「ホテルデルーナ」脚本家ホン姉妹“チャン・マンウォル役はIUでなければならないと思った”

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写真=CJ E&M
「ホテルデルーナ」を執筆したホン・ジョンウン・ホン・ミラン姉妹(以下、ホン姉妹)が、エンディングからシーズン2の可能性まで、ドラマ「ホテルデルーナ」の様々なビハインドストーリーを明らかにした。

韓国で最近放送が終了したtvN土日ドラマ「ホテルデルーナ」は、エリートホテリアのク・チャンソン(ヨ・ジング)が、運命的な出来事でホテルデルーナの支配人を務めることになった月のように孤高で美しく、変わり者の社長チャン・マンウォル(IU)と共にデルーナを運営していくことで起こる特別なストーリーを描いた作品である。

KBS 2TV「快傑春香」、SBS「マイガール」、MBC「ファンタスティック・カップル」、KBS 2TV「快刀ホン・ギルドン」、SBS「僕の彼女は九尾狐」、MBC「最高の愛」、KBS 2TV 「ビッグ」、SBS「主君の太陽」、MBC「幸せのレシピ~愛言葉はメンドロントット」、tvN「花遊記」などを執筆したホン姉妹の次期作で、今年の夏を席巻するホロマンス(ホラー+ロマンス)という点で、放送前から多くの期待を集めていた。

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ベールを脱いだ「ホテルデルーナ」は、斬新な台本と素晴らしい演出、演者たちの熱演が相乗効果を生み出して話題を集め、最終話がニールセン・コリア有料プラットフォーム世帯全国基準平均12% 、最高13%で、自己最高視聴率を更新したことはもちろん、今年のtvNドラマ視聴率1位を獲得して有終の美を飾った。

何より「ホテルデルーナ」は最終話のエピローグにキム・スヒョンが「ホテルブルームーン」の社長として登場して、シーズン2に対する期待を高めた。これに対してホン姉妹は最近、ソウル麻浦(マポ)区DDMCで行われたラウンドインタビューにて「まだ具体的にシーズン2を制作しようと思っているわけではありません。「月の旅館は続く」という意味で作ったシーンでした。エンディングはCGが入るので、1ヶ月ほど前に事前に台本を渡しており、キム・スヒョンさんが特別出演をしてくれるということで、私たちも驚きました。文字通り特別な出演だったと思います」と説明した。

しかし、彼女たちはすぐに「ホテルデルーナの社長が女性だったため、ホテルブルームーンのキム・スヒョンさんの登場を見て、『男性が社長をしてみるのも面白いかもしれない』とは思いました」と付け加え、次回作への期待を高めた。

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続いてホン姉妹は、豪華だった特別出演のラインナップに対して、「オ・ジホさんは特別出演という割には出番が多かったのですが、それは私たちが直接お願いしたことでした。他の方々は監督や出演者の方々の親交と人脈で繋がっていました。私たちも驚くほどラインナップが良かったと思います。キム・ジュンヒョンさんが私たちのドラマに最初から最後まで言及されていました。『ファンタスティック・カップル』のジャージャー麺のような愛の媒介が欲しいと思っていましたが、それがキム・ジュンヒョンさんになりました。感謝を伝えたいです」と話した。

また、ホン姉妹は胸の痛む別れの後、チャン・マンウォルとク・チャンソンが再会する様子が収められたエンディングに対して、「リドル・ストーリー(作中で明確な答えが示されないまま終わる物語)ではありません。2人のロマンスは、出会った時から別れることが決まっていたので、最後のエンディングはク・チャンソンの幻想です。“実際は存在しなかった”、そんな美しい幻のシーンとして受け入れてほしいです。『将来、いつかは訪れるのではないか』ということを見せたかったのであって、結論ではないです。最初から無理やりハッピーエンドにするつもりはありませんでした。『ホテルデルーナ』の世界観に最も適した結末だと思います」と、物語の真相と脚本家ならではの考えを明らかにした。

また「普通のドラマでは、男女の主人公が出会って結婚して、最後まで幸せに暮らしました、という結末がハッピーエンドですが、『ホテルデルーナ』は最初からク・チャンソンがチャン・マンウォルから離れる役として決まっていました。別れを前提にした恋愛であり、2人がそのことを知っていたため、他のロマンスと異なる感性をお見せできたのではないかと思います。2人が手を握っただけでも悲しく見えた理由は、別れを前提に出会ったということを俳優たちもよく理解していたので、より切なく表現されたと思います」とコメントした。

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それと共にホン姉妹は、IUとヨ・ジングに対して「2人とも感性が良く、若いのに経歴も多くて、私たちが想像していたよりもはるかに上手く演じてくれました。IUとヨ・ジング自身が心が優しくて配慮ができる人でした。2人ともお互いへの思いやりがあって、一段とケミ(ケミストリー、相手との相性)が生かされていたと思います」と絶賛した。

まず、主役であるチャン・マンウォルを務めたIUに対して「女優を見てからキャラクターを作ったわけではないです。しかし、キャスティングをする際に『IUさんでなければ進まない』と思いました。チャン・マンウォルが持つ感性をIUという女優なら埋めることができると思いました。チャン・マンウォルが月齢樹の前に一人で立っているシーンでは、視聴者にも悲しい感情が伝わらなければなりませんでしたが、それがIUさんの情緒にぴったりだったので、最初からチャン・マンウォルはIUさんに演じてほしいと思っていました」とキャスティングした理由を語った。

更に、「tvN『私のおじさん』で見せた寂し気な演技は、安定した演技力を感じましたし、歌手IUとしてステージで見せるカリスマ性も素晴らしかったので、『チャン・マンウォルを務められる20代の女優はIUさんだ』と思いました。また、神秘的な雰囲気があったので、それも合わされば個性的なキャラクターが誕生するだろうと思いました。IUさんが勇気を出してくれたことに感謝しています」と語った。

また、ク・チャンソンを演じたヨ・ジングに対しては「ヨ・ジングさんは彼自体がク・チャンソンを務める上でぴったりの人物でした。私たちは切実に彼が出演してくれることを望んでいたし、tvN『王になった男』の撮影中だったので焦りを感じながら待っていましたが、終わると同時に『出演OK』の返事を貰って嬉しかったです。待っていたIUさんも喜んでいました。最初からIUとヨ・ジングという組み合わせで50%は成功を確信した状態でスタートしました。このドラマを通じてお互いにメリットがあったと思っています」とコメントし、強い満足感を表した。

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しかし、ストーリーが進むにつれて、このような議論は消え去った。ホン姉妹は前作をはじめ、今回の「ホテルデルーナ」まで続いた類似性の指摘に対して「『ホテルデルーナ』は、『僕の彼女は九尾狐』『主君の太陽』『花遊記』など、前作に多くの基盤を置いています。“ホテルに幽霊が来る”と言った時、別の漫画があると言われましたが、それはその前にもあったはずです。例えば『千と千尋の神隠し』もその一つだと思います。『ホテルデルーナ』は、『主君の太陽』の時から考えてきた題材であり、私たちが積み上げてきたファンタジーで作られました。ドラマを観たら完全に違うことは分るのに、“議論になった”と言うだけで、具体的な真実を考えずに噂が広まり、悔しい部分もありました。ですので訴訟もして、きちんと終わらせて、これからこのような話が出たらもっと厳正に対応しようと思いました」と意志を語った。

また、彼女らは「題材だけで『類似している』と言われたので、私たちとしても悔しい部分がありました。題材以外は似ている部分は全くないのに、一度記事になったらずっとレッテルを貼られて、私たちが「違う」と主張できる場もほとんどありません。なので、私たちがある程度は妥協しなければならない部分だと思っています。『快傑春香』の場合も、『春香伝(チュニャンヂョン)』をモチーフにしていますが、それがすべて同じ話ではありません。だから悔しいと思っています。また、創作をする時にどんな話があるのかチェックすることが、最近は現実的に不可能です。有名な作品ではなく、ブログ、ウェブ小説などもあるのに、それを全てチェックすることは不可能です。題材というのは皆で共有することができるものだし、それを使えないというのはどうかと思います。ファンタジーを作る際、その部分において自律性を持たせてほしいと思います。最初から題材だけでフレームをかけて、脚本家を悪者にする状況は起きて欲しくありません。私たちが何度も『違う』と言っても、言い訳のようにしか見えないので、このドラマがどこでインスピレーションを得たのかを説明することが、汚名を晴らす最も良い方法だと思っています。『ホテルデルーナ』は、私たちが『僕の彼女は九尾狐』から積み重ねてきたストーリーです」とアピールした。

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この他にも継続してファンタジージャンルを出している理由に対して、「ファンタジーの空間が、ドラマの環境上、想像力をそのまま発揮して制作することは簡単ではありません。ですので幽霊のように、生きている人とあまり差別性がないファンタジードラマを作ることが、条件上最も簡単ですし、人々にも簡単に受け入れられる部分があります。私たちが“幽霊や死後の世界が好きだから”ではなく、“ファンタジージャンルに最も適した題材だ”と思っているため、それをさらに発展させて活用しようと考えています。エピソードドラマは、ジャンル物である刑事物や医学物があります。幽霊をテーマにすると、エピソードごとに様々なジャンルが一つずつ演出可能になるので、私たちはそれを解くことが面白くて、活用するようになりました」と説明した。

最後に、彼女たちの次回作に対しては、「次は少し『美男<イケメン>ですね』のような物語を、もっと歳を取る前にやってみたいです。幽霊が登場する話も、舞台を時代劇にするのも良いと思いいます。しかし『ホテルデルーナ』を披露して間もないので、何をするかは引き続き考えてみようと思います」とし、これからの活躍に期待を高めた。

記者 : キム・ナヒ