“防弾少年団の振付師”ソン・ソンドゥク「アイドルが成功するには?一番基本的なことは誠実さ」

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パフォーマンスがないアイドル音楽を想像すると、何か寂しい感じがする。アイドル音楽は歌、ビジュアル、そしてパフォーマンスという3拍子を揃えて繰り広げられるコンセプト音楽だ。そのうち、パフォーマンスは見る音楽の頂点を成す非常に重要な要素で、K-POPの韓流ブームの核心である。上手く作られた一つのポイント振り付けが歌の人気をリードすることもある。アイドルがカムバックするたびに、YouTubeにたくさん掲載される海外ファンのダンスカバー映像もパフォーマンスの重要性を示す。そのため、パフォーマンスを作る振付師の役割もともに大きくなった。約3分間のステージのために、アイドルグループの後ろで汗を流す振付師に会ってきた。

グループ防弾少年団を今の地位に立たせたのはなんだろう。ヒップホップアイドルのコンセプト、直接音楽を作り、語るアーティストの能力、カッコいいビジュアル等々、防弾少年団には様々な魅力がある。その中でも断然、前面に押し出せるのはパフォーマンスだ。防弾少年団はデビュー初期からカル群舞(体を曲げる角度から指先まで完璧な刃物のように合わせるダンス)とパワフルなパフォーマンスを武器にした。ほとんどのアイドルがパフォーマンスを武器にしているが、防弾少年団はより強烈だった。

防弾少年団のパフォーマンスが尋常ではないと思ったのは、2013年リリースした「O!RUL8,2?(oh! are you late, too?)」のアルバムからだった。コンセプトトレーラーという独特な映像を公開した防弾少年団は該当の映像で完璧なカル群舞を披露する。まるでダンスクルーの映像を見ているように上手く編曲された音楽と共にパフォーマンスでアルバムの性格を表現した映像だった。

防弾少年団というアイドルがパフォーマンスの重要性を知っていたと確信したのは、2015年1月に公開された「歌謡大祭典」でのイントロパフォーマンストレーラーだった。防弾少年団がMBC「2014 歌謡大祭典」のイントロステージで見せたパフォーマンスをそのまま盛り込んだ映像だった。「グッドカメラ」「ベリーグッドカメラ」に分けて様々なバージョンを公開したという点で、防弾少年団がパフォーマンスを単純に付随的な要素として考えているわけではなく、中心として考えていることが分かった。

驚くべきことは、このすべてがBig Hitエンターテインメントに所属しているパフォーマンスディレクターソン・ソンドゥク振付師の手先から生まれたということだ。防弾少年団がパフォーマンスという武器を必殺技にした背景には彼がいた。彼はどんな人物なのか。ソン・ソンドゥク振付師に会った。

ソン・ソンドゥク振付師:防弾少年団

―防弾少年団はタイトル曲の振り付けだけではなく、コンセプトトレーラーなど特別に準備したパフォーマンスが多いです。一人で作るのは大変ではないですか。

ソン・ソンドゥク振付師:大変です。「NO MORE DREAM」の時から今までレパートリーが多いです。本当に感謝しているのがダンスを賞賛される時が多かったことです。他の歌手と仕事をする時も同じだけれど、褒め言葉がプレシャーになる時もあります。期待値が高くなるので。SNSでありがたいと言われる時は力も湧くし、もっと頑張らなければならないと思います。そうしているとパフォーマンスのイメージが強く、反応が良いので関連コンテンツをたくさん作りました。一つのアルバムで3~4曲もあるので大変です。僕一人だけだから、同じ歌手、同じメンバーで似ている構成があるし、毎年どうしても変えなければならないので大変でした。

―そのストレスはどう解消していますか?

ソン・ソンドゥク振付師:仕方なく頭を絞って作ります。「I NEED U」の時は振り付けが思い浮かばず、バン・シヒョク兄さんにお願いして釜山(プサン)に行きました。その時は頭の中が空っぽでした。僕が釜山でこの仕事がしたくて夢を育てながら練習した公園があります。そこのベンチで横になって寝ました。寝ながら僕の青春時代を思い出したり、「花様年華」というテーマについても色々考えました。そのようにして突然思い浮かんだのが「I NEED U」でした。

―「I NEED U」の時は半ズボンも神の一手でした。防弾少年団のコンセプトを見ると歌、映像、ミュージックビデオ、スタイリングがすべて有機的に交わるようです。

ソンソンドゥク:そのパンツはキム・ソンヒョンという方の作品です。私たちは、大企業ではありません。ビジュアル、パフォーマンス、音楽、そしてシヒョク兄さんが集まっていつも一緒に話をして共有しています。そんなことが返ってきているようです。

―個人的に「2014 MBC歌謡大祭典」のトレーラーが本当に印象的でした。グッドカメラ、ベリーグッドカメラのバージョンに分けてパフォーマンスを作り、それを効果的にカメラに盛り込んだことが斬新でした。

ソン・ソンドゥク振付師:シヒョク兄さんに本当に感謝しています。仕事の面でも感謝しています。僕にできることを、やりたいことを知っていて、後押ししてくれるし、協力してくれます。それだけではなく、防弾少年団を作る前までは1ヶ月間留学にも行かせてくれたし、年末の歌謡大祭典の時はダンサーたちをこのように踊らせたいと言うと、「一度やってみな」と信じて任せてくれます。その時「歌謡大祭典」の時のパフォーマンスがカメラに上手く映らなかった時は僕の方よりシヒョク兄さんの方ががっかりしていました。放送で上手く映らず残念に思ったシヒョク兄さんが映像で完璧なパフォーマンスを見せようと作ったものがその映像でした。ファンに絶対見せようと言いました。

―現在、Big Hitエンターテインメントに所属していますが、ダンスチームで活動する時と企画会社に所属して活動する時とどう違いますか?

ソン・ソンドゥク振付師:一番大きな違いは一人で仕事をすることとチームで仕事をすることです。チームだと、振り付けを作る時もチーム員が協力してくれたり、様々な歌手と仕事しながら才能を発揮できます。その一方、企画会社に所属するとやりたいことに対し円滑にコミュニケーションを取ることができ、機会が増えます。また、目標が様々な方向に分散されるより同じ会社で同じ目標を持って前進するのが違います。

―個人的にどのスタイルが好きですか?

ソン・ソンドゥク振付師:個人的に僕はもともと誰からも干渉されたくない特攻隊のような気質があるので楽だけど、一人だと大変です。本当にコンサートを準備する時は振り付けチームが来ると、楽しくて賑やかだけど、皆が帰って一人で練習室にいると本当に寂しいです。だからチーム員の迎え入れも考えています。養成する計画もあるけれど、良い人に出会えるのも難しいことですから。能力があっても意見が合わないと大変になります。

―GFRIENDを担当しているパク・ジュニ振付師と協力して作った「ガラス玉」の振り付けや防弾少年団の様々な振り付けを見ると、カル群舞専門の振付師のようですね。

ソン・ソンドゥク振付師:あ、僕がダンスを習った時はユ・スンジュンのダンスチームでした。そのチーム自体がカル群舞が多かったです。最初そのようにカル群舞を習ったからか、人々に見せるダンスは基本的に完璧な刃物のように合わせるものだと思います。正直、「ホルモン戦争」のように自然に踊るダンスもあります。完璧に合わせるダンスではなく自然に踊らせる時にもっと上手く踊れる時もあります。今は、カル群舞よりは成熟したダンスを見せたいです。経歴も長くなり、時間が経つにつれ、僕たちが表現したいものを動作よりは心で感じていることを表現しなければなりません。完璧に合わせる振り付けもありますが、感じていることを上手く表現するために中にあるものを引き出そうとしています。

―普段、1人で作業していますが、年末の授賞式で大規模なダンサーが必要な時はどう作業していますか?

ソン・ソンドゥク振付師:まずは交渉します。交渉が一番重要です。授賞式でダンサーたちに感謝しています。このことは必ず話したかったです。彼らがいなかったら恐らくそのパフォーマンスはできなかったでしょう。年末に時間を割いて練習に参加してくれたダンサーたちに本当に感謝しています。ダンサーを交渉するのも大変だけど、必要な人員を収容できる練習室を見つけることも大変です。また、パフォーマンスに使われる音楽も僕が作らなければなりません。作曲家と一緒に作業して振り付けに必要なソース、雰囲気、効果も全て直接作ります。歌のことも、振り付けのことも悩み、練習室もレンタルして、ダンサーたちも交渉し、防弾少年団のスケジュールもチェックしなければ……僕は天才ではないので、振り付けを作るために30人をステージに立たせることはできないので、一人で部屋に閉じこもって振り付けを作った後、皆に教えたり、絵を観ながら練習しました。防弾少年団も、ダンサーもたくさん悩みました。そのような理由で放送で上手く映らなかった時は凄く残念でした。

―振付師として活動しながら様々なアイドルを見てきました。成功するための基本的な条件は何だと思いますか?

ソン・ソンドゥク振付師:誠実さだと思います。一番簡単な答えであり、難しい答えです。他のアイドルが誠実ではないというわけではありません。この前、防弾少年団のメンバーと一緒に食事しながら様々な話をしました。メンバーたちが自ら誠実だと思っていました。仲たがいをさせずに男らしく話し合いで問題を解決し、システムも整っています。僕の所属事務所だからではなく、本当に優しくて礼儀正しいメンバーです。この程度の経歴だと反抗したり問題を起こす時期ですが、本当に良い子たちです。成功は人柄に比例します。メンバーたちに休めと言っても、もう一度ダンスの練習をします。一番基本的なことは誠実さだと思います。

―さて、これからソン・ソンドゥクさんのことを話してみましょう。ダンスに夢中になったきっかけは何ですか?

ソン・ソンドゥク振付師:小学校3年生の時、兄さんの友達がヒョン・ジニョンのカバーダンスを踊るのを見て衝撃を受けました。1人で練習しました。5年生になった時、アラム団で修練に行きましたが、3つの学校が連合して行きました。その時、代表として誰かが踊るように勧められました、誰も踊ろうとしなかったので、僕が出ました。大当たりしました。人々の前で踊るとこんな気分なんだなとその時に分かりました。その後、何かがあれば前に出て踊りました。そうしているうちにユ・スンジュンを見て、あの人の後ろで踊りたいと思い、ダンサーになりました。

―現実的に辛かった時期もあったと思いますが、ダンサーになる夢を追う原動力になったのは何ですか?

ソン・ソンドゥク振付師:僕は家族です。僕の幼い頃が防弾少年団の曲「花様年華」と重なる部分が多いです。高校生の時に4度も転校しました。いつだか学校に呼ばれた父が、学校から帰る時に夕焼けを見ながら「ソンドゥク、お前は今日、この瞬間を一生後悔するだろう」と言いました。僕は「この瞬間を後悔しない自信があります。踊ることを許してください」とお願いしました。その日の夜から正式に踊ることを許可されました。両親が「そのかわりに最善を尽くしなさい。一番にならなくてもいいから最善を尽くしなさい。お母さんが何としてでもサポートするから心配しないで最善を尽くしなさい。最後には神様のために最善を尽くしなさい」と言われました。宗教的なこともありましたが、その時、家で正式に認めてくれました。本当に辛いことがあるたびに家族のことを考えました。家出を繰り返した時は父が練習室まで来て外で練習が終わるまで待ってくれました。この仕事を始めていつからか僕のことを自慢している両親を見て嬉しかったです。最後まで信じてくれました。

―以前よりダンサーの待遇が良くなりましたが、まだまだです。どんな点が一番改善されてほしいですか?

ソン・ソンドゥク振付師:既存のダンサーたちが放送振り付け協会も設立し、著作権も取ろうとしています。ダンサーたちがいくら団結しても限界があります。既存のダンサーたちが道を磨き、今後、後輩たちがより良い環境で踊ってほしいです。でも、まだ認識不足です。以前よりは先入観がなくなりましたが、社会的な認識がまだ足りないです。でも、ファンたちはこのようなことを理解してくれるので本当にありがたいです。

―今後、振付師としての目標があるとしたら?

ソン・ソンドゥク振付師:ワークショップによく行っていますが、頻度を増やしたいです。自慢ではありませんが、ダンサーとして初めてアメリカにワークショップに行きました。個人的なワークショップとしてアメリカ、ヨーロッパー、アジアに行きました。ワークショップを聞きに来る人の中には防弾少年団のファンもいるし、K-POPのファンもいて、思ったより市場が大きかったです。ありがたくも僕の振り付けが好きな方々が多くてワークショップを開催しましたが、K-POPにパフォーマンスが大きく貢献していることが分かりました。その貢献度の認識を高めたいです。他の振付師にも機会をたくさん作ってあげたいです。振り付けやパフォーマンスの重要性に振付師が大きく貢献していることを広く知らせたいです。

記者 : パク・スジョン、写真 : Big Hitエンターテインメント、翻訳 : チェ・ユンジョン