シム・ウンギョン「映画『ザ・メイヤー』で私の“初心”を取り戻した」

OSEN |

写真=SHOW BOX
与えられた通りに生きるのか。選択の岐路に立たされたとき、女優シム・ウンギョンはいつも“いいえ”を選択してきた。自身が何をすれば観客が熱狂するか、シム・ウンギョンはよく知っていた。しかし、シム・ウンギョンはいつも、簡単な道より難しい道を選んだ。シム・ウンギョンが選択した変身の道は、女優としてはいつも挑戦の連続だった。一瞬にして20代になってしまったおばあさん、先天的乗り物酔い症候群により、世界中のどの交通手段にも乗れないという女子高生、素人ハッカーなど、シム・ウンギョンのスペクトルは無限大だった。

今回は政治に対する情熱1つで選挙に飛び込んだ広告専門家だ。映画「ザ・メイヤー」でシム・ウンギョンは、青年革新委員長パク・ギョン役を務め、チェ・ミンシク、クァク・ドウォン、ラ・ミランなど、そうそうたる俳優たちと肩を並べた。

政治と選挙。難しくて独特な題材を取り扱った映画に出演しただけに、シム・ウンギョンは「他の映画とは違って、熱心に準備して、自分が何をしているのかも分からないほど夢中になろうと努力した。だから、余計にセンシティブになった部分もあった。今回の作品は演技だけを考えた。いつも初心に戻りたいと言っていたが、それがどういうものかについて気づいた瞬間だった」と告白した。

シム・ウンギョンは最近、日本の大手事務所ユマニテと専属契約を結び、日本など海外進出を準備している。留学で鍛えた英語実力に日本語の勉強まで、シム・ウンギョンは世界中で活躍するための準備運動に乗り出す。しかし、海外進出に対する熱望で焦るよりは、一歩ずつ着実に自身の夢を育んでいく覚悟だ。

「日本デビューすることも本当に信じられませんでした。夢が早く実現したとも思いますし、本当にありがたいことに良いチャンスを貰えました。なので、あまり焦ってはいけないと思っています。韓国でも日本でもゆっくり焦らず、自分を充実させなければと思っています。最近自分が焦りすぎていたんじゃないかと思いました。何かに追われているような気がしたし、何かを見せなければという思いで、2年前は作品に休まず出演してきました。『歩き王』『ときめき♡プリンセス婚活記』『操作された都市』『新感染 ファイナルエクスプレス』へのカメオ出演まで、全部そんな思いでした。演技的にもっと見せなければならないし、もっとゆっくりでも良かったかなと思いました。もっと慎重になってこそ、演技的にもより奥深いものを披露できるんじゃないかと思いました。速く進むよりは、ゆっくり何がしたいか考えてみようと思います。もっと広い目で考えると、どんな女優、どんな人になりたいかを考えながら、自分の道を進むのが重要だと思いました」

「サニー 永遠の仲間たち」「怪しい彼女」の成功は、シム・ウンギョンにとって光栄であると同時にレッテルだった。良い作品でたくさんの観客に会ったという嬉しさもあるが、成功の中にシム・ウンギョンを閉じ込める1つの固い枠にもなった。シム・ウンギョンは「映画のジャンルではなく、映画の成功が私の足を引っ張ったと思う。だからいつも新しくなれる作品を選択しようとした」と話した。

そして「ザ・メイヤー」は、自然な演技に対する初心を取り戻した作品だった。“初心”という文字通り“最初の心構え”という単語の意味通り、シム・ウンギョンは演技を始めた当時の心に戻り、演技だけを考えて「ザ・メイヤー」の撮影に集中した。

「女優のフィルモグラフィーを積んでいこうとは思っていません。しっかり積み重ねて行こうとは思っていますが、結局自分がやりたいものが先でした。結局選択するのは、自分がやりたい演技でした。『怪しい彼女』の役で覚えていてくださる方が多くて、違う姿を披露したいという強迫観念もあったと思います。しかし『ザ・メイヤー』以降、演技的に変わった部分があったと思います。何かを見せなきゃという強迫観念を持っていましたが、それよりは本当に自分がやりたい作品を見せることが、一番自分の真心を表すことだと思いました。これからもジャンルが重なることはあると思いますが、そのような悩みに縛られていたくはありません。自分が好きなことが何かを把握するのが一番重要だと思います」

パク・インジェ監督は、シム・ウンギョンから、やや未熟だけど情熱だけで政界に飛び込んだパク・ギョンの姿を見たという。パク・ギョンというキャラクターを、果たして演じることができるか戸惑っていたシム・ウンギョンだったが「政治に対する夢と意欲が大きいパク・ギョンと同じようなものを、シム・ウンギョンからも感じた。パク・ギョンをシム・ウンギョンから引き出したい」というパク監督の気持ちは、信頼に変わりシム・ウンギョンを動かせた。そしてついに出会った「ザ・メイヤー」は、シム・ウンギョンに“初心”の本当の意味を考えさせる、大切な機会になった。

熱烈に、演技にだけ没頭したシム・ウンギョンは、果たしてどんな政治未生(囲碁で、まだ完全に生きていない石) を作り出しただろうか。シム・ウンギョン流の政治未生は、完生に生まれ変わることはできるだろうか。その答えは韓国で公開された「ザ・メイヤー」で確認することができる。

記者 : チャン・ジンリ