リアル彼氏感たっぷり!パク・ソジュンの“沼”の深さを改めて知る ― 「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」鑑賞コラム

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一途な年下男子や強引なツンデレ御曹司、女子の心をときめかす男のタイプはさまざまあれど、本当にカッコいい男って、どんな男だろう? そんなことを考えるなか、出会った男が、コ・ドンマン(パク・ソジュン)だ。

この男、将来を有望視されていた元テコンドー選手だが、ワケあって挫折し、現在はダニ駆除会社の契約社員。上司にこき使われ、あげく幼なじみのエラ(ヒロイン)にまで振り回され、思考回路は「子供か!」レベルの単純さで(それがかわいいのだけれど!)、若き事業家や敏腕検事など韓ドラ界のデキる男たちに比べると、お世辞にもカッコよくはない。が、それでも推せる“カッコよさ”が、ドンマンにはあるのだ。

例えば、エラが男に騙されていたと知ったとき。呆然とベンチに座っていたエラを見ると、相手の男に怒り爆発。さらに、平気だと言いながら泣き出すエラを目にし、黙って自分の上着を脱ぐと彼女の頭にかぶせ、その上からまるで壊れ物を扱うように優しく抱きしめてやるのだ。弱ったエラを見た瞬間、誰よりも頼れる男に変身するドンマンのカッコ良さは、王子様が白馬に乗ってくるような特別感はないかもしれないが、生身の“彼氏感”に溢れかえり、不意打ちでドキドキさせられてしまう。

さらに、一度は諦めた夢に再挑戦したドンマンの、記念すべき格闘技デビュー戦での出来事だ。見事に勝利を決めたドンマンはリングを下りるや、他のものには目もくれず、客席後方でひっそり見守っていたエラのもとに、真っ直ぐ向かっていく。それも大勢の観客が見ている中で! 復縁を迫る元カノもいる前で! 試合が心配で半泣き状態だったエラの前にひざまずくと、彼女の膝をとんとんと叩き、ドンマンはこう言うのだ。

「大変だ。お前の泣き顔がかわいく見える」

その穏やかで優しい口調、ふっとこぼれる笑顔は、愛する者だけに見せる特別なもので思わずクラっ。そのまま、すっと手を差しのべ彼女の手をにぎると、会場からさっそうと連れ出す流れまで完璧。夢を叶えた瞬間、誰の目も気にせず、ただ1人の女性だけに向かうその姿は、男性味に溢れ、シビレるしかない。ちなみに、これ、胸キュン定番のシチュエーション「どんなに他の女に言い寄られても、見向きもしない」(例:「応答せよ1997」のユンジェ/ソ・イングク)に当たる。

もうひとつ、部屋でエラと2人きり、今夜こそ! という状況になった夜のこと。バカを言い合ってばかりのいつもとは異なり、「今、お前に対して紳士でいたくない」と低音ボイス&真顔で話す“男”ドンマンにドキドキ。が、緊張でエラの過敏症な腸が動き出すと、「今でなくてもいい。こんなきっかけがなくても、俺にとってお前は女だ」と言って、何もせずにただ彼女を腕の中に抱きしめるのだ。その鍛えられた上腕二頭筋の素晴らしさ含め、彼女を本当に大切に思う“紳士”な振る舞いに、ときめいてしまう。ちなみに、これは胸キュン定番のシチュエーション「無理に体を求めず、黙って抱きしめたまま眠る」(例:「シークレット・ガーデン」のジュウォン/ヒョンビン)に当たる。

こんなふうにエラにとってドンマンは、何でも気兼ねなく言い合えて、ケンカすら心地よく、なのに優しくされるとドキドキする“特別な存在”だ。唯一無二の親友であるだけでなく、誰よりも自分を大切にしてくれる“男”で“彼氏”なのだ。

そして極め付き、ドンマンをどんな有能男子よりカッコいい! と思った瞬間がある。それは、TV局のアナウンサーとリングアナウンサー(女なのに!)、2つの最終面接日が重なってしまったエラが、悩んだ末、TV局の試験を選んだときだ。その面接当日、早朝から彼女のために胃腸薬と合格飴を買ってきて、カバンに入れてやったうえで、ドンマンは「彼氏であり、友達であり、23年間お前を見てきた目撃者として」エラにこう言う。

「おまえがいる場所がメジャーだ。ときめく方を選べ」

エラが最終的に選んだのは、どちらかは見ていただくとして。エラ=愛する人が、どこにいて、何をしているときが一番輝くのか。いつもちゃんと見ていて、よく理解し、大事なときに大事なことに気づかせてくれる男。それができる男(つまりドンマン)こそ、実は本当にカッコいい男なのではないかと思った次第。実際に旦那や彼氏にするなら、こんな男がいいのかもなぁ(妄想)。

他にも、エラが他の男から交際を申し込まれれば「オレはイヤだ。こいつと付き合うな」と手を引き連れ帰そうとするなど、露骨な嫉妬を見せる姿もたまらない。そして、この無邪気な少年性と、セクシーな男っぽさを、軽妙に行き来するパク・ソジュンが絶品! 普段はスキのない完璧男が、ふいに見せる脆さ、心の傷にぎゅっとなるのが「彼女はキレイだった」のチ・ソンジュンだったとすれば、あまりにも率直明快で憎めない子供のような男(母性本能爆発)が、ふいに見せる懐の大きさ、頼りがい(父性に包みこまれる!)に、不意打ちでドキドキさせられるのが、本作のコ・ドンマンだ。

カッコいい役をよりカッコよく魅せた「彼女は~」はもちろん、一見カッコ悪い男の、実はカッコいい芯の部分をリアル彼氏感たっぷりに魅せた「サム、マイウェイ~」で、パク・ソジュンの“沼”の深さを改めて知るのだった。

高橋尚子(エンタメライター)

「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」リリース情報

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記者 : Kstyle編集部