【REPORT】キム・サンホ、真木よう子&井上真央らと「焼肉ドラゴン」舞台挨拶に登場…不在の大泉洋に小言も“会いたかった”

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2018年5月22日(火)東京・TOHOシネマズ新宿にて、映画「焼肉ドラゴン」のプレミア上映会が行われ、鄭義信監督、キム・サンホ、真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、大江晋平が舞台挨拶を行った。

「焼肉ドラゴン」は日本の高度経済成長期を背景に、貧しい街で小さな焼肉店を営む在日家族の喜怒哀楽を描いた物語。演出家で脚本家としても知られる鄭義信が、日本と韓国で上演され、大評判を呼んだ自作の舞台を自ら初監督。韓国からキム・サンホ、イ・ジョンウンらの名優が出演したことでも話題を呼んだ。キム・サンホは、3人姉妹と一人息子の父親である焼肉ドラゴンの店主・龍吉を演じた。

まずは登壇者が一言ずつ挨拶。鄭義信監督が「たくさん集まっていただいてありがとうございます。感無量です。最後まで映画を楽しんでいただけたら幸いです。そしてこの家族たちを愛してくださればもっともっとうれしいです」。長女役の真木よう子が「私もとてもお気に入りの、奥の深い作品になってますので、ぜひみなさん楽しんでいってください」。次女役の井上真央が「私たちの大好きなアボジと今日、一緒に来られたことをうれしく思っています。みなさんにも、アボジとオモニの深い深い愛を受け取ってもらえたらなと思います」。三女役の桜庭ななみが「この映画を見て、この家族の愛で温まってくれたらうれしいです」。末っ子役の大江晋平が「はじめまして。舞台挨拶が初めてで少し緊張しているのですが、今日はよろしくお願いします」とコメントしたあと、とりを務めたのがキム・サンホ。

ひときわ大きな拍手に包まれて「こんばんは。はじめまして、私はキム・サンホです。どうぞよろしくお願いします」とまずは日本語であいさつ。「今日、皆さんと楽しくお話できればなと思っています。ありがとうございます」続けて満面の笑みを見せた。

鄭義信監督はそんなキム・サンホについて「お父さん役はサンホしかいないな」と思っていたと述懐。「ネタばれになりますが、サンホが延々と長ゼリフを話すシーンは撮影に8時間ほどかかりました。難しい日本語のセリフであるにもかかわらずリハーサルの時もリテイクでもきちんと一字一句間違わずに演じ、本当に素晴らしい役者でした」と絶賛した。

それを受けたキム・サンホは「『焼肉ドラゴン』は韓国でも、とてもいいと有名な舞台だったので、映画化が決まったときは、迷いはいっさいありませんでした。とにかくこの作品をいい映画にできるように頑張ろうという気持ちでオファーを受けさせていただきました。日本での撮影は初めてだったのでとても緊張しましたが、監督や共演者がいやすいようにしてくれてので、馴染むことができました」

アボジと会うのは1年ぶりだという真木よう子は、アボジは場の盛り上げ役だった、と語った。「アボジから1番はじめに教わった言葉がシーバル(韓国語で「この野郎」という意味)だった」と言うと監督は「とても汚い言葉なので聞かないほうがいい」と苦笑い。会場がざわつく中、キム・サンホは大慌てで「韓国では悪い言葉、罵り言葉のスラングなんですが、僕は自分に気合いを入れるときにこれを使っているんです!」と弁明。実際に拳を下にして「シバル!」とやってみせて観客を笑わせた。

続いて井上真央は「アボジはお酒飲むの大好きなんですよ。朝、おはよう! と会うと、『今日みんなでいけるかな? いけるよね?』とお酒のことばかり考えていました(笑)かわいいな~、と思っていました。クランクインする前にみんなでご飯食べようと声かけてくれたのもアボジだったので、皆がひとつになれたのはアボジが引っ張っていってくれたからだと思っています」。実際に飲みにいけたのですか? とMCに聞かれたキム・サンホは「毎日」と日本語で即答。さらに井上真央が「初日から一軒目で終わるはずが二軒目になりそうになって、姉さん(真木よう子)に『アボジ帰るよ』と怒られてましたよね」と暴露。

また、キム・サンホは韓国語を勉強した桜庭ななみについて「桜庭さんは韓国語がとても上手で、現場でもいろんな話を楽しくさせてもらいました」とニッコリ。そして大江晋平が「本当のお父さんのようだった」と振り返ると「学校で大変なことがあったと聞いたときに、アドバイスをしました。そして芝居するときは『シーバル!』と気合を入れろと教えました」と言ってまたまた笑いをとった。

次女の恋人役を演じた大泉洋が大好きだというキム・サンホ。今日の舞台挨拶に来られないことに話題が移ると、「あの野郎~、別の仕事で来られないとか言っちゃって、なんだよ~~。会いたかったです」「どこかでうろうろ迷ってないで、早くここにおいで」とユーモラスにぼやいてみせるので場内はほっこり。2人は翻訳アプリを使いながら会話をしていたとかいう。「『食事しました?』『今日飲みに行く?』というような日常会話でした。アプリがたまに変なことをいってくることもありましたね」と懐かしむキム・サンホだった。

「そんな皆が、毎日同じセットに1ヶ月通っているうちに、家族のように感じていったのだと思います」という鄭義信監督。ここでオモニを演じたイ・ジョンウンの話題になり鄭義信監督が「女優としても人間としても素晴らしい人。なおかつ研究熱心。撮影が始まる2週間前に1人で大阪の在日の焼肉屋にひとりで飛び込んで行って、いろんな人の話を聞いて自分でイメージを膨らませてオモニ役を作り上げていった。すごくひたむきな女優です」。そのイ・ジョンウンからサプライズで手紙が届いており、この場で読み上げられた。「皆さんへ。今は『焼肉ドラゴン』の家族、私のもう1つの家族に会いたい思いでいっぱいです。映画の公開にあわせて行けないのがとても残念ですが、離れていても私たちは家族であることを忘れません。会いたいです。私は『焼肉ドラゴン』のすべてのことを愛することになりました。この映画でオモニを演じられた日々はこれからも幸せな思い出として残っていきます」。

この温かい言葉を受けた真木よう子は「私はオモニが大好きで。お芝居に対して真摯で、人に対してものすごく優しい方。お母さんのように思っていました。撮影が終わりに近づくにつれ悲しくなったときは、抱きしめてもらったり、頭をなでなでしてもらっていました」。

井上真央も「会いたいですね。ずっと現場でもお母さんでいてくれた。1年たっても離れていても、こうして思っていてくれることがうれしいです」。血のつながってる役を演じた桜庭ななみは「手を握ってくれたり、肩を叩いてくれたり、抱きしめてくれて。その温かさがありがたかった」大江晋平は英語が得意なイ・ジョンウンとは英語で会話したというエピソードを披露。「英語のいいところはフランクに話せるところ。あなたは数少ない日本の友達だよ」と言ってくれたことがうれしかった、と語った。

フォトセッションでは、「アボジを取り囲む焼肉ドラゴンの家族」というコンセプトで、キム・サンホに特別に椅子が用意された。ニコニコと嬉しそうに座るキム・サンホ。その後ろからぐいぐいと肩をもみまくる子供たち(笑)その様子から、皆の仲のよさが伝わってきた。

代表して最後の挨拶をまかされたキム・サンホは、自分でいいのですか? という驚きの表情を見せて「本当に光栄です。最後の話を私にさせてくださってありがとうございます」。続けて「本当に素晴らしい映画です。最初に台本をいただいたときも、撮影しながら現場にいながらも、どんどんそう感じていました。全州国際映画祭でもとても好評をいただきました。今日も皆さん、楽しんでいただけたらと思っています。もし楽しかったら、どんどんいっぱい表現してください! 面白くなかったら黙ってください(笑)ありがとうございました!」とユーモアいっぱいのメッセージで場内を沸かせた。

退場の際に、客席の中に自分の名前を書いた応援プラカードを見つけてうれしそうだったキム・サンホ。日本での舞台挨拶は素晴らしい思い出になったことだろう。

【PHOTO】キム・サンホ&真木よう子&井上真央ら「焼肉ドラゴン」舞台挨拶に登場

ライター:望月美寿

映画『焼肉ドラゴン』2018年6月22日(金)より全国公開

原作:戯曲「焼肉ドラゴン」(作:鄭 義信)
脚本・監督:鄭 義信
出演:真木よう子、井上真央、大泉洋、桜庭ななみ、大谷亮平、ハン・ドンギュ、イム・ヒチョル、大江晋平、宇野祥平、根岸季衣、キム・サンホほか

配給:KADOKAWA ファントム・フィルム
製作:「焼肉ドラゴン」製作委員会
(C)2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

公式サイト:http://yakinikudragon.com

記者 : Kstyle編集部