歌手チョン・ドンハ、寒くて寂しかった少年が温かい奇跡に出会った

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写真=EVERMORE MUSIC
一人でいる時間に慣れていて、内気な性格のために無口であった。ただ歌うのが好きだった。温かいハグを感じたその瞬間が忘れられない。10年間、歌手として歌ってきた。祝福だと信じている。奇跡として近づいてくれたこの道をずっと歩んでいく。歌手チョン・ドンハはどうか今の情熱が冷めることがないように願うだけだ。


情熱的な歌手あるいは落ち着いたDJ

全国ツアーとラジオのDJを並行している。観客もリスナーも女性の方が多い。いつも僕に最も大きな力を与えてくれる。なんと言えばいいだろうか。僕を守ってあげたいみたいだ(笑) 僕のコンサートで「なぜ僕のことが好きですか?」と質問したことがある。すると、答えの代わりに歓声を上げてくださった。理由を正確に聞くことはできなかったけど、それだけで感謝したし、感動した。

コンサートでは僕が発売した曲や「不朽の名曲」でのレパートリー、僕が出演したミュージカルの曲を披露する。約3時間の公演時間にすべての曲を盛り込むことはできないので、残念だ。もっと多くの曲を届けたい。公演の回数が増え、MCも増えた。どちらかと言うとラジオのDJをやっていることが公演にも役に立つ。

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ロックバンドプファル(復活) としてデビューし、歌手チョン・ドンハとしてミュージカル俳優としてステージに立っている。そしてKBS 2TV「不朽の名曲」にも引き続き出演している。その度に「僕は歌手でも俳優でもない」と思う。ただステージとともにある存在そのものだと感じている。ステージという空間からもらうエネルギーは凄まじいものだ。

正直、「不朽の名曲」は大変だ。これは他の歌手も同じだと思う。3分のステージにすべてを注ぎ込む必要がある。起承転結を盛り込んで、クライマックスに向かうステージを完成させなければならない。エネルギーを爆発させるために渾身の力を注ぐ。僕は流行の歌を歌う歌手だ。人々の反響を得る必要がある。僕は観客の反応をチェックし、ステージを発展させていかないとならない。他の歌手たちを通じて進化するものももちろんあると思う。いろいろな面で「不朽の名曲」は得るものの多い番組だ。


内気な少年あるいは自由な夢想家

時間が経つに連れ、幼い頃の僕に出会っていると感じる。内気で、無口だった僕が多くの観客の前で歌を歌い話をする。7~8歳の頃、僕はよくしゃべる子だった。その後、環境的な要因で変わった僕が再び幼い頃の僕に戻ろうとしている。飾り気のなかったあの頃と再び向い合って、すごく不思議な気分でもある。

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僕たちは生きながら多くのものを学ぶ。知恵を得ることもできるけど、本当の僕の姿を忘れることもある。作られた部分を学びながら、頻繁に使うようになった機能的な部分に慣れていく。もちろん決まった構造に沿って間違わないのも重要だが、生きながら自由な流れのほうがもっと重要であると思った。

なので、毎回その瞬間がもっと重要になる。そのような刹那が繋がって流れになる。僕たちが計画を立てたとしても、そのまま流れる場合はほとんどない。意外な場所、意外な人と出会って一つが完成される場合が多い。大げさな計画よりは今日一日に最善を尽くしたいと思う理由でもある。

2013年と2014年の計画は同じだった。「僕を待っているファンがいる場所ならどこにでも行こう」だった。今年全国ツアーを行う意味も同じだ。事務所と話し合って、できるだけ多くのステージに立ちたい。コンサートに来てくださるみなさんに感謝以上の感情を感じている。大事な時間を僕に割いてくださったし、さらにお金まで払ってくださった。あの方々は僕に多くのものを投資したことになる。なので、あの方々に何でももっと差し上げたいと思う。僕の公演を通じて、小さなものでもいいので前向きな変化があったらと思う。

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ステージの上のチョン・ドンハあるいは祝福のチョン・ドンハ

昔は歌の練習を本当にたくさんしていた。歌いながら眠り、目が覚めるとまた歌を歌った時代があった。歌をたくさん歌えば歌うほど、喉が傷んだ。あの頃は発声がよくない時代だったのでさらにそうだった。今は練習は多くはしない。公演そのものが練習だ。ボーカルでは技術的な部分も重要だ。

しかし、一番重要なのはソウル(魂) だ。悲しい歌を歌う時は、僕の魂がその感情を理解するのが大事だ。経験があればもっと有利だ。本当に僕の話だと思って集中できた時に最高の成果を得ることができる。演技を学んだ理由も、集中度を高めるためだった。まるでその状況の人物が僕であるかのように自らに催眠をかける過程が必要だった。まだ未熟ではあるが、ミュージカルを通じてたくさんのことを学んだ。

「不朽の名曲」をはじめとする音楽関連の番組は全部好きだ。「覆面歌王」をよく見ている。「私は歌手だ」も僕はすごくいいと思っていた。まず、音楽が聞けるし、ステージを興味深く見ることができる。忘れられた歌手やまだ無名で輝けなかった歌手たちを発掘するきっかけにもなる。歌手の可能性だけを買って勇気を出して出演のオファーを出す制作陣に感謝している。

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内気な性格なので、人の前だと会話よりは歌のほうが楽だった。幼い頃から一人でいる時間が多く、人との会話に慣れていなかった。違和感を感じ、避けようとだけしていた。しかし、歌は違っていた。まるで寒い部屋に一人でいたのに温かい部屋に招待されたような感じだった。5万人の前で歌ったことがあるが、本当に楽だった。観客が一粒の雫に見えた。温かい海の前で歌う僕を包んでくれていると思った。

歌っている今、この道を歩んでいることが僕には祝福だ。僕を愛してくれる方々がいるのは奇跡だ。僕はあの方々の期待に応えるのが役目だと思っている。上手く作り上げて応えたい。ここ10年間、音楽をやっていた時間はどう過ぎたか分からない。それほど集中していた。デビュー20周年もああいう風に迎えられたらと思う。僕の情熱が冷めないことを願う。

記者 : キム・イェナ