“OH MY GIRLの振付師”イ・ソルミ、星座ダンスを誕生させるまで

10asia |

写真=イ・ソルミ振付師 Instagram

パフォーマンスがないアイドル音楽を想像すると、何か寂しい感じがする。アイドル音楽は歌、ビジュアル、そしてパフォーマンスという3拍子を揃えて繰り広げられるコンセプト音楽だ。そのうち、パフォーマンスは見る音楽の頂点を成す非常に重要な要素で、K-POPの韓流ブームの核心である。上手く作られた一つのポイントの振付が歌の人気をリードすることもある。アイドルがカムバックするたびに、YouTubeにたくさん掲載される海外ファンのダンスカバー映像もパフォーマンスの重要性を示す。そのため、パフォーマンスを作る振付師の役割もともに大きくなった。約3分間のステージのために、アイドルグループの後ろで汗を流す振付師に会ってきた。

韓国では1ヶ月に数十組のグループが新曲を発表する。その中で大衆の視線を奪うのは極めて難しい。だが、神秘的な雰囲気で関心を集めているグループを発見した。ガールズグループOH MY GIRLのことだ。OH MY GIRLは最近発表した新曲「CLOSER」で星座ダンスを誕生させ、話題を集めた。パフォーマンスを上から見下ろすと、8人のメンバーが星座の形を作り出す。それと同時に少女らしく、神秘的な動作で歌を表現する。夢幻的な雰囲気に満ちている「CLOSER」を非常に上手く表現した素晴らしいパフォーマンスだ。

果たして誰がこのようなパフォーマンスを作ったのか気になった。有名な振付チームの団長だろうかと想像した。だが、その主人公は現在、フリーランサーとして活動している振付家イ・ソルミ(ニックネーム:soulme)だった。イ・ソルミ振付師はOH MY GIRLのデビュー曲「CUPID」を担当してWMエンターテインメントとの仕事を始めた。彼女は「運が良かった」と「CUPID」の振付を作ったことに対して謙虚に話したが、自分の実力に対するプライドだけは強く持っていた。

イ・ソルミ振付師は中学校3年生の時からダンサーとして活動を始め、15年以上活動してきた専門家だ。OPPA、WAX、ペク・チヨン、ソン・ダムビなどの振付チームで活動し、今はダンス講師兼フリーランサーとして活動している。少女時代のユニットであるテティソの「Twinkle」、f(x)の「Hot Summer」、少女時代の「ダイヤモンド」、EXIDの「I FEEL GOOD」、G.NAの「2 HOT」などの振付も誕生させた。優れたセンスを持っている。波乱万丈な人生をダンスで耐えてきたイ・ソルミ振付師からは職人のエネルギーが感じられた。

イ・ソルミ振付師:OH MY GIRL

―中学校3年生の時からダンサーとして活動を始めたなんて驚きました。歌手ではなく、ダンサーを夢見た理由はありますか?

イ・ソルミ振付師:振付師が好きだからです。ソテジワアイドゥルを見て、彼らのようにダンスを踊ることもできるんだと感心しました。家ではダンスを見る方法がなくて、学校の前で売っているテープで見て聞きました。その時、テープを通じて外国歌手がいることを初めて知りましたが、音楽だけ聞いていました。そんなある日、友達から夢について聞かれてダンスを踊りたいと答えました。人々が喜ぶようなダンスを踊りたいと、私のダンスを知ってもらいたいと話しました。そうやってメモを交換していたある日、その友達がある住所を教えてくれました。私の代わりに振付チームに電話をしてくれたんです。私の名前で連絡しておいたと友達から聞いて、オーディションを受けに行きました。その時が中3でした。

―その友達がいなかったら始められなかったかもしれない夢でしたね。

イ・ソルミ振付師:中3の時に始めて、その後は学校に行くよりもダンサーとして活動を続けました。その友達は私の恩人です。でも、残念ながら今は連絡が途絶えているんです。

―WMエンターテインメントとはどんなきっかけで一緒に仕事するようになりました?

イ・ソルミ振付師:WMエンターテインメントから偶然、OH MY GIRLというガールズグループがいるという連絡を受けることになりました。彼女たちの振付を作ってほしいと言われました。「CUPID」の音楽を聞いて次の日、振付を作りました。私なりのやり方で作ったものでしたが、素敵だと言ってもらえました。

―どうやって振付を作りましたか?

イ・ソルミ振付師:私は音楽を聞いてすぐに振付を作る方です。こんな絵がいいなと想像して、それをダンスで表現するんです。「CUPID」を聞いた時は、「パルラル」という部分がラッパを吹くような感じがしてラッパを吹くような振付を作りました。その時、彼女たちが指揮をして、その指揮の中で一緒に動く姿を考えました。

―「CLOSER」は星座ダンスが話題になりましたが、どんなアイデアから出発しましたか?

イ・ソルミ振付師:「CLOSER」は歌を聞いた時、違う世界の人の物語のようだと感じました。それで、OH MY GIRLのメンバーたちとたくさん話し合いました。彼女たちにこの音楽を聞いてどんなことを考えたのか聞くと、宇宙にいるみたいとか、一人ぼっちみたいなど、一人ずつ話を聞いていたらとても面白かったです。何がいいかなと考えている時、理事とプロデューサーが星に関するストーリーがいいと全体的な絵を描いてくれました。そうやって星というモチーフができて、メンバー一人ひとりの星座を作ってみようと考えました。アリンの場合、彼女のパートで何をすればいいかたくさん悩んで、北斗七星が思い浮かびました。

―星座の隊形を作ることは決して簡単ではなかったと思います。

イ・ソルミ振付師:星座をたくさん調べました。本当にたくさん悩みました。でも、運が良かったのが、描いているうちに誕生しました。ファンの反応の中で、スンヒはメインボーカルなのにどうして最後にいることが多いのかという書き込みを見ました。それは構成を作っているうちに出てきたんです。その位置に重なる部分が多かったからです。自分なりに考えて作った絵です。

―大変なことはなかったですか?

イ・ソルミ振付師:振付の動作が大変でした。少し間違えるだけでセクシーな感じが出る動作が多かったです。「CUPID」の時から、始まってから座っている構成が多かったのですが、今回は違う絵を描きたかったんです。最近のアイドルはほとんどが立っていて、最初のスタートの絵が大抵似ているから、違うようにしたくて座って始めました。それで、立ち上がるのための動作を入れたら少しセクシーな感じが出ました。でも、OH MY GIRLはまだセクシーに見えてはいけないので、とても注意しました。

―上から見る星座ダンスの動線と前から見る動作を同時に考えることは難しかったと思います。

イ・ソルミ振付師:動線と動作を一緒に決めました。メンバーたちと一緒にダンスを作りました。「CUPID」の時は試案を作る時だけ他のダンサーたちに手伝ってほしいとお願いしましたが、「CLOSER」は他のダンサーたちに助けを求めませんでした。「CLOSER」は最初からメンバーたちと一緒に作っていきました。外部の人の力をまったく借りず、WMエンターテインメントだけの力で作ったんです。

―胸がいっぱいになったと思います。「CLOSER」の振付のうち、一番胸がいっぱいになる部分がありますか?

イ・ソルミ振付師:完成後に見たら、ユアが最初のパートを歌う時の隊形が本当にかっこいいと思いました。その動作を上手く消化しないとあまりかっこよく見えなかったと思いますが、メンバーたちが努力して見事な絵を作り出してくれました。私が望んだ絵を作り上げてくれて「CLOSER」は特に胸がいっぱいです。

―OH MY GIRLのメンバーたちの魅力は何ですか?

イ・ソルミ振付師:ヒョジョンは最年長なのに、最年少っぽい時もあります。スンヒと一緒にグループの雰囲気を盛り上げます。スンヒは才能がたくさんあって、メンバーたちを笑わせてくれます。自分が大変な時もそんなそぶりは見せず、メンバーたちを元気づけてくれるんです。それはヒョジョンも同じです。ミミは私が見るにダンスが一番上手いです。ミミは本当に助けてくれました。隣でたくさん手伝ってくれました。振付を作る時、一緒にまとめながら手伝ってくれました。ジホは静かなのに自分がやるべきことをすべてやるメンバーです。例えば、他のメンバーたちが周りを散らかしたら自分で全部片付けた後、やったそぶりを見せないんです。他のスタッフが仕事する時も手伝うことがあるかどうかと聞きます。アリンは本当に末っ子です。可愛いんです。グループによく調和します。ジンは自分が上手くできないことに耐えられないメンバーです。そんなそぶりは見せないですが、実は心がか弱いんです。そんな中で最善をつくすことがジンの魅力です。ユアはまるで人形のような顔なのに、自分が可愛いと思わないんです。可愛いと言っても、他のメンバーたちは皆可愛いのに自分はどうすればいいのかと聞いてくるんです。また、どう努力すればいいのかと聞いてきます。一人で努力するタイプなので、もう少し自分について話してほしいです。ビニも努力家です。実はメンバー全員が努力家ですが、その中でもビニは私によく叱られました。ですが、前の事務所でもよく怒られたけれど、怒るばかりで何を直せばいいのか教えてくれなくて大変だったと打ち明けてくれました。だからよくない部分を指摘すると、ビニはそれを直しました。また、ビニは話し方が大人っぽい傾向があります。OH MY GIRLのメンバーたちは本当にバランスが取れているんです。リーダーのヒョジョンがグループの面倒を見て、その中でスンヒが雰囲気を盛り上げて、ミミはダンスを担当してくれます。

―OH MY GIRLのグループ自体の魅力は何だと思います?

イ・ソルミ振付師:前向きなことです。また、努力するところです。もし努力をしなかったら、前向きな面が強くてもその前向きさが見えないのに、OH MY GIRLは一人が体の調子を崩したり、傷ついたら、そんなことについてお互いにアドバイスして、慰めるんです。もし、私が振付の部分で彼女たちを叱ったり、メンバーの誰かがダンスのせいで苦しむ時、「君はできる」という言葉だけでなく、一晩中一緒に練習して助けるんです。私はその姿がとても嬉しいんです。他のアイドルもたくさん見てきましたが、OH MY GIRLは本当に上手くいくと思います。人間性がいいんです。私はダンスも重要ですが、それよりも人間性を教えたいです。彼女たちに変化はあっても変わらないことが私の望みです。OH MY GIRLに君たちもアーティストだけど、理事やスタッフも照明の後ろにいるアーティストだと話したことがあります。その話がヒョジョンの胸にぐっと来たようで、ヒョジョンはすべての人がアーティストという言葉を忘れないと言いました。それが本当に嬉しかったです。それほど、彼女たちは努力もたくさんしています。

―15年以上、ダンサーとして活動していますが、大変だったことはないですか?

イ・ソルミ振付師:私の人生は波乱万丈です。私の人生について聞いた人は小説を書いた方がいいと言うほどです。私はトラウマがあって水泳ができず、今は膝を手術しなければならず、体がかなり壊れました。

―そんなに大変だったら、辞めたい時もあったと思います。

イ・ソルミ振付師:だから一度、辞めました。辞めた後、どんな仕事をすればいいだろうと考えながら家で数ヶ月間泣きながら過ごしました。ヘルニアも患っていたのにヘルニアの治療費がなく、悪い噂が流れて、そんな話にもならない噂を聞きながら人と会うことが嫌になりました。対人恐怖症にもなりました。この世界は狭いので、根拠もない話が出てきたりするところです。でも、ある知り合いが今後も踊り続けてほしいとダンス講師の仕事を紹介してくれました。それが4年前でした。その方のおかげで再びダンスを始めることができました。

―今は大丈夫ですか?

イ・ソルミ振付師:腰は今もペインクリニックで注射を打っています。私のニックネームは“24時間応急室”でした。子供の頃から体が弱くてすごく苦労しました。だから体の調子が良くないという話を聞くと、それが仮病なのか本当なのかが分かります。それが仮病の場合は腹が立ちます。

―色々と大変でしたが、胸がいっぱいだった記憶もあると思います。

イ・ソルミ振付師:WMエンターテインメントに来て一番胸がいっぱいになりました。私を認めてくれたからです。プロデューサー、理事、クォン・テボム振付師に感謝します。特に、クォン・テボム振付師に本当に感謝しています。ここに来てから本当に前向きなエネルギーをたくさんもらいました。また、OH MY GIRLのメンバーたちは本当に賢いです。もしメンバーの一人が理解していなくても、違うメンバーがそれを理解してメンバーたちと話し合います。今まで一緒にやってきたアイドルの中で最も優秀です。

―ダンサー活動をしながら自分で見てもかっこいいと思ったステージはありますか?

イ・ソルミ振付師:Trouble Makerの「Trouble Maker」です。私が考えたこともない振付が出ました。また、4Minuteのキム・ヒョナとBEASTのチャン・ヒョンスンはそんなパフォーマンスを支えられるアーティストです。ステージ自体を輝かせる振付でした。

―振付を作る時、何を最も重視しますか?

イ・ソルミ振付師:振付を作る人に対する礼儀を重視します。理解できないのは、最近、海外から振付をもらうケースが多いのですが、振付を上手く作る人は韓国にもたくさんいるんです。海外で作った振付だと聞いて見たら、首をひねるようなものも多いです。そして、海外の振付師と韓国の振付師の待遇が違います。だけど、韓国の振付師の作品の方がもっと良い時も多いです。韓国人は韓国人の体についてもっとよく知っているので、その特性を理解してどんなダンスを踊るべきか把握してシナジー効果を出しているのに、どうして無条件に外国のものが良いと言うのか分からないです。

―振付師としての夢はありますか?

イ・ソルミ振付師:自分の練習室を作って生徒たちを幼い頃からきちんと育てたいです。私のスタイル通りに私の振付でダンサーを育てて大会にも出たいです。本当に幼い生徒を育てたいです。実は、お金のせいで困っている人もたくさんいます。お金のためにチームに入ろうとする人もいます。韓国は練習した分の給料を払うことがなく、現実的にダンサーたちは厳しいんです。中国でも練習した後、給料をくれるというのに、韓国はダンサーに対する礼遇がとても劣悪です。そんな状況も変わってほしいです。

―これだけはどうか直ってほしいということはありますか?

イ・ソルミ振付師:給料に関することです。一番後に払って、ダメなら払わなくてもいいのがダンサーの給料だと聞きました。歌手であれ、芸能人であれ、才能を見せるためにある人はダンスを踊ります。そのダンスのために振付師がいるのに、それを無視します。会社とダンサー間ではなく、ダンサーとダンサー間の葛藤も多いです。

―ダンスも教えているので、生徒に話したいことがあると思います。

イ・ソルミ振付師:本当に幼いのにダンスを上手に踊る人がたくさんいます。レッスンをするたびに自分の踊り方でダンスを踊る人には拍手をします。それは私が真似できない部分です。そうやって進んでいくことが正しいと思います。若くても、家が裕福で趣味のように習う人もいれば、生活が苦しくてバイトをしている生徒もいます。そのみんながダンスが大変で辞めるわけではありません。違う要因で、人のせいで大変だと感じて辞める場合もあります。だけど、傷つくことなく、ダンスを諦めず、少しずつ発展していってほしいです。

―ダンサーになりたい人にアドバイスをお願いします。

イ・ソルミ振付師:お金ばかり追わないでほしいです。努力の成果がある時も、自分が確実に努力した時も、お金をもらえない時が多いです。でも、それはダンサーだけでなく、すべての職業がそうだと思います。お金だけのために自分の生活が大変だからと辞めることなく、何より健康を重視してほしいです。

―イ・ソルミ振付師にとってダンスとは何ですか?

イ・ソルミ振付師:ダンスはピリオドでありたいのですが、ピリオドになってほしくないものもあります。ダンスで多くのことができます。もう少し進むことができます。このダンスがただ踊ることで終わらず、このダンスによって発展する自分になりたいです。それが「私は振付師だ」と定義されたり、ピリオドになりたくない理由です。発展したいという意味です。

記者 : パク・スジョン、翻訳 : ナ・ウンジョン