チェ・グォン「『プロデューサー』でキム・スヒョン&イ・スンギと再会…胸が熱くなった」

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「シンディ、俺がなんて言った? 一度だけ跪こうと言っただろう? 兄さんはな、一日に12回も跪くんだよ」――ドラマ「プロデューサー」より

テレビ局の芸能局で展開されるストーリーをリアルに描いたKBS 2TV「プロデューサー」。テレビ局という“甲(地位が高いもの)”の世界にも“乙(地位が低いもの)”は存在していた。そしてその乙の中の乙はシンディのマネージャー、パクくんだった。

シンディのマネージャーパクくん役を演じた俳優の名はチェ・グォン。彼は空気が読めず、隙だらけな一面で笑いを届ける一方、乙の涙を演じて視聴者を感動させた。リアルなマネージャーの演技で好評を受けたチェ・グォンは「プロデューサー」の恩恵を受けた俳優として浮上した。

チェ・グォンはデビュー10年目の俳優だ。2005年にKBSドラマ「このろくでなしの愛」でデビューし、「オーバー・ザ・レインボー」「キムチ・チーズ・スマイル」「キング~Two Hearts」などに出演した。苦労の末に訪れた全盛期に浮かれていても当然だが、チェ・グォンは落ち着いていて謙虚だった。まだ“シンディのマネージャー”から抜け出せていないようなチェ・グォンは自身を輝かせてくれた「プロデューサー」の制作陣とスタッフ、視聴者への感謝の気持ちでインタビュー中、目を潤ませる時もあった。瞳の中に真心が見える俳優チェ・グォン、彼の俳優としての人生は今からが本番だ。


キム・スヒョン、イ・スンギとの再会

放送前からチェ・グォンの「プロデューサー」出演が注目を浴びたのはキム・スヒョンとの縁のためだった。チェ・グォンはキム・スヒョンのデビュー作「キムチ・チーズ・スマイル」で共演した仲であり、二人は7年ぶりに再会した。だからだろうか、二人が並ぶツーショットを見ると友情が見え、なぜか二人とも笑っているように見える。チェ・グォンはこのような反応に対して「そこまで親しくはないですよ」と笑顔で答えた。

チェ・グォンはキム・スヒョンについて実の兄であるかのように誇らしげに絶賛を続けた。「演技的にすごく助けてもらいました。年は若いけど、すごく尊敬しているそんな役者です。演技が本当に上手いじゃないですか。あの年であそこまで演じられるのはキム・スヒョンさんだけだと思います。(ドラマで)普段はIU(アイユー)さんと一緒にいることが多かったんですが、後半はスンチャン(キム・スヒョンの役名)と一緒のシーンが多かったです。『キムチ・チーズ・スマイル』以来7年ぶりの再会だったので、感慨深かったですし、もっと頑張らないとと思いました。キム・スヒョンさんがとても気さくに接してくれましたし、色々と演技に関する話もしました。素敵な役者、最高の役者だと思います」

チェ・グォンとキム・スヒョンの特別な縁は、キム・スヒョンの過去のインタビューを通じて公開された。キム・スヒョンはMBC「太陽を抱く月」の放送終了後、あるメディアとのインタビューで後番組である「キング~Two Hearts」にチェ・グォンが出ると伝え、「グォン兄さんは演技に対する意欲があって情熱もすごい。そんな兄さんの情熱が刺激になったりした」と語っていた。

チェ・グォンは偶然その記事を目にしたと明かし、「『太陽を抱く月』が視聴率約40%を記録し、(キム・スヒョンが)有名になったんですが、その記事を見て驚きましたし、胸が熱くなりました。思わぬプレゼントを受け取ったような気分でした。あの時を振り返ると、本当に胸が熱くなって、本気で頑張らないと、本当に全力で頑張らないとと思っていました」と伝えた。

チェ・グォンは「キング~Two Hearts」も自分にとって意味のある作品だと明かした。当時、北朝鮮軍の最年少兵士クォン・ヨンベ役を演じたチェ・グォンはリアルな演技で大きな反響を呼んだ。

「イ・ジェギュ監督は有名な方で、イ・スンギさんもそうですし、数字を持っている方々が揃って作り上げた作品です。『キング~Two Hearts』の視聴率はそこまで低い方ではありませんでした。第1話が18%だったんですが、どんどん落ちていきました。だからみんな苦しんではいたのですが、マニア層が厚かったんです。僕は北朝鮮軍役でしたが、世間知らずで純粋で、そのような面に好感を抱いてくださった方も多くてありがたかったです」

そういえばチェ・グォンはイ・スンギとも驚きの再会をした。イ・スンギは「プロデューサー」第6話に好青年のイメージをキープするために苦労しているトップスターとして特別出演した。チェ・グォンはイ・スンギに3年ぶりに会えて嬉しかったと感想を語った。

「台本を読んだ時はイ・スンギと書かれていませんでした。男性歌手さんかなと思っていたんですが、記事になる前にイ・スンギさんということを聞いて、嬉しかったです。会ってすぐお互いどう過ごしているか聞いたりしたのですが、不思議な気分でした。イ・スンギさんは『キング~Two Hearts』の時に僕の演技を見て爆笑したりしていました。あの時のことも思い出して、すごく嬉しかったです。イ・スンギさんの撮影が終わるのが遅くて、挨拶を直接伝えることができず、『お疲れ様でした』とメールを送りました。後でまた会おうと、ありがとうございますと返してくれました。『キング~Two Hearts』の時イ・スンギさんはいつも僕たちと一緒にご飯を食べたりしていました。トップスターなのでそれは簡単なことではないのに、本当に良い人です。実際正しい生活をしている好青年でもあります」

チェ・グォンはキム・スヒョンに続きイ・スンギとも再会できたことについて「人に恵まれている」と語った。

「作品で2回も会うことはよくあることではないので、僕は人に恵まれていると思います。辛い時期もありましたが、皆さんが関心を持ってくださって、そのようなものこそが人に恵まれていることだと思って謙虚になろうと思っています。そして作品を見る時はキャラクターに集中して僕の心を思う存分開いて本気で演技したいです。俳優は結果的に見せなくちゃダメですから、真剣に演技する、それしかないと思います」


俳優としての第2幕を開ける

チェ・グォンは「キング~Two Hearts」の間抜けな北朝鮮軍役に続き、「プロデューサー」では空気の読めないマネージャーに扮した。それが実際の性格と似ているかと質問すると「僕の演技ですから、多分(内側から)出てくるものはあると思います。でも、もう年齢も年齢ですし、紆余曲折もあったので空気は読めると思います。それでもシンディにとって“傘”はマネージャーで合っているんですよ。愚痴も全部聞いてくれるし、いつもそばにいてくれますから」と笑顔で答えた。イメージが固まってしまわないかと心配にはならないかという質問には「いいえ」と答えた。

「デビューしたばかりの頃は強い役をよく演じていました。『オーバー・ザ・レインボー』の時も荒っぽい役でしたし、『亀、走る』の時も暴走族の役でした。そんな中で隙だらけな役のオファーがあって、それをやり始めたら今回はそんな役ばかり入ってくるみたいです。でも、イメージが固まるんじゃないかと心配になったりはしません。『プロデューサー』で僕が面白かったシーンをキャプチャーされた方々がいますが、『目が強烈だから悪役が似合いそう』とおっしゃる方もたくさんいました。今後、悪役に挑戦することもできるだろうし、関心を持ってくださって感謝しています」

チェ・グォンは人生で最も輝いた作品として「プロデューサー」を挙げた。辛かった時期に訪れた作品であったが、それが大当たりで感謝の気持ちも倍になったという。

「『キング~Two Hearts』が終わって、ドラマも映画も撮るには撮ったのですが、どの作品も上手くいかなくて、年はとるし……そこで1年くらい休みました。誰にでも辛い時期というのがあるでしょう? その時に出会った『プロデューサー』。シンディのマネージャーが僕にとってすごく良かったです。この作品は僕に多くの考えやメッセージを与えてくれた作品でもあり、一生忘れられない作品だと思います。大変だった時期に訪れた作品ですし、結果的に視聴率も高くて、出演者はみんなブレイクして僕にも関心を持ってもらえて……だから、少し実感できない部分もあるんです。次の作品で素敵な演技を披露するのが僕の役目だと思います」

チェ・グォンは今後「こんな役が演じたい」という望みはないという。ただ、喜怒哀楽を盛り込んだ作品を演じ、“シンディのマネージャー”のように視聴者に感動を与えたいと強調した。

「『プロデューサー』に声援を送り、関心を持ってくださった視聴者の皆さん、ありがとうございます。主人公は4人でしたが、助演たちもみんな一緒に輝きました。脚本家さんが素晴らしい作品を書いてくださいましたし、演出も良かったのでこのような結果があったのだと思います。このようなドラマがたくさん作られて、声援を受けたらと思います。また、華やかなものよりも喜怒哀楽を一緒にする、そんな役者になりたいです。僕は不思議なことにキラキラ輝くものよりも、辛い方々がいるということを伝え、余韻が長く残るような、そんな作品に参加したいです。素晴らしい作品があれば、いつでもシンディのマネージャーではなく第2のシンディのマネージャーチェ・グォンとして視聴者の皆さんの元に近づきたいと思います」

インタビュー中、チェ・グォンは幾度も目を潤ませていた。彼自身もまだ「プロデューサー」を思うとこみ上げるものがあるという。チェ・グォンはこのインタビューの前日に7回のインタビューに応じ、この日も5つのインタビューをこなしたという。同じ話を何回もすることになると疲れても当然だが、チェ・グォンはこのインタビューが初めてのインタビューであるかのように心を込めて語ってくれた。

これについてチェ・グォンは「インタビューに応じる前に、誰かの『君には12回、13回、20回目のインタビューだとしても、相手の記者さんは君に初めて会うのだ。慎重に大事に関心を持って愛してみては』と言う言葉を聞きました。その通りだと思いました。こんなに素敵なインタビューができるだけで感謝しています」と答えた。その言葉を聞きながら、彼は良い俳優である前に良い人であり、10年でようやく浴びるようになったスポットライトが理由なくやってきたものではないと感じた。

記者 : ソン・ヒョジョン、写真 : キム・ジェチャン