チョン・イル、除隊後初の主演作「ヘチ」が日本初放送!“褒めてもらうと、もっと頑張るタイプです”

Kstyle |

2018年11月30日に除隊したチョン・イルの最新主演ドラマ「へチ」が、本日より日本で初放送される。今回ドラマのPRと日本で除隊後初のファンミーティング開催を兼ねて来日したチョン・イル。忙しいスケジュールの合間に、Kstyleのインタビューに応えてくれた。ドラマの撮影秘話からプライベートな話まで、たっぷりと語ってくれた。

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――軍隊除隊後、たくさんのオファーの中から復帰作に「ヘチ」を選んだ理由を教えてください。

チョン・イル:最初にオファーを受けたのは、昨年の夏でした。「ヘチ」を選んだ一番大きな理由は、キム・イヨン作家と一緒に仕事がしたいと思ったからでした。また、これまでたくさんの英祖に関連する作品や本を読んできて関心もあったので、一度挑戦してみたいと思いました。多くの方が、僕が復帰作に現代劇ではなく時代劇を選んだ理由を気になっているようですが、俳優はジャンルにこだわるというより、「いい作品に出る」ということを第一に考えるもの。今回もその結果だと言えます。

――「ヘチ」を通じて、キム・イヨン脚本家とたくさんの話をしたと思いますが、特に印象に残っている話は?

チョン・イル:イヨン作家から、今回、演技に対するお話をたくさんしていただきました。僕は「思いっきりハイキック!」でデビューしたこともあり、演じる時に分かりやすい表情や仕草をする傾向があったんです。そんな僕にイヨン作家は「表情で演じるのではなく、心で演技する、つまり気持ちで演技をした方がいい。心で演じてみて」とアドバイスをくださったのが、とても役に立ちましたね。また僕の長所は目がすごく澄んでいること、「目がいい俳優」だともおっしゃってくださいました。

――キム・イヨン脚本家が、チョン・イルさんのことを「演技するときにびっくりさせる才能がある」とおっしゃっていたそうですが、具体的にどんなことなのでしょうか?

チョン・イル:兄である景宗が死ぬシーンを観ておっしゃってくれた言葉です。劇中、弟が死んで、父親が死んで……イ・グムの家族は、みんな死んでしまいます。そのせいでイ・グムは心を痛めるのですが、そのシーンを観て「この子は顔ではなく、心で演じているな」と思ったそうです。今まで脚本を書く中で、こんな気持ちになったのは初めてだったと。基本的に俳優は、自分が見せられる感情80%にテクニックをプラスして演技をします。でも僕が心で悲しみを表現するのを観て、とても驚いたとおっしゃっていました。

――このシーンの撮影現場はどんな感じだったのでしょうか?

チョン・イル:シーンを撮る時、普通はフルショットから撮影を始めるのですが、そのシーンは特に重要な感情シーンだと思ったので、上半身(タイトバストとバスト)から撮影したいと僕から相談しました。テクニックで演じることもできますが、そのシーンは特に心を込めないといけないと思ったんです。そういう感情は何度も出てくるものではないので、最初に表情を中心に撮ってもらい、そのあとフルショットで撮ってもらいました。

――実在の人物を演じることにプレッシャーはありませんでしたか?

チョン・イル:イヨン作家も「新たに創造した人物だ」とおっしゃっていましたし、実在の人物だからと気負うのはやめようと思いました。今まで英祖という人物はすごく厳しくて、息子も殺すことのできる冷徹な王として描かれてきました。でも僕とイヨン作家が描きたかった英祖は、人間味があって、明るくて、他人を理解し思いやりのある人物です。そういう面が視聴者の方々に共感されたのではないかと思います。

――具体的にはどんな風に役作りをされましたか?

チョン・イル:英祖に関連する本をたくさん読んだり、作品を観たりしました。ただ若い頃の英祖の話はあまり出てこなかったので、ソン・ガンホ先輩が年老いた英祖を演じられた映画「王の運命―歴史を変えた八日間―」で、ユ・アインさんが演じた英祖の息子である思悼世子の姿を参考にしました。一般的に息子は、お父さんに似るといわれるので、若かりし頃の英祖と息子が似ているのではないかと考えたんです。ただ同じ“英祖”という人物でも、監督や作家、俳優によってキャラクターはいくらでも変化するものなので、「こういう演技もあるんだな」と考える程度にして、そのまま反映しようとは思いませんでした。

――普段も、同じように役作りされているのでしょうか?

チョン・イル:普段も作品に入るとき何か参考にはしますが、そのまま反映するということはなく、常に新しく創られた人物を描こうと努力をしています。主人公として英祖の若かりし頃を描いた作品は、多分これが最初ではないかなと思います。なのでイヨン作家と僕が気になったことを擦り合わせながら、たくさん話し合ってキャラクターを作り上げていきました。台本読みをした後、作家さんと一緒にキャラクターを作り上げていくというのは、デビュー以来はじめてのことでした。作家さんは、僕だけでなく他の俳優の役作りも手伝い、各キャラクターがより深みを増すように助けてくれていたので、とても有難かったです。

――オススメのシーンをおしえてください。

チョン・イル:ドラマをご覧になるとお分かりになると思いますが、僕がすごく活躍します!(笑)弟が死に、父親が死に、それによって自分が世子となり、民のために声を上げ、王になる。本当に毎話毎話、大きな出来事が起こるので、毎瞬間が名シーンだと思います。一つを選んで話をするのが大変です。僕が韓国でインタビューしたときにも申し上げたのですが、本当に毎話! 名場面があります。

――1番楽しく撮影したシーンは?

チョン・イル:ムンスやヨジやタルムンといった仲間が、僕を王にするために「アベンジャーズ」のように動くシーンがあるのですが、そういうシーンを撮るときはやはり楽しかったですね。みんな僕と同じような世代の俳優なので、演技の呼吸も合いましたし、楽しく演じることができました。


ドラマ撮影後は…ひとりでスペイン旅行

――共演者の方々とは、いかがでしたか?

チョン・イル:劇中で対立関係にあるイ・タン役のチョン・ムンソン先輩は、劇中では常にぶつかっていましたが、撮影現場では演技に関する話をしたり、すごく仲のいい「ヒョン(アニキ)」でした。ドラマが終わっても連絡を取り合っていて、本当に助けていただいた方の1人です。またイ・ギョンヨン先輩とは、以前作品を一緒にやったことがありましたが、その時は途中降板されたので、少しの間しか共演できませんでしたが、今回またご一緒できてうれしかったです。本当にカリスマ性が溢れる方です。そして実は、僕の大学の先輩でもあって、本当に愛情を持って接してくださいましたし、演技をしながらも「息がぴったりとは、こういうことをいうんだな」と思わせてくれる先輩でした。

――時代劇は独特なセリフ回しがありますが、大変ではありませんでしたか?

チョン・イル:今回は特に大変でした。イヨン作家は深みのあるセリフを書く方なので、本当に単語自体がも難しいものが多くて、単語をみて「これは何の意味だろう?」と辞書を引くこともありましたね。特に時代劇は、同じ単語でも長音と短音で意味が違う言葉になったりもするので、そこに注意をして演技をしました。

――20ページにも及ぶ長セリフも話題となりました。特に記憶に残っている単語、またはセリフはありますか?

チョン・イル:僕は作品が終わると、セリフをすっかり忘れてしまって(笑)。特に今作は、あまりにセリフが多かったので、毎日毎日戦場に向かう気持ちで撮影に臨んでいたんです。なので、セリフは……ちょっと……出てきません(笑)。

――そうなるとクランクアップした瞬間、「終わった! 解放された!」という気分になりそうですね。

チョン・イル:あはは。明日からはセリフを覚えなくてもいいんだ! という解放感はありましたね(笑)。

――コ・アラさんとドラマで共演するのは初めてだったそうですが、いかがでしたか?

チョン・イル:アラさんとは昔、何年間かずっと一緒にCMモデルをしていたので、お互いに面識はありました。今回、撮影の間に事故に遭われてしまい、その後の出演が少なくなってしまったのは残念でした。そんな中でも、ベストを尽くして最後までやり遂げてくださったのは有難かったですね。とても情熱的で明るくて、素敵な女優さんだと思いました。

――コ・アラさんの撮影現場の様子はどうでしたか?

チョン・イル:アラさんは自撮りが好きみたいで、いつも一生懸命に自撮りをしているんですよ。毎日、僕に一緒に写真を撮ろうと言ってきましたね(笑)。

――チョン・イルさんは、撮影現場でどのように過ごしていましたか?

チョン・イル:今回、アラさんを含めメインキャストの俳優さんと一緒に撮るシーンがあまりなかったんです。そんなことは初めてでした。老論派や少論派の人たちと政治をするのに忙しかったり、民とコミュニケーションするシーンが多くて、むしろメインキャストではない方々との撮影が多かった記憶があります。なのでスタッフの方々と話をする時間の方が多かったですね。またイ・グムというキャラクターは変化の多い人物なので、役柄に関して監督や先輩と話をしたりもしました。

――地方での撮影も多かったそうですが、どちらで撮影されていたんですか?

チョン・イル:聞慶(ムンギョン)が多かったです。他には龍仁(ヨンイン)、扶安(プアン)でも撮影しました。本当に全国を回りながら撮影していました。

――イ・ヨンソク監督から「酔っ払った演技が韓国一うまい」と褒められたそうですが、この言葉を聞いていかがでしたか?

チョン・イル:イ・ヨンソク監督はリップサービスのように、毎回そういうことをおっしゃっていたんですよ(笑)。酔っ払った演技をすれば「酔っ払った演技が一番うまい」、泣く演技をすれば「お前は韓国で泣きの演技が一番うまい」と言ってくださるので、気分は良かったですね。全俳優が自信を持てるように、気分良く演じることができるように引っ張ってくださいました。そのおかげで、どのドラマよりも現場の雰囲気がよかったです。

――チョン・イルさんは、褒められて伸びるタイプですか?

チョン・イル:そうですね。褒めてもらうと、もっと頑張るタイプです(笑)。

――ドラマの撮影を終えられたあとスペインに旅行されたそうですが、旅先としてスペインを選ばれた理由は何ですか?

チョン・イル:スペインには巡礼者の道があります。若い頃からそこを歩くのが、僕にとって夢のひとつだったんです。15日間の旅の間、ひたすら歩いていました。実はここに行くのは今回が3回目だったんですが、行くたびに時間がどんどん短縮されていったので、今回は思ったよりも短くてすみました(笑)。

―――ひとりで行かれたのですか?

チョン・イル:はい。SNSにアップした写真は、その場で出会った人に撮ってもらったもので、2回目のときは一緒に行った友人に撮ってもらってました。

――今回の旅のエピソードを教えてください。

チョン・イル:プルコギなどの韓国料理を外国人の友だちに作ってあげました。みんな美味しそうによく食べてくれて、その姿を見たら僕まですごく嬉しくなりました。楽しい経験でした。


「いろんな形で日本の皆さんにもお会いしたい」

――高齢者療養病院で約2年間服務されている間も、除隊後の計画をあれこれ思い描いていらっしゃいましたか?

チョン・イル:いいえ、服務中は服務に集中していました(笑)。もっと若い頃はいろんなことを心配したり、先のことを考えたりしていたのですが、それは自分にとって何の役にも立たないということがわかったんです。それ以来、その瞬間を楽しんで生きるようにマインドが変わりました。今は些細なことにも感謝しながら生活しています。

――今回は新作ドラマ「へチ」のPRの他に、エディターを担当された雑誌「KRIBBIT」のサイン会、ファンミーティングなどを兼ねた盛りだくさんの来日ですね。

チョン・イル:はい、ついに始動という感じです。これからは活発に活動していきます。様々なイベントや作品を通して日本の皆さんに挨拶する予定です。久しぶりのサイン会やファンミーティングで、ファンの皆さんにお会いできるのが本当に楽しみです。

――チョン・イルさんのファンミーティングは毎回、趣向を凝らされているので有名ですが、今回はどんなことを準備されていますか?

チョン・イル:今回も観に来ていただけたら分かります(笑)。今回は除隊後初の久しぶりのファンミーティングじゃないですか。なので新しいものをお見せするというよりも、“ファンの皆さんと会う”ということに一番の意味があると思いながら準備しました。コンセプトはずばり“コミュニケーション”“意思の疎通”です。これからもいろんな形で日本の皆さんにお会いできたらと思っているので、どうぞ楽しみに待っていてください。

――最近は雑誌「KRIBBIT」に編集長として参加されましたが、韓国文化を発信していくという点では、韓国伝統の織物の分野で有名なお母様の影響もありましたか?

チョン・イル:母親はもちろんですが、父親の影響も大きかったですね。幼い頃から芸術に触れたり、美術館にたくさん行ったり、そういう経験が役に立ったと思います。

――編集長という立場に立たれたことで、今後は世の中を見る目も変わっていくと思いますが、今注目されていることはありますか?

チョン・イル:世の中を見る目が変わっていくというよりは、チョン・イルという人間が見ている世の中を雑誌の中に表現したいなと思っています。その中には芸術も文化も旅行もある。その時々の僕の関心があることを盛り込んでいきたいです。当然、号を重ねるごとにコンセプトも変わっていくと思いますが、そういう内容を読者の皆さんと共有して分かち合っていきたいですね。

――「思いっきりハイキック!」以来、親しくされている大女優のナ・ムニさんへのインタビューが好評でしたが、次回の人選はもう決まっていますか?

チョン・イル:秘密です(笑)。

――プライベートでは、今年の4月に愛犬をなくされたということで、ファンの皆さんがとても心配されていました。

チョン・イル:ファンの皆さんから誕生日のプレゼントとしてアウをもらって以来、家族のように一緒に過ごしてきたんですが、急にこの世を去ってしまいました。僕自身とても心を痛めたのですが、送り出してあげるのが、アウちゃんにとっていいことだと思っています。アウちゃんが次の世界で幸せに暮らせるように……。僕も今は明るく幸せに過ごそうと頑張っています。

――最後に、ドラマ「ヘチ」の放送を楽しみにしている日本ファンに、今作の見どころを教えてください。

チョン・イル:このドラマは、ブロマンス(男同士の厚い友情)もありロマンスもあるので、楽しく観ていただけると思います。また英祖という人物が孤軍奮闘しながら、王になっていく成長物語でもあります。そこをじっくりと見ていただけると嬉しいです。興味深いのが、イヨン作家が描かれた「トンイ」で、ハン・ヒョジュさんが演じた役が、イ・グムの実母なんです。そういう他のドラマとの繋がりを頭の隅に覚えておくと、より楽しめると思いますよ。

――チョン・イルさんが思う見どころは?

チョン・イル:英祖の千変万化の姿を見られるのが見どころではないかと思います。本当に、本当に様々な演技をしました。話が進むにつれて、少しずつ演技も深みを帯びていく姿を見るうちに、英祖の魅力にハマっていくのではないかと思います。

――チョン・イルさんの、今後のご予定を聞かせてください。

チョン・イル:6月まではファンミーティングのアジアツアーでファンの皆さんに会いに行く予定です。それが終わったら、すぐに次の作品を決めて撮影に入りたいと思っています。映画かドラマか? さあ、どちらになるでしょう(笑)。楽しみにしていてください。今日はありがとうございました。

取材:望月美寿/撮影:朝岡英輔

■放送情報
「ヘチ(原題)」
放送日時:6月19日(水)放送スタート
毎週(水) 午後11:00~深夜1:30ほか(2話連続放送)
※再放送日時:6月25日(火)午後1:30~4:00(第1・2話)

出演:チョン・イル、クォン・ユル、Ara(コ・アラ)、パク・フン、イ・ギョンヨン、チョン・ムンソン
演出:イ・ヨンソク / 脚本:キム・イヨン

■関連サイト
公式サイト:https://www.eigeki.com/series?action=index&id=20785&category_id=5

記者 : Kstyle編集部