god デニー・アンが語るアイドル事情「男は運動しろ!女はダイエットしなさい!が韓国芸能界の合言葉(笑)」

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親しみやすいキャラクターと抜群の歌唱力で幅広いファンに愛されてきた“韓国の国民的グループ”god。韓国男性アイドルグループとして韓国内歴代単独アルバム売上枚数1位の記録は現在も破られていない。そのメンバーであるデニー・アンが来日、取材に応じてくれた。まだK-POPという言葉もなかった時代に、韓国アイドル界第1世代のトップとして一世を風靡した当時のエピソードから、現在の芸能界との比較、後輩アイドルとの交流、気になる近況まで。韓国アイドルの歴史を作ってきた立役者だからこそ語れる貴重なインタビューを、最新フォトとともに、Kstyle独占でお送りする。

――日本にはよく来られるのですか?

デニー・アン:今回が4回目です。いつも忙しくてあまりゆっくりできないのが残念ですが、今回は美味しいものを食べて帰りたいですね。

――今日は韓国アイドルの元祖ともいうべきデニーさんに、韓国アイドル界のいまむかしを中心に、いろんなお話をざっくばらんにお聞かせいただければと思います。まずは、godの全盛期を振り返って、当時の売れっ子ぶりを示すエピソードを教えてください。

デニー・アン:とにかく休みがありませんでした。睡眠時間は1日2時間くらい。1日に8ヶ所で仕事したこともありました。寝て起きて、そのまま次の現場に移動。地方公演が続くときは、銭湯で1時間休んで次の場所に行くような感じで、ホテルに滞在している時間もなかったです。活動期間中は集中して活動するので、そんな毎日が3、4ヶ月も続きました。

――そこまで忙しいと、メンバー同士の仲にも影響が出そうですが。

デニー・アン:ケンカなどはまったくなかったですよ(笑) むしろ5人の結束力が強くなりました。というのも、僕たちを束ねていたリーダーのパク・チュニョンさんが、僕より9歳上で、最年少のキム・テウさんとは12歳もの年齢差があったんです。ただ、あの方のせいでgodの平均年齢は跳ね上がりましたね(笑)

――当時は5人一緒に住んでいたんですよね。

デニー・アン:はい。部屋が4つあって、リーダーがひとり部屋、僕とキム・テウさんが同室で、ユン・ゲサンさんとソン・ホヨンさんが一緒。最後のひとつはマネージャーが使っていました。

――5人の中で当時のデニーさんは何担当でした? 音楽的にはラップ担当で、“可愛い”と人気がありましたが。

デニー・アン:う~ん。片付け担当かな(爆笑) 僕は真面目で几帳面なんですよ。衣装にアイロンをかけるのも得意です。TV番組などでインタビューを受けるときも、皆が好き勝手しゃべってあちらこちらに散らばった話を、最後にまとめる役目が僕でした(笑)


“韓国の国民的グループ”god、芸能界でのライバルといえば?

――当時の芸能界でのライバルといえば?

デニー・アン:ファンの間ではH.O.T.、Sechs Kies、神話などと言われていましたが、僕たち自身はまったく意識してなかったですね。というのも、グループのスタイルがそれぞれ違っていましたから。神話がダンスならgodはバラードというように。そもそも、当時はアイドルという言葉自体がなかった。僕たちは男性グループと呼ばれていて、綺麗な男の子たちが10代の女性にすごく人気がある、という感じでした。でも、そんな中でもgodはちょっと違いましたね。自然で親しみやすい、隣のお兄さんみたいなイメージだったんです。リーダーがデビューしたときすでに30歳を過ぎていたこともあって、若くてピカピカした男性グループとは違う、幅広いファン層に支持されました。あとは音楽。誰が聞いても癒やされる音楽、ある程度年を重ねた人たちでも安心して聞くことができる曲が多かった。それがたくさんの人に愛された一番の理由だったと思います。ビートの効いたダンス曲とは違って、どの世代にも受ける音楽が人気でした。

――そのgodをプロデュースされたのがK-POPの育ての親のパク・ジニョンさんですね。

デニー・アン:僕から言わせたら、パク・ジニョンさんはクソ真面目な人です(笑) とにかく完璧主義者で、レコーディングのとき、たったひとフレーズに12時間かかったこともありました。絶対に妥協しない。自分が納得できるまでやる人。だからこそたくさんの名曲が生まれたんだと思います。歌手としても作曲家としても作詞家としても天才ですね。ひとりの人間として見た場合? いいお兄さんだけど、やっぱり真面目ですね(笑) 僕にとっては先生のような感じ。友達みたいには親しくはなれませんが、尊敬に値する人です。僕たちがTVに出ると必ずチェックして、終わったあとにダメ出しされます。以前、大きな音楽の賞をもらったときも、電話をくれたので、おめでとうと言ってくれるのかな、と思ったらお小言でした(笑) 2PMもTWICEもきっと同じ目に遭っていると思いますよ(笑) でも、それくらい厳しく指導してもらったからこそ、僕たちも成長できたのだと思います。あと、パク・ジニョンさんは僕たちの前では、ほかの人を褒めまくって僕たちに「もっと努力しろ!」と言うんです。でも、あとでほかの人には「godはこんなにすごいんだぞ! それに引き換えお前たちは!」と言っていると聞いて、思わず笑ってしまいました(笑)

――そんな大先輩のデニー・アンさんの目に、いまのアイドルはどう映りますか?

デニー・アン:一言でいうとうらやましいです。なぜなら僕たちの頃はまだ韓流というものがなかったから。いまはBIGBANGも東方神起も韓流に乗って世界的に活動しています。若い子たちが、歌やダンスを覚えてレッスンして、ほかの国の言葉を学んで……というシステムも体制的に整っていますよね。僕たちの頃は、自分たちで素材を探して、大変な思いをしてビデオテープを取り寄せたりして、勉強しないといけなかった。安室奈美恵さんなどの日本のダンスが人気だった時代です。ボイストレーニングも先生がいなかったから、自分たちだけでやっていました。

――そんな苦労があったんですね! 当時に比べると、いまはアイドルグループの数が多くて競争が大変なのでは?

デニー・アン:そう思われるかもしれませんが、僕たちの頃もすでに群雄割拠でしたよ。当時は女性グループ、男性グループのほかに混成グループもたくさんいました。ところが、出演できる媒体がTVとラジオくらいしかなかった。「ミュージックバンク」や「人気歌謡」といった音楽番組もありましたが、1度に10組くらいしか出られない。アルバムをリリースしたまま消えていくグループがたくさんあったんです。その点、いまはインターネットなど、露出できる媒体が増えたので、アイドルの数が多いように見えるんでしょう。いま、韓国のTVの音楽番組を見たら、ほとんどがアイドルですよね。でも当時はトロット、ラップ、バラード歌手などがたくさんいて、アイドルの枠は今よりもっと少なかったので、その枠の中に入るのは本当に大変でした。


「2PMはパフォーマンスが斬新で“男から見てもカッコいい!”と思った」

――デニー・アンさんが親しくされている後輩は?

デニー・アン:一番は2PMですね。彼らをプロデュースしていたパク・ジニョンさんとの縁で、デビュー前、彼らが練習室を使っていた頃からよく知っていたし、愛着があるんです。いざ彼らがデビューして売れたときはすごく嬉しかったですね。2PMはほかのアイドルグループにはない色を持っているのがいい。男性的というか、肉体的というか。野獣アイドルというキャッチフレーズでしたが、脱いだりするパフォーマンスが斬新で「男から見てもカッコいい!」と思いました。

――男性アイドルは肉体美作りも大変そうですね。綺麗なシックスパックの裏にはどんな苦労があるのでしょうか。

デニー・アン:大変ですよ。少なくとも6ヶ月はこの世の地獄を味わえます(笑) 専属トレーナーが1日ついてくれるんですけど、とにかく死なないぐらいにやらされる(笑) 男は運動しろ! 女はダイエットしなさい! が韓国芸能界の合言葉ですから(笑) godの全盛期はまだ事務所が僕らをジムに行かせたりする時代ではありませんでした。でも、もともとリーダーはアメリカ時代から筋トレをしていたのですごい筋肉をしていました。ユン・ゲサンさんとソン・ホヨンさんは自分から進んでトレーニングをしていました。だからこの3人はコンサートでよく脱いでいましたね。テウさんはそれに対抗して靴下を脱いだりして(爆笑) 僕は細すぎです。痩せていたから、服を何枚も着込んで順番に脱いでいく、というのをやっていました(笑)

――2PMとのエピソードは何かありますか?

デニー・アン:テギョンさんは、いつもコンサートに来てくれます。しかも、VIP席を用意してあげても「僕はスタンディングがいい」と言って、ファンに交じって一緒に立って拳を振り上げているんですよ(笑) 「僕もファンだから」と言って。本当にありがたいです。周りのファンにもちろん気づかれるけど、皆も一緒に楽しんでくれるようです。

――驚きました。韓国は日本に比べてファンと芸能人との距離が近いように感じます。

デニー・アン:そうですね。昔はもっと近くで触れ合えたんですよ。たとえば「人気歌謡」という音楽番組の公開収録、席が200席しかないんです。そこにいろんな歌手のファンが押し寄せるものだから、前日から列を作っても見られないファンが続出する。でも我慢してもらうしかない。「見せられなくてごめんね、応援ありがとう」という気持ちを伝えたくて、挨拶する時間を設けたことがありました。それがファンミーティングの始まりです。当時はファンミーティングという言葉もなかったですが。ただ、ファンクラブの創設式はあったので、第1期、第2期、という節目ごとに顔を出していました。いま思うとあれがファンミーティングの前身だったんですね。

――まさにデニー・アンさんたちがアイドルの歴史を作ってこられたんですね。

デニー・アン:いやいや、とんでもない(笑)

――いま、デニーさんは俳優としても活躍されていますが、俳優活動を始めたときはいかがでしたか?

デニー・アン:いまは“演技ドル”などといわれて歌手が演技をするのは当たり前になっていますが、少し前まではドラマに出る歌手はRAIN、エリック、ユン・ゲサンくらいしかいなかった。しかも世間にヘンに注目されてしまう分、見る人の目が厳しくて、たとえ平均点の演技ができたとしても、なかなか認めてもらえなかったですね。だから僕も、俳優を始めるにあたっては、時間をかけてたくさん準備しました。演劇の経験を積んだり、ミュージカルに出たりしました。

――好きな俳優、目標とされる俳優は?

デニー・アン:ファン・ジョンミンさんですね。どんな役でも完璧に演じられる。殺人者も純粋なキャラもできるし、正義感あふれる役もできれば、ヤクザもできるのがすごいです。僕自身は悪役に憧れますが、やったことはありません。最近は「魔女の城」でけちな大家さんを演じました(笑) 日本の俳優さんでは渡辺謙さんが好きですね。

――バラエティ番組でも引っ張りだこですが、出演するときに注意していることは?

デニー・アン:僕はわざと人をこきおろして面白いことを言ったり、若手をいじったりということができないタイプなんです(笑) それぞれの番組に合わせて、求められるキャラクターのまま出演するという感じですね。例えば、イギリスがオリジナルの「トップギア」という自動車を紹介する番組では、イタズラっ子みたいな明るいイメージでMCを務めています。幸い俳優をやっているので、すぐに溶け込むことができるんです。旅番組も楽しいですよ。バラエティといえば「godの育児日記」は名作で、いまも「あの番組は面白かった」とよく言われます。

――デニー・アンさんのように韓国の芸能界で長く生き残っていく秘訣はなんでしょう?

デニー・アン:う~ん。秘訣というよりは、god時代に、僕らはファンの皆さんにすごく応援してもらいました。だからいまそれぞれのメンバーが活躍する場所も地位もあるんだと思います。でも僕自身は、いつもまだまだだと思いながらやっています。godとしての夢は叶えられたけど、自分自身の夢は叶っていない部分がある。バラエティももっとやりたし、演技の世界でも、もっと俳優として認知されたい。つねに一生懸命努力しようと思っています。


「東方神起、BIGBANG、2PMももう10年選手…韓流を引っ張っていくすごい面々」

――こんなに真面目で誠実だと芸能界の先輩として後輩から悩み相談を受けたりしませんか?

デニー・アン:僕らのすぐ下の後輩というと、2PMをはじめ、東方神起、BIGBANG、SUPER JUNIORになりますが、彼らももう10年選手。韓流を引っ張っていくすごい面々だし、彼らのほうこそ後輩がたくさんいるので、僕に悩みを打ちあけたりはしません。僕が何かアドバイスできるような立場でもないし、彼らは自分たちのことをよくわかっていると思いますよ。彼らよりもっと若い世代は、僕からしたらまだまだ子どもだし……。その子たちから見たら僕はアジョシ(おじさん) ですよ(笑)

――この謙虚さが素晴らしいですね。デニー・アンさんから見て日本の芸能界はどうですか?

デニー・アン:韓国の芸能界と似ていると思います。僕の中高生時代はずっと、韓国が日本のJ-POPを聞いていた時代でした。安室奈美恵さん、木村拓哉さん、安全地帯さん、GRAYさんなどが人気があって、当時は日本の音楽がアジアを牽引している感じでしたね。いまは韓国人が才能を開花させ、国際的な評価を受けています。日本も韓国もお互い切磋琢磨して両方のレベルが上がってきたのは素晴らしいことです。国や文化が違うから、もちろんアイドルも雰囲気が違うところはあるけれど、だからこそお互いに学べるところがたくさんある。また、アイドルだけでなく、トロット、バラード、ヒップホップなど、いろんなジャンルの音楽が楽しめるのは日本も韓国も同じだと思います。

――デニー・アンさんの今後の夢は?

デニー・アン:まずはgodとしての夢からお話ししましょう。実はgodは韓流が起こる直前、2002~03年頃に日本に進出しようとしたことがあったんです。残念ながらそれは叶わなかったんですが、3年前にgodの復活コンサートをして好評だったし、2019年には20周年を迎えるので記念のコンサートを予定しています。日本でもコンサートができたらいいですね。

――期待しています! では、個人としては?

デニー・アン:韓国で一生懸命努力して、まずは俳優としての位置づけをしっかりしていきたいです。それから日本の人たちが好むようなドラマに出演して、日本の皆さんに知ってもらって、日本でもCMやドラマなどで活動できたらいいなと思っています。個人的なアルバムはまだ出していないので、慎重に準備したいですね。あとは、日本のファンの皆さんと温泉に行くようなファンミーティングをぜひやってみたいです!

――実現しますように! 今日は長時間、貴重なお話をありがとうございました。

ライター:望月美寿

記者 : Kstyle編集部