ユ・スンホ「EXO シウミン、初めて会った時は年下だと思っていた」 ― Vol.1

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ユ・スンホの逆襲である。誰も注意深く見なかった19世紀の説話であるキム・ソンダルを、有能で図々しい21世紀型のキャラクターへと変貌させることに成功した。キム・ソンダルは大同江(テドンガン)の川を売り飛ばした人かと思っていたが、このように若くてセクシーな詐欺師かもしれないと驚かされる。

それでもユ・スンホは謙虚で素直だった。「キム・ソンダル」はそれほど重い映画でもなく、観客が気持ちよく笑うことができるのならばそれで良いという願いや、自信に満ちたキム・ソンダルとは正反対の性格なゆえ、演技も容易いことではなかったと率直に打ち明けた。自分の未熟さを認めながらも、持てるならば“ユ・スンホ ワールド”が欲しいと話す抱負を、淡々とした口調で話した。俳優ユ・スンホと、彼が内から出したユ・スンホという一人の人間に関する話を、22日ソウル市鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)のあるカフェで語り合った。

―コメディジャンルに初めて挑戦した感想は?

ユ・スンホ:「キム・ソンダル」を始める時に一番心配したのがコミカルな部分だった。僕自身、他人を笑わせる人でも面白い人でもないし、一度もやったことのないジャンルだったので、実際に懸念が先にあった。共演した皆様に大きな力をもらった。コ・チャンソク先輩はコメディといえば言うまでもない。(ラ)ミラン先輩も出ているし、映画の中では弟役だったけれど、カメラの外では友達でもあり頼もしい兄さんでもあったミンソク兄さん(EXO シウミン)もいた。たくさんの話を交わしながら、コメディを楽しく入れようと努力した。

―コメディを演じているうちに笑わせようという気持ちがどんどん強くなったと聞いたが、その理由は?

ユ・スンホ:カメラの周りにたくさんスタッフの方がいらっしゃるが、その方々も観客だと考えてみた。どういう訳かそんな気がして、僕がコメディを演じる時、その方々が笑ってくれると嬉しかった。「コメディアンはこんな気持ちなんだろうな、どうしてこんなに気分が良いんだろう」と思いながら、笑わせたい気持ちがいっぱい出てきた。

―追撃シーンでは、走りながらも常に笑っていなければならなかったはずだが、大変じゃなかったか。

ユ・スンホ:そこまで大変じゃなかった。足で大変なアクションをするのではなく、怒らせながら「捕まえてみろ~」みたいな感じだったので、思ったより大変じゃなかった。

―前作「朝鮮魔術師」に続き、再び時代劇映画だ。時代劇の魅力は何だと思う?

ユ・スンホ:昔のことが含まれていながらも、現代的に解釈できる部分が魅力的だ。

―清国に移ったり、魔術をしたり、詐欺を働くという部分で「朝鮮魔術師」と似た部分もある。

ユ・スンホ:同じ時代劇という点がちょっと気になるところだ。異なる点は、「朝鮮魔術師」は男女間のラブラブな恋を通じて面白味を表現したとすれば、「キム・ソンダル」は腹を据えて撮ったコメディだ。キャラクターにも多くの違いがある。キム・ソンダルは“歓喜”よりもっと弾けていてハツラツとしている。

―“キム・ソンダル”のキャラクターは、これまでの素敵な役とは異なり、壊れる面白さがある。奇抜なイメージチェンジだ。

ユ・スンホ:いつかはコメディにも挑戦してみたかった。“キム・ソンダル”といえば、ある程度年を取ったおじさんが想像されるけれど、キム・ソンダルを若くてセクシーな詐欺師に作ってみたかった。いつかは必ずしてみたかったことだし、やる気も出てきて、詐欺師というものも面白そうに感じたし、こんなキム・ソンダルが今の僕に近い年齢だったかもしれないと思えて挑戦した。

―キム・ソンダル説話は韓国ではお馴染みの話だが、お馴染みのものを新たに演じることに対する負担感はなかったか。

ユ・スンホ:人々の気持ちは分からない。それでもキム・ソンダルという人物は、この他の作品でまともに扱われたことが一度もない。だから好奇心も刺激され、誰が見ても楽しく観ることができるアットホームな映画を作りたかった。

―他の俳優との演技の相性はどうだったか。

ユ・スンホ:4人で構成される“キム・ソンダル詐欺団”は、家族みたいなものだ。どうかすると、このまま終わるには惜しい集まりだ。現場で撮影する時、ミンソク兄さんがいなければ凄く心細かった。兄さんは音楽番組に出て踊っていても、僕達だけで話す時は「ギョニ兄さんがいたら良いのに。会いたい」と話した(笑)

―シウミンとは顔も似ている。

ユ・スンホ:似ているかどうか分からない。一つ確かなことは、兄さんは童顔じゃないか。正直なところ、初めて会った時は僕より年下だと思った。よく聞いてみると僕より3才年上のお兄さんだった。兄さんに“ギョニ”の役がよく似合っていたのは、基本的に活発でハツラツとした性格だから。ギョニを演じる時、本当に天真爛漫な弟みたいな感じがした。だから映画でも兄として上手く描かれたんじゃないかと思う。

―ロマンスが浮き彫りにされなかった点は名残惜しくないか。

ユ・スンホ:むしろ多少気楽だった。恋愛模様が現れて話が歪むのではなく、本来の目的に合わせて“詐欺”を忠実に描いたことも思ったより悪くなかった。

―ロマンスを演じるのはどうか。

ユ・スンホ:気まずい。例えば、悪役や極端なキャラクターは誰も体験したことがなかったから、自分の想像と感覚の通りに演技するのが正解だといえる。だが、恋愛は誰もが共感できるように表現しなければならない。「自分の話みたいだ」と思わせるように。なぜ女性が悲しみを抱き、(男女が)どんな行動をすれば何がついてくるのか……。こういうものについてはよく分からない。

―恋愛経験が少ないということか。

ユ・スンホ:そうかもしれない。ロマンスについてはよく分からない。

記者 : キム・スギョン、写真 : ソ・イェジン、翻訳 : 前田康代