ナムグン・ミン“究極の悪役”への挑戦「怒鳴り続けて声帯が強くなった気がします」

OSEN |

写真=935エンターテインメント
実はナムグン・ミンをインタビューすることが決まって、やや怖い気がした。最近終了したSBS「リメンバー-息子の戦争」でわがままで勝手な“究極の悪役”を披露したためだった。しかし、実際に会った彼は違っていた。微笑ましい笑顔ほど温かく、優しい人だった。

ナムグン・ミンはソウル論硯洞(ノンヒョンドン) 935エンターテインメントの社屋で行わたOSENとのインタビューで「演技をしながら自分がその役に合うかどうか、そんな感があるが、今回は本当に良い予感がした。ある意味すべて監督のおかげだ。1週間に70分の作品2本を率いながら俳優を見捨てない方で、信頼してくれる姿に感銘を受けた。今度イ・チャンミン監督から誘いがあれば、どんな役かに関係なくまたお供すると思う」とし、気持ちよく笑った。

ナムグン・ミンは、実は「リメンバー」の主人公と言っても遜色がないほどだ。歴代級の悪役と評価され、ドラマ全体を通して視聴者から大きな支持を得た。昨年放送されたドラマ「匂いを見る少女」以来、もう一度悪役を選択し、相次ぐ悪役が陳腐だという評価が予想されていたが、180度異なる圧倒的なキャラクターを完成させ、“究極の悪役”という評価を受けた。

ナムグン・ミンは「リメンバー」のナム・ギュマン役として絶頂の演技力を見せた。実際の性格がそうかもしれないという錯覚を引き起こすほどだった。本来演技が上手な俳優と評価されていたが、これほどとは思っていなかったという反応が相次いだ。ドラマを成功裏に終えたナムグン・ミンに会って、撮影のエピソードから今後の抱負などを聞いてみた。

―劇中のナム・ギュマンは序盤に死ぬ役だったが、最後まで生き残った。

ナムグン・ミン:本当に良かった。実はこの役は僕がやるとは言ったけど、最初は比重が少ない役だった。しかし、キャラクターが良かったので比重は重要ではなかった。どう違う風に表現するかが問題だった。巷ではナムグン・ミンが悪役ばかりし過ぎではないかという話もあるが、僕の観点からは違うと思ったし、もう一度挑戦してみたかった。内在している怒りではなく、火のようにほとばしるような悪役をしてみたかった。自分があまりにも悪いことをしてしまい申し訳ない。しかし、長い間生き残って気分は良かった。

―サツマイモ(もどかしいという意味) とも言われた。

ナムグン・ミン:実は、脚本家と俳優は交流がない。作品をしながら連絡したことがない。その代わり監督とたくさん話し合う。こう言うと、これまで出演した作品の他の監督が寂しいと思うかも知れないが、イ監督が最高だった。ナム・ギュマンという役を大事に考えてくれて、どのように進めればいいか話し合ってくれた。だから道にそれることなく、正しい道へと方向性を決めることができたと思う。キャラクターをしっかり掴めていないと迷ったりして大変になるが、監督のおかげで上手くできたと思う。ぜひサツマイモではないドラマをしたかったが、最後まで行くのが本当に大変だった。今もちゃんとけじめをつけることができたと思う。本当に満足していて、嬉しい。

―これまでの悪役と差別化をしようとしたか?

ナムグン・ミン:第14話を撮影する頃、一度危機があった。演技のパターンがあまり重くて怖すぎるものになってはいけないと思った。こうなれば視聴者たちも見るのが大変になると思い、わざわざ雰囲気を盛り上げるために深刻な雰囲気の中でいい加減な姿も入れようと努力した。そんなところを好きになってくださったみたいだ。

―ナム・ギュマンが犯した悪行の中で、何が一番悪いと思うか?

ナムグン・ミン:ナム・ギュマンは本当にクズみたいな人間だ(笑) 自分のことしか考えない性格障害がある人だ。最初は悪いことを自然にやるのを演じるのが大変だったけれど、時間が立つほど大変じゃなくなってきた。

―台本に忠実に従うほうか?

ナムグン・ミン:このドラマにはアドリブが多かった。僕はアドリブが上手だからと言って良い俳優だとは思わないが、今回はとりわけアドリブをたくさん入れた。スタッフに僕がナム・ギュマンであることを信じてもらえたおかげだ。台本にはなかったが、状況によって色んなセリフが出てきた。「この乞食。またついてきちゃった」「そう、僕を捕まえてみなさい」などがそれだった。自分が勝手に言ってしまって脚本家には申し訳ない気持ちもあるが、これまで特に指摘はなかったと思う。

―ドラマを終えた感想は?

ナムグン・ミン:実は他の現場ではあちこちで叫んだりして、疲れたりする時もある。ある時は早く家に帰りたいと思うけれど、今回の現場は体はとても疲れたけれど、スタッフと俳優同士の呼吸が良かったためか、本当に良かった。体は大変だったけど、心だけは大変だとは思わなかった。

―究極の悪役という異名を得た。

ナムグン・ミン:監督が僕の演技に対する妥当性を作ってくれた。

―「ベテラン」のチョ・テホのアップグレード版とも言われている。

ナムグン・ミン:似ているけれど、僕は同じようにはしなかった思う。アップグレードというよりは演技をする俳優が異なるし、劇中の会社名もちょっと違うし(笑) 父も違うし、設定だけ似ていたがすべて異なる。財閥家という設定で似ていると思ったかもしれない。そんな状況を見て視聴者が評価してくださるのだと思う。僕がチョ・テホのアップグレード版ということについて自評しているわけではない。

―悪役を演じる時に体力的に厳しいと思うが、どこからエネルギーが出るのか?

ナムグン・ミン:実は怒るのは容易ではない。演技中に本当に死にそうだと思った。怒鳴り続けるので、声帯が強くなったような気もする。怒りの演技を種類別にマスターしたみたいだ(笑) イ・シオンと二人で練習したけれど、息が合った。シオンも良いアイデアを出してくれた。

―デビューして17年になる。まだ演技に対する乾きがあるか?

ナムグン・ミン:当然だ。新しい作品を始めるたびにストレスを受ける。しかし、僕は劇中のその人になろうと努力するだけで、研究はしない。例えば、その人の1日を考えて想像を巡らせる。そんな細かいところからキャラクターが生まれるのだと思う。ナム・ギュマン役を演じるために歴代の悪役がどうだったかを探して見たりはしなかった。俳優が別の人になるということ自体が大変で、人を敏感にさせる。撮影現場は次第に楽になるけれど、演技はますます大変になる。(デビュー初期は) いつ呼ばれるんだろうと焦ったが、今は撮影現場は楽になったけど、演技が何かよく分からない。だから、情熱が湧いてくると思う。

―今回の視聴者の評価の中で、一番嬉しかった言葉は?

ナムグン・ミン:役者にとって最高の賛辞は演技が上手という評価だ。この作品をしながらそのような評価を一番たくさん受けた。気分が良い。歌手は歌が上手でなければならないし、役者は演技が上手じゃなければならないと思って仕事をしてきたが、視聴者にそう評価していただいて感謝している。

―今年の大賞を期待しているか?

ナムグン・ミン:僕はそんなことを期待していないし、願ってもいない。もちろん賞を貰えれば気分は良いと思うが、自分が演技が上手だったから当然もらうべきとは思っていない。

―俳優たちとの呼吸はどうだったか?

ナムグン・ミン:出演者たちが本当にしっかりしていて良い人々だったので息が合った。演技をする時に人柄も良くないのに演技する姿勢も良くないと、一緒に演技するのが辛い。でも、今回会ったユ・スンホ、イ・シオンなどは皆優しくて人が良くて、演技しやすかった。

―ユ・スンホに怒鳴る時、悪いと思わなかったか?

ナムグン・ミン:この人も演技の貫禄がすごい。現場で会えばちゃんと挨拶するけれど、撮影に入れば急に変わる。演技する姿勢が本当に良い。そのためか、やはり入り込みやすかった。パク・ソンウン兄さんも演技歴が長いし、演技に対する心構えが良い。共演する人々の演技に対する心構えが良くて楽だった。

―次の作品ではどんなキャラクターを演じたいか?

ナムグン・ミン:まだ良く分からない。何をすればいいか。もうドラマでの悪役はやめた方がいいんじゃないだろうか。ジャンルを変えて悪役をすればリアルにできると思うが、ドラマでは悪役はある程度ピークまで来たと思う。

―ラブストーリーはどうか?

ナムグン・ミン:どんな役でも呼んでくれたらやる(笑) 役を見てやるのではなく、一生懸命やりたいし、挑戦してみたいし、作品が良ければ何でもやりたい。もうキャラクターに対する負担はない。別の役を担当して「また別の人じゃない」という反応を得るために頑張る。

―「リメンバー」で得たものがあるとすれば?

ナムグン・ミン:一緒に働く人たちとの信頼を得たと思う。私がナム・ギュマンを演じることについて信じてもらっていると思った。監督が僕のところに来て「僕、すごく期待して来たよ。このシーンどうする気?怒るのはどうするの?」と聞かれた。おかげで力になった。

―実際の性格はどうか?

ナムグン・ミン:誤解されてはいけない。最初に優しい役ばかりしていた時は、ナムグン・ミンは悪い役などできないと言われた。最近はまた逆に思われている。僕は悪い人ではない(笑)

―ドラマを愛してくれた視聴者に一言。

ナムグン・ミン:ナム・ギュマンを愛してくださり感謝している。僕がこのキャラクターから抜け出せないんじゃないか心配しなくても良い。また新たな姿をお見せする。自分の中の情熱が自惚れることがないよう努力する。

記者 : キム・ボラ