「君を憶えてる」ソ・イングク“チャン・ナラさんとの共演…性格や色々なことが僕と似ていてとても気楽でした”

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若手演技派として絶大な人気を誇るソ・イングクの主演最新作「君を憶えてる」が5月3日(火) よりDVDリリース。本作で、ある事件がきっかけで幼いころの記憶をなくした天才プロファイラー イ・ヒョンを演じるソ・イングク。そして、殺人事件の現場で出会った特殊捜査チームの刑事ジアンをチャン・ナラが演じている。反発しながらも次第に認め合っていく二人が衝撃の真実と過去の謎に迫る甘く危険なサスペンス・ラブストーリーとなっている。

今回、DVDのリリースを記念して、ソ・イングクのインタビューが到着。本作で演じたイ・ヒョンという役どころや演技の難しさ、チャン・ナラやEXO ディオとの共演について語ってくれた。

―「君を憶えてる」に出演を決めた理由は?

ソ・イングク:このドラマだけでなく、すべてのドラマにおいてですが、出演を決めるのは、まずシナリオがおもしろいこと、そして何よりもキャラクターが魅力的に感じられることが条件です。このドラマもキャラクターがとても魅力的に胸に迫ってきたので、出演を決めました。

―演じたイ・ヒョンという役について簡単に紹介してください。

ソ・イングク:イ・ヒョンは、僕が思うにとてもかわいそうな人です。サイコパス(精神病質者) ではないんですが、父親からサイコパスと疑われたり、監禁されたり、両親の死を目の前で見てしまったり、たったひとりの弟と生き別れるなど、色々な不幸な出来事を一度に体験しています。成長したイ・ヒョンは残りの人生のすべてをかけて行方不明になった弟と、父親を殺し、弟を連れ去った犯人を探すことになります。ただ、彼は単なる復讐心から犯人を捜そうとしているのではなく、なぜ犯人が父を殺し、弟を誘拐したのかという根本的な理由を解明したいという気持ちから、そうしています。そういった彼の考え方が独特で魅力を感じました。

―イ・ヒョンとソ・イングクさんご自身とでは性格的に似ているところはありますか?

ソ・イングク:まったくありません。彼は先天的に僕とはまったく違っています。頭脳明晰で、一般の人が感じる感情とは、まったく違う感情を持つ人物だと思うので、僕とは完全に違いますね。

―共感できるようなところはありましたか?

ソ・イングク:共感するのはとても難しかったです。台本から感じることとは違うように演じるべきだという思いのほうが強く、色々と違うように考えるのは、おもしろかったのですが、精神的にはとても疲れる作業でした。ずっと彼の感情表現についてアイデアを出さなければならない状況だったので、演じるのは容易ではありませんでした。普通に感情を表現するのは容易ですが、完全に違う次元の感情を表現するということでしたから、ストレスはありました。

―イ・ヒョンは非常に頭が良いという設定ですが、演じる上で特に気をつかったところはありますか?

ソ・イングク:どんなふうに頭が良いかは台本にすべて出ているじゃないですか? ただ、天才の雰囲気を出そうとしてある表情、ある眼差しといったものを表現しようとすると、幼稚な感じにしかならないんです。天才的な頭脳の持ち主で、ほかの人々がまったく気づかないのに、瞬間的にすべてのことがわかってしまうというキャラクターなので、むしろ押し黙っているような感じで演じました。ただ、あまりにも無表情だとリアリティがなくなってしまうので、細かな表情の変化を出していくようにはしました。

―犯罪心理学について学んだことはありますか?

ソ・イングク:心理学についてはまったく知りません。撮影現場で監督に尋ねるレベルです。台本を覚えるのに忙しくて、講義をするシーンでも、イ・ヒョンならばこういう感じで講義をするだろうと考えて演じるようにしました。ドラマですから、講義はしても質問を受けるようなことはないので、用語の意味を調べるなど、そういった勉強はしませんでした。

―傲慢で毒舌な男という、ある意味、魅力的なキャラクターですが、役作りのために参考にした作品などはありますか?

ソ・イングク:犯罪捜査のドラマですから、同じような犯罪捜査をテーマにしたドラマ「CSI:科学捜査班」や映画を何本か見ました。ただキャラクターを作り上げていく時には、自分でも気づかないうちに見た作品の影響が出てしまうといけないと思って、できるだけ他の作品は見ないようにして、監督と話し合いながらキャラクターを作り上げていきました。

―感情表現の演技はどのようにコントロールしましたか?

ソ・イングク:感情表現の演技はとても難しかったです。僕が探し出した方法は、台本に書かれていることから一旦離れて、考え方を変えてアプローチしていくという方法でした。そういうふうにしていくほうが、自然とイ・ヒョンらしくなっていくのではないかと思いました。

―料理も掃除も上手にこなすキャラクターでしたが、ご自身はガールフレンドの部屋が散らかっていたら掃除などはするほうですか?

ソ・イングク:僕はすごくきれい好きというわけではありませんし、家ではそれほどでもないのに、外だと散らかっているのが気になって、きちんと整理整頓されていないと落ち着かないんです。なので、友達と釣りに行く時も整理整頓は僕がやります。食事の時も、自分の食べるところは、きれいに拭いてから食べるのが習慣になっていますから、もしガールフレンドの家に行って、散らかっていたりしたら片づけると思います。

―チャン・ナラさんと共演してみていかがでしたか?

ソ・イングク:とてもリラックスして演じることができました。性格や色々なことが僕と似ていて、とても気楽でした。撮影中はお互いにたくさん話もしました。

―チャン・ナラさんが相手役だと決まった時の気持ちはいかがでしたか?

ソ・イングク:チャン・ナラさんと共演できること自体がとてもうれしかったです。彼女が今まで出演してきた作品は、好評なものばかりでしたから、この作品もそうなるのかと思うと、僕にはとてもありがたいことだと思いましたし、光栄でした。

―チャン・ナラさんの不意打ちキスも話題になりましたが、恋愛のシーンで何かほかにエピソードはありますか?

ソ・イングク:ドラマには色々な状況が描かれるのですが、キスシーンやロマンスのシーンを撮影する時はやはり慎重になります。実際の恋人なら、自然にできるのでしょうが、演技じゃないですか? 僕との呼吸も撮影現場の雰囲気もとてもナーバスになって、慎重になっていました。そのためか特別なエピソードのようなものはないように思います。ただ、キスシーンの撮影が終わったからといって、リラックスして笑顔になるのも何ですから、静かに過ごしていたことは憶えています。

―特にNGが頻発したシーンはありますか?

ソ・イングク:ぶつかったり、相手を捕まえたりするシーンでは、やはり構図的に絵がカッコよくないといけないんです。ただ捕まえるだけではなく、絵がカッコよくなるまで、何度もやり直したことを思い出します。

―チャン・ナラさんとの関係が、ギクシャクして距離を置く演技も難しかったのではありませんか?

ソ・イングク:スキンシップをして親しい感じを出すよりも、ギクシャクしてぎこちない雰囲気を出すほうがむしろ楽でした。相手を放っておけばいいわけですから、一緒にいても相手を空気のように扱えばいいということだと思うので、それほど難しいことはなかったです。

―EXOのディオさんと撮影に入る前に2人で話しましたか? ディオさんの演技をどのように思いましたか?

ソ・イングク:あまり、話せませんでした。撮影現場では一緒になる時間がなくて、モニターでだけ見ました。一度くらい会えるかなと思っていたのですが、スケジュールが合わなくて、互いにCG撮影でだけで、共演はできませんでした。モニターで見た時は、とてもいい感じの目元をしていてうらやましいと感じるほどでした。クリッとした瞳で善良な感じのところが、むしろ凶悪さを感じさせる場合もあると、チャン・ナラさんと話したことを憶えています。

―ストーリー展開をあらかじめ知ってから、撮影に入りましたか?

ソ・イングク:知っておかなければいけないこともありますよね。でも、監督が、イ・ヒョンが記憶を失った時のことについて教えてくれようとした時は、それは後で聞きますからと言いました。

―NGが頻発したり、撮影で特に苦労したりしたところはありますか?

ソ・イングク:大変だったものを挙げるとすれば、感情表現の演技やアクションでしょうか? 感情表現も意外と体力を消耗するんです。ドラマが後半にいくほど睡眠時間はなくなるし、セリフは多くなって、あくせくしてきて大変でした。

―特に記憶に残っているシーンはありますか?

ソ・イングク:取調室のシーンです。セリフがとても多かったですし、撮影の分量も半端ではありませんでした。それに、取り調べ中に、単純に怒ればいいのではなく、容疑者の感情を引っ張り出さなければいけないので、どのようにアプローチしていいか大変悩みました。はじめは時間的な余裕が少しはあったのですが、取り調べ室や接見室シーンの撮影に入ってからは、色々なカットでシーンを撮ることも増え、時間内に撮影を終えるのが大変になってきました。シーンも多かったので、NGも多く出ました(笑)

―自分でもこれは上手くいったと思えるシーンはありますか?

ソ・イングク:自分の演技を高く評価するほうではないので(笑) でもラストシーンは上手くいったかなと思っています。笑みを浮かべることによって、イ・ヒョンのことを意味深く印象づけることができたのではないかと思いました。決して温かい人間ではないが、彼なりに正義を貫こうとしているように見えるのではないかと思いました。無条件に善良だから、正しいとは言えないじゃないですか? 笑みを浮かべた表情にナレーションが流れるところは、いいシーンだと思いました。

―記憶に残っているセリフはありますか?

ソ・イングク:セリフがとても多くて、今後の俳優人生を考えても、これ以上セリフが多い作品はないんじゃないかと思うくらいでした。以前の「王の顔」時も多かったですけどね……。記憶に残っているセリフといえば、接見室のシーンでインパクトのあるセリフはありました。イ・ジョンハが死んで、彼の父親に接見室で「思う存分、苦しめ。鑑賞してるよ」というセリフがあります。その時の表情や目つき、セリフが記憶に残っています。

―学生の役を演じたりもしていますが、男性的な役と比べた時にどちらの役がよかったり、演じやすかったりしますか?

ソ・イングク:演じている感覚がまったく異なります。どちらが良いと言うよりも、常に台本にセリフは書かれていますが、どのように演じるかによって異なってくるものじゃないですか? だから僕の立場からはどれが正解であるとかは判断できません。監督が演出して僕が演じたものが正解になると思っています。もし、この役をほかの人が演じたなら、その人が演じるのもまた正解になってくるのだと思います。演じることにおいての正解は、数学の問題のようにひとつしかないようなものではないので、簡単なものはひとつもないと思っています。だから役によってどちらが演じやすいとか、そういうのはまったくありません。おもしろさから言えば、テンポが速くて動きのあるようなドラマのほうが、おもしろいかもしれません。でもストーリーの中から糸口を見つけ出して、謎を解いていくようなサスペンスドラマも、他のドラマにはない、おもしろさがあると思うんですね。ジャンルによって演じ方もまったく違いますが、どちらも緊張感を持って一生懸命演じなければいけないことに、変わりはないと思っています。

―色々ジャンルの作品に出演していますが、作品を選ぶ時の基準はありますか?

ソ・イングク:台本がおもしろくて、この役はやりたいと思ったら、出演しなければと思います。目標を持つとか、僕はまだそんなに大した人間でもないし、今まで演じてきたキャラクターを見ても、意図したわけではありませんが、みなそれぞれ違っていて同じようなキャラクターはなかったと思います。

―新しく挑戦をしてみたいジャンルやキャラクターはありますか?

ソ・イングク:悪役を演じてみたいです。ノワール作品でなくてもワルの役を演じてみたいですね。

―このドラマを通して新しく挑戦できたと思えるようなことはありますか?

ソ・イングク:この作品に出演すること自体が挑戦だったと思います。まず、自分でもあれだけの多くのセリフを、覚えて演じきれるとは思っていませんでした(笑) なんとか無事に終えることができ、苦労したけれどよくやったという思いはあります。ほかのものをやっても、今度はこのドラマをやり抜いた経験から、心に余裕が持てるのではないかと思ったり、かえって次は大丈夫だろうかと恐くもなったり、色々な思いがしますね。

―日本のファンのみなさんにメッセージをお願いします。

ソ・イングク:こんにちは。ドラマ「君を憶えてる」でイ・ヒョン役を演じたソ・イングクです。サスペンスドラマでしたので、かなり苦労して撮影しました。あらゆることがストーリーの伏線になっているような感じでしたので、細かく撮影をしました。3ヶ月間本当に大変な撮影でしたが、その分、楽しめる作品に仕上がっています。細かな部分の演技も見逃さずに楽しんでいただければ幸いです。ドラマのストーリーは少し難解な部分もありますが、そういった部分もそのまま楽しめるドラマだと思っています。今後ともソ・イングクをよろしくお願いします。より良い作品で、またみなさんにごあいさつできる日を楽しみにしています。

「君を憶えてる」
DVD-SET1 5月3日(火) 発売/DVD-SET2 6月2日(木) 発売
各¥15,200+税 ※同時レンタル開始
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
(c)CJ E&M Corporation , all rights reserved.
公式サイト:http://kandera.jp/sp/kimiobo

記者 : Kstyle編集部