたようです。

――クローズアップが印象的でしたが、表情変化を計算するタイプか、それとも自然に出たものですか?

イ・ビョンホン:クローズアップが多い作品では、自分が何かを見せようとした時、拒否感を感じることが多いです。極端なクローズアップは実際と異なりますから。実際に見てもその人の感情が読めない時がありますが、クローズアップはその感情を持っているだけでも伝わる場合が多いです。俳優としては不思議なマジックのような経験です。
 
――「南山の部長たち」はノワール的な感じが強いですね。ノワールが好きですか?

イ・ビョンホン:この映画の感情や情緒が一番似ているのは映画「甘い人生」だと思いました。ノワールが持っている感情、忠誠や裏切り、愛憎など結構様々な感情があるじゃないですか。その心理、感情を演じたい欲があります。

――俳優としていつも“第一人者”だったと思います。第二の権力者の気持ちを感じるときはありますか?

イ・ビョンホン:僕はそういうふうに考えたことはありません。そう生きると息が詰まると思います。僕がそう言ったことに拒否感を持っているからかもしれませんが、第一、第二と分けることは好きではありません。息が詰まる状況は好きではないです。そうなると何もできなくなりそうなので。

――自ら考える俳優としての1番の長所は何ですか?

イ・ビョンホン:新人の時、放送局の照明監督が非常に気難しい方でした。僕に「そんな独特な顔でどうやって俳優になれたのか分からない」と言いました。グロテスクだとも言われて。ある時は怒ったりもしました。ですが、歳月が経って映画監督の方々が「角度によって様々な顔が出るからいい」と褒めてくれました。最初は怒られると思って緊張しましたが、それがいいと言ってくれたので良かったと思いました(笑)。

――映画「白頭山」と「南山の部長たち」の間隔が短いですが、人々に「白頭山」のイメージは捨ててほしいですか?

イ・ビョンホン:いいえ。俳優は自分が出演したどの映画にも愛情を持ってます。「白頭山」は娯楽映画ですが、そこのキャラクターを愛するファンの方もいると思います。ただ、あまりにもすぐに違うキャラクターが公開されたので残念だとは思います。お笑いへの欲が増えたように見える? お笑いへの欲が増えたわけではありません。人々が知らなかっただけです!(笑)。

記者 : ソン・ヒョジョン