「アベンジャーズ2」スヒョン“典型的な悪役のアジア人として登場しなかった点が良かった”

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写真=ムン・スジ
マーベルがプレゼントしたガラスの靴を履いて、一瞬してシンデレラになった女優スヒョン(30歳)。いばらの道を歩いていたところ、ようやく花の咲く道を歩くようになった彼女がこの1年間、固く閉じていた口を開いた。これまで話したくてたまらず、封印が解かれた今、やっと気持ちが軽くなったスヒョンは思いっきり自慢し、思いっきり褒められたがっていた。胸の深くに刻んで何度も取り出してみたかった瞬間。マーベルのガラスの靴は、スヒョンにとって一生忘れられない魔法をプレゼントした。

敵の侵攻によって人類が危険に置かれると、地球の安全保障のために国際平和維持組織シールドの長官ニック・フューリーを中心にアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ホークアイ、ブラック・ウィドウなどが集まって作った軍団「アベンジャーズ」。公開当時、韓国だけで観客707万人を集め、ファンの心を熱くした最強軍団が3年ぶりに後続編「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(以下「アベンジャーズ2」)で戻ってきた。

前作の熱い熱気がマーベルユニバースに伝わったのか?ハリウッド超大作としは初めて韓国でロケを行い、実際にヒーローたちが韓国を訪れ、あらゆるところを飛び回った。さらに主要人物として韓国の女優スヒョンまで登場するというので、目で見ても信じられない光景だった。イ・ビョンホンの他に、韓国俳優のハリウッド進出がなかなか進まない中、スヒョンのキャスティングには驚くしかなかった。この朗報に、韓国の映画界はお祭りのような雰囲気になった。

これまで韓国俳優のハリウッド進出の事例は時々あった。イ・ビョンホンやRain(ピ)、キム・ユンジン、チョン・ジヒョン、ペ・ドゥナなども長い間ハリウッドの扉をノックしていた。しかし、“成功”という言葉を聞くまで苦難の連続だった。また、彼らに与えられた役割は、大体核で世界を脅かす北朝鮮を描いたり、他の悪の軸として登場する。ハリウッドが見るアジア人、韓国は昔はそうだった。

そんなハリウッドが変わった。ITと科学力において優れた実力を持つ人物として表現され、アベンジャーズ軍団で独歩的な存在感を示す。マーベルヒーローの中で唯一の韓国人であるヒーローキャラクターアマデウス・チョの母親であるドクターへレン・チョを演じたスヒョンは、一時期ウルトロン(ジェームズ・スペイダー)の誘惑に落ちるも、どんでん返しを見せるキャラクターで、世界のマーベルファンの注目を集めた。

2005年にスーパーモデルとしてデビューしてから10年ぶりに手に入れたチャンス。はたして、スヒョンに考えもしなかった幸運がやってきたのだろうか?違う。スヒョンは賢く準備しており、確実に受け入れただけだ。彼女にとってマーベルは、「アベンジャーズ」は運命であり、必然だった。

―たくさんのファンが1年間、「アベンジャーズ2」を待ちわびていた。スヒョンもこの瞬間を待ちわびていたと思う。

スヒョン:そうですね。1年間すごく緊張しましたし、後からどんな風に見られるか気苦労もしました。撮影しながら楽しかったエピソードも多かったですが、そのたびに話したくても話せなくて残念でした。そのため、さらに待っていたようです(笑)

―マーベルのシンデレラになると予想していましたか?

スヒョン:今でも夢を見ているような気分です。海外の作品にいつかは出られるだろうと思ってオーディションを何回か受けましたが、それがマーベルになるとは思いませんでしたから(笑) 撮影前までは信じられませんでしたが、いざ撮影が確定してからは淡々とした気持ちになりました。今は、かなり気持ちの整理が出来た状態です。来月、アメリカのドラマ「 Marco Polo(マルコ・ポーロ)」シーズン2の撮影が始まるので。色々準備することもあるので、これからはその作品に集中しようと思います。

―「アベンジャーズ2」は何回目のオーディションだったのか?

スヒョン:私の記憶では3本目の海外作品のオーディションだったと思います。最初の作品はドラマでしたが、完璧な白人の演技を求められました。それでも、私のことを知らせるという気持ちでオーディションを受けました。2回目は映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」でした。当時、私がオーディションを受けた役割がハッカーのラムジー(ナタリー・エマニュエル)役でした。「ワイルド・スピード SKY MISSION」に合格していたら、恐らく「アベンジャーズ2」には合流できなかったと思います。時間的に無理でした。結果的に「アベンジャーズ2」に合流しましたが、「ワイルド・スピード SKY MISSION」のキャスティングディレクターが私を印象深く見てくれて、「Marco Polo」にも出演オファーをくれました。

―早くから海外進出を準備していたのか?

スヒョン:心の準備だけ一生懸命にしていました。一番最初に海外進出を考えたのが2006年頃でした。その時、私のプロフィールを見て、ジャッキー・チェンから出演オファーがありましたが、その時“私にも出来るんだ”と思うようになりました。その時はオーディションをどんな風に受けて、どんな準備をすれば良いのか分からなかったのでそれで終わりましたが、それから準備の必要性を感じ、努力した部分があります。次第に英語で演技をする機会も増えました。

―韓国では認知度が低かったが、「アベンジャーズ2」を通じて急に熱くなった関心についてどう思っているのか?

スヒョン:プレッシャーや寂しさはありません。期待があるということにすごく感謝しています。俳優を始めたときも早く有名になりたいという思いはありませんでした。ただ自分のペースでしっかり歩こうと思いました。それが私にとっては最善でした。

―最近開かれた「アベンジャーズ2」のLAプロモーションでたくさんスポットライトを受けたそうだ。

スヒョン:ハリウッドでは自分たちと違う人種がハリウッドの超大作に出演することについて、たくさん激励してくれる雰囲気でした。皆マーベルの世界に入ったことを歓迎してくれました。

―普段からマーベルコミックスの漫画が好きだったのか?

スヒョン:子どものころ、アメリカで「X-メン」シリーズをたくさん見ながら育ちました。アメリカではとても一般的な漫画なので、接する機会が多かったです。だからと言ってすべてのマーベル作品を見ているわけではありません。そうするには資料が多すぎます(笑)

―漫画、映画で見ていた人物に初めて会ったとき、どんな気分だったのか?

スヒョン:実は、私は積極的で活発な性格ではないため、自ら近づくことが出来ません。それで、挨拶も出来ずにもじもじしていました。最初に出会ったヒーローはキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)でした。昨年「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」のアメリカプレミアに出席しましたが、その時アフターパーティで見ました。遠くで見るだけでした(笑) 「アベンジャーズ2」撮影の時はみんなで会いましたが、一番先に挨拶をしてくれたのはやはり優しいマーク・ラファロで、ロバート・ダウニー・Jr.はなかなか近付けないオーラがありました。それでも彼から私の元に来てくれて、「ドクター・チョが気になった」と話してくれました。

―マーク・ラファロに対する愛情が格別だが?

スヒョン:マーク・ラファロは本当に韓国のことが大好きです。マーク・ラファロはキムチが作れるそうです。本当に不思議だと思いませんか?実際、キムチを美味しく召し上がります。今回の韓国プロモーションの時もキムチ石焼ビビンバを注文して食べていましたが、辛いキムチが結構入っていました。でも、すごく美味しそうに食べていました。その姿がまた面白かったです。また、韓国ファンに会ってから私に「僕、なんでこんなに人気があるんだ?」とずっと聞いてきました。こんなに情熱的な歓迎は初めて経験するそうです(笑)

―ドクター・チョ役を演じることになったとき、見慣れないキャラクターではなかったのか?どのようにキャラクターを分析したのか?

スヒョン:ジョス・ウェドン監督も特にストーリーについて話してくれませんでした。それで検索してみて、イギリスに行って様々な資料を収集したりもしました。「アベンジャーズ」の原作を読んでみたりもしました。ヒーローの母親として登場しますが、それは原作なので映画は違うと思って難しかったです。結局、台本だけをすごく研究して、今のドクター・チョを完成しました。

―「アベンジャーズ2」で韓国語の台詞で初登場するが?

スヒョン:韓国語はシナリオに書かれているものではありませんでした。ただ、周りの俳優たちと話すドクター・チョという風に説明されていました。現場で出てきた即興的なアドリブでした。それでNGが出たら、ジョス・ウェドン監督に自ら申告しないといけませんでした(笑)

―人工島セビッ島でのビジョンを作る過程で大きな役割を担当したが?

スヒョン:そうですね。大きな役割をくれたということ自体、私にとってはプレッシャーでした。しかし、一方ではドクター・チョという人物がアベンジャーズチームにいたり、ウルトロンの方に傾いたりするという変化がとても面白かったです。そのような部分が特に好奇心を刺激したようです。

―「ソー(クリス・ヘムズワース)もパーティに来ますか?」という台詞のため、ロマンスを期待する人も多い。

スヒョン:その台詞は撮影のときも入れるかどうか、みんな悩みました。私もその台詞だけを見て、どんな感情で演じて良いか悩みましたが、私の気持ちのまま演じ、幸いドクター・チョの人間的な部分を上手く生かしてくれたようです。ソーも後で「ドクター・チョと僕、上手くいくのか?」と気にしていたようです。マーベルは可能性を開いておくので、ロマンスを期待してみてもいいんじゃないですか?後でソーのジェーン(ナタリー・ポートマン)と恋敵になると思いますが、その時は科学力で勝負しないとですね?フフ

―悪役ではない、「アベンジャーズ」の重要なメンバーとしてハリウッドに進出した。

スヒョン:嬉しいです。「トランスフォーマー/ロストエイジ」(2014年、監督:マイケル・べイ)でリー・ビンビン(李冰冰)も悪役で、すごく短く登場したじゃないですか。私は今回、「アベンジャーズ2」で典型的なアジア人として登場しなかった点がさらに良かったと思います。身長のおかげだとも思いますが、色々な面でこの作品がハリウッド進出にポジティブな効果をもたらしてくれたと思います。

―「アベンジャーズ2」の自身の役について満足しているのか?

スヒョン:映画を撮影した後、“私は無条件に満足する”と自ら誓いました。本当に思った以上に良いチャンスでしたから。しかし、この作品を通して認められたいという欲はありません。私にとって初めての映画で、これからの活動の第一歩だと思います。そういう面で言えば満足しています。

―韓国のファンはソウルでのロケのため、「アベンジャーズ2」に対する関心が高い。ジョス・ウェドン監督がソウルに対するイメージのアドバイスを求めたのか?

スヒョン:私にですか?(笑) その前にたくさん調査したと思います。韓国の撮影チームも動員してロケーションを行い、韓国に対する愛情が格別な監督で、私が特に言うことはありませんでした。(少しだけ残念な地下鉄のシーンは?)それは……おそらく2号線ではなかったと思います。たぶん遠い未来の地下鉄を想像したのではないでしょうか?(笑)

―スヒョンが見た「アベンジャーズ2」の韓国ロケはどうだったのか?

スヒョン:私は個人的に良かったと思います。他の撮影地より、その都市の色がはっきりと現れていたと思います。もちろん、地下鉄のシーンは少し残念ですが、無理やり美しいところだけを見せようとはしなかったじゃないですか。より自然な韓国を見せてくれたようで、私は満足しています。

―マーベルの「アベンジャーズ2」の秘密保持はどうだったのか?

スヒョン:本当に厳しいです。撮影現場でも俳優たちの役割が露出されることを懸念して“シークレットクロス”という黒い布を被っているようにと言われるほどでした。オーディションはもちろん、シナリオも制作陣が直接私に伝達しました。秘密保持の誓約にサインもしました。もし、シナリオが途中で流出したり、紛失したら今の私はいなかったと思います。もちろん、強圧やプレッシャーをかけられたわけではありませんでしたが、それだけセキュリティに徹底しました(笑)

―3本目のシリーズ「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー Part.1」にも出演するのか?

スヒョン:秘密保持のためではなく、今は本当に私にも分かりません。最初私に「マーベルユニバースの世界へようこそ」と、「歓迎する」と言ってくれたので、出演する可能性もあるかもしれませんね。マーベルの世界はいつも予想するのが難しいですから(笑)

―次回作である「Marco Polo」シーズン2以降、韓国での活動計画もあるか?

スヒョン:まずは「Marco Polo」以外のことには、まったく気を遣っていません。完全に集中して没入したいです。女戦士の役なので、私のすべてを注がなければならないので、他の作品を検討する余裕がありません。6~7ヶ月は「Marco Polo」の撮影にまい進し、この作品が終わっても韓国での活動は難しいのではないでしょうか。出来ることなら、来年にでも韓国のファンと会いたいと思っています。とりあえず今は、良い作品にたくさん出演したいです。まだ始めたばかりなので、できるだけ色々なことにチャレンジしてみたいです。

―韓国のファンにどのように思われたいのか?

スヒョン:がっかりしたという言葉より、誇らしい気持ちで見てくれたという評価が多くて感謝しています。韓国ドラマで見た姿以外に、また違ったスヒョンの姿を見せられたような気がして嬉しくもあります。常に努力しますので、これからも見守っていただきたいと思います。

記者 : チョ・ジヨン