「星から来たあなた」ユ・インナ“15年間もの片想い…私だったら続かないです”

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昨年末に行われたSBS演技大賞で、大賞や最優秀演技賞を含む9つの部門で賞を獲得したドラマは「星から来たあなた」。栄光の大賞はチョン・ジヒョンに与えられ、キム・スヒョンは中編ドラマ部門の最優秀演技賞を受賞した。また、キム・スヒョンはネットユーザー人気賞のほか、チョン・ジヒョンとともにベストカップル賞も受賞し、熱い人気を立証した。

本作で、チョン・ジヒョン演じるソンイの親友であり、子役時代から共に女優を目指してきたライバル“ユ・セミ”を演じたユ・インナ。セミは、初恋相手のフィギョン(パク・ヘジン) を密かに想い続けるが、彼の心はソンイ一途。友達としてソンイの相談に乗る反面、仕事も恋も常に助演でしかいられないことに劣等感を感じ、ソンイに敵意を見せる……。セミの難しい心情を演じきったユ・インナのインタビューをお届けする。

―ドラマの撮影が終わった感想はどうですか?

ユ・インナ:このドラマが多くの方に愛されてとても幸せでした。それだけに名残惜しさもひとしおです。一方でセミという役は精神的にはヘビーな役だったので、撮影が終わってホッとしたという思いもあります。

―今回演じた役について簡単に説明してください。

ユ・インナ:私は「星から来たあなた」でセミ役を演じています。ト・ミンジュンを愛するチョン・ソンイの一番親しい友達の役です。セミはソンイにとって親友であると同時に敵対する悪役にもなるキャラクターなんです。ソンイを愛するフィギョンをセミは15年も片想いしている哀れな女性です。

―ユ・セミという人物を演じて、特別難しかったところはありますか? 逆に演じてよかったところはありますか?

ユ・インナ:劇中で、周囲の人は誰もセミに注目してくれません。そういう役を演じるのが何より難しかったです。好きな男性や友達との関係に苦しむ複雑な感情表現が要求されました。演じてみてよかったことは、今まで一度も考えたことがなかった感情について理解が深まったことです。

―セミは昔からの友達でトップスターのソンイに複雑な感情を抱えています。演じる上で念頭に置いたことはありますか?

ユ・インナ:15年という長い間セミは本心を隠してきました。セミにとってソンイは友達であり、憧れ・嫉妬・憎悪の対象でもあります。自分が片想いする男性から愛されるソンイに対するセミの憎しみは激しかったはずです。心を押し殺してきた15年をいかにうまく表現するか頭を悩ませました。視聴者の皆さんが観るのは、片想いを始めて15年が経ったセミの姿ですよね。なので淡々として、ずっと感情を抑えてきたセミを演じました。つまりいい子を演じるのが習慣になった姿です。

―セミは本心を見せないブリッコですよね。実際に演じていてセミが憎らしいと思ったシーンはありますか?

ユ・インナ:それはもうたくさんありますよ。一番はト・ミンジュンやソンイとカフェに行ったシーンです。セミが同情するように話しかけると、ソンイは腹を立てて「芝居はやめて」と言うんです。すると、ト・ミンジュンがたしなめます。女性の目にはセミが憎らしく見えるはず。さらにセミは「責めるのは当然です」と言います。あのシーンのセミはこの上なく憎らしい。チョン・ジヒョンさんと一緒にセミは憎らしいと笑った思い出があります。

―セミが憎らしいという意見の一方で、同情する声も多かったですね。セミを演じたことに対して周りの反応はどうでしたか?

ユ・インナ:私の周りの人たちはすごく心配していて、「実際はそんな子じゃないと友達にも言っておいた」と心配してくれました。でも、それ以前にドラマを応援してくれて「すごく面白くていつも観ている」と励ましてくれました。


「15年間もの片想い…私だったら続かないです」

―セミを演じたユ・インナさんから見て、一番印象に残る名シーンを教えてください。また、反対に心残りがあるシーンはありますか?

ユ・インナ:印象的な名シーンと、心残りがあるシーンは同じシーンです。雪の降る日、フィギョンがセミに向かって好きな人に電話で告白するよう勧めてこう言います。「お前ほどの女が告白すれば、どんな男でも心が揺れる」それでフィギョンに電話すると、鈍感な彼はセミに言います。「お前の好きな奴にかけろよ」と。するとセミは泣きます。セミの涙を見てフィギョンはやっと気が付きます。あれは雪の舞う昼間でした。普通なら夜の方が雰囲気があるけれど、昼でも十分美しかったです。電話でのセミの告白も名シーンだと思います。ただ、もう少し二人の間で会話があればよかったと少し残念に思っています。

―セミの場合のように実際に片思いの相手が友達を好きだったら彼のために身を引きますか?

ユ・インナ:セミより早い時点で諦めますね。自分と友達の為にも私ならさっさと身を引きます。

―ドラマの中では15年間もの間片想いを続けます。セミが15年間も諦めきれない理由は何だったのでしょうか?

ユ・インナ:いろいろなことが重なって引くに引けなくなったのかもしれません。セミには友達であるソンイが常にそばにいますよね。ねたみと劣等感の対象であるソンイを自分の好きな男性が片思いしています。母親同士も旧知の仲だし、セミとソンイは仕事で顔を合わせ、常に比較されます。家でもソンイ、外でもソンイ、そんな状態だから諦めたくなかったのでしょう。いうなればフィギョンは“ソンイの男”でしょう? セミはソンイが持っているものをすべて奪いたかったから、諦めきれなかったんだと思います。

―執着ですね。

ユ・インナ:病的な執着だと思います。私だったら15年も続かないです。1年間だけ片想いして、諦めるでしょうね、15年はありえない。果たしてセミは何を望んでいたのでしょうか? 思うにセミは深く考えていません。仮にフィギョンがセミを受け入れたとしましょう。2人は幸せかしら? 普通の恋人同士でもよくある話だけど「あの時ソンイに夢中だったでしょ」って責めつづけそう。ソンイの存在は一生消えることがないのに。セミとフィギョンは幸せな恋愛ができるかしら? それが原因で別れるんじゃないかな。そう思います。

―ソンイのせいでケンカすると?

ユ・インナ:フィギョンの片想いを知っててうまくいくかしら、と思ってしまいます。


「ドラマを通じて特別な繋がりができた…私にとって宝物のような出来事」

―今回、「星から来たあなた」への出演の決め手は何でしたか?

ユ・インナ:シノプシスやキャラクターの設定を読んで、これは面白い作品だし出演したいと思いました。決める前に監督から会いたいと連絡があり、顔を合わせて話をしたんです。監督の説明を聞いて、確信が持てました。たとえドラマが不評でもこの監督と一緒に仕事をするのは私の俳優人生に意味がある、そう思ったんです。それからスターをそろえたキャスティング。すべてが完璧だったし、そこに私が参加できるなら断る理由はありませんから出演を決めました。

―「星から来たあなた」の台本を読んだとき、どう感じましたか?

ユ・インナ:台本を読んだ時、ト・ミンジュン、ソンイ、フィギョン、セミ、全ての登場人物が切なく思えました。切ないドラマは人の心にも長く残ると思うので、台本に好感を持ちました。

―では、セミの役作りにおいてどこに重点を置きましたか?

ユ・インナ:リアルで自然な感じで演じるように努力しました。監督はセミが善良か性悪かわからないように演じろとおっしゃったので、観る人によって善悪が分かれるように演じてみました。打算的かもしれないし、バカが付くほど善良かも……そう意見が分かれるように努力しました。

―ユ・インナさんならセミというキャラクターをどう紹介しますか?

ユ・インナ:セミを見ていると子供には家庭環境が大事だと思いました。セミが小さいころから育った家庭に問題があったのでしょう。セミが両親に認められていたらこうはならなかったと思います。父親は無関心だし、母親には否定されます。母親は口癖のように「脇役ではなく主役になれ」「立場を逆転させるのよ」と言います。検事の兄も仕事ばかりで妹に関心がありません。「食事した?」とか温かい言葉をかけることもない。セミの性格がゆがんだのも、彼女自身というより環境のせいもあります。学校に行けばライバルのソンイがいたわけですから、セミには劣等感があります。それは普通の女の子なら誰でも少しは持っているコンプレックスを表しています。ドラマの中で最も現実的な人物はセミだし、抱き締めて慰めてあげたくなります。ソンイは心配しなくても自ら魅力を発散するので観る人はセミをもっと気にかけてほしいです。

―セミという人物に関して、もっとも愛着を感じているところはどこですか? 反対に、自分とは違うところや気に入らないところは?

ユ・インナ:いろいろなことがあったにも関わらず、ソンイの友達であり続けましたよね。そこは立派だと思います。きっと30年後もセミはソンイのそばにいるでしょう。私と違って冷静な性格のセミがうらやましくもあります。その反対にセミがじれったいと思ったのは恋愛下手なところ。フィギョンが好きなら自分を好きになるよう仕向けないと。そうして相思相愛になれば2人とも幸せになれるしセミの家族にもいいことです。ソンイへの嫉妬心も消えて、心から優しくできるはず。すべてがうまくいきます。なのに、フィギョンに余計なことばかり言う。ト・ミンジュンの正体を知ってるとか、フィギョンの気を引くどころか嫌われそうなことをセミはしています。

―セミとユ・インナさんに共通点はありますか?

ユ・インナ:共通点ですか? いまだに共通点が見出せません。共通点あるかしら……どうでしょう。私はセミに似ている部分がないんです。表情・話し方・行動・思考すべてにおいて違っています。食べ方1つ取っても私はがっついて食べる方です。冷静なセミはかき込んで食べたことは一度もないと思います。おっとりしたタイプだから全然共通点が見当たりません。ドラマを見直して、どこかに共通点がないか探してみようと思っています。

―自分と違う役柄を演じるのは難しかったですか?

ユ・インナ:確かに苦労しました。似ている方がはるかに演じやすいです。今回は私と似ているところがなかったのでかなり悩みました。考えすぎて肩に力が入り、うまくいかなかったりして残念な思いもあります。それでも俳優として進化を遂げたというか、一皮むけた感じで晴れ晴れとした気分です。

―「星から来たあなた」では芸能人の役ですが、演じやすさあるいは演じにくさはありましたか?

ユ・インナ:私は芸能界を知っているけれど、それは演技とは関係ないです。職業が何であれ、私ではない誰かを演じる点ではどんな役でも変わりません。私はセミを演じるまでです。

―セミという人物を通じてユ・インナさんが表現したかったことは?

ユ・インナ:常にセミは人の顔色をうかがって決して声を荒げず、自己主張することがありません。そういうタイプの人が実際にいますよね。私なりに上手に表現したいと思っていました。少しおどおどして人の顔色をうかがう口調や表情をできるだけ出そうと努力したつもりです。

―2番手の姿ですね。

ユ・インナ:だから声を荒げている時でさえ、体が震えていて大きな声を出すのに慣れていない感じにしました。

―以前出演されたドラマ「最高の愛」ではアイドル歌手を演じていますね。今回は女優役ですが、どんな違いに気をつけて2つの役を演じ分けたのか教えてください。

ユ・インナ:「最高の愛」では役名がカン・セリ、今回はユ・セミで名前も似てますよね。年齢の違いは私が思うに10歳くらい。それほどカン・セリには子供っぽくてかわいい面がありました。今回のユ・セミはかわいいというよりとても女らしい人物です。2つのキャラクターは似ているようで、実際には全くと言っていいほどにていません。芸能人というだけが共通点でした。

―「星から来たあなた」に出演して、俳優として得たものは何ですか?

ユ・インナ:第一に「人」です。日常の中でいろいろな出会いがありますよね。このドラマを通じて新たに関係を結んだ人々、監督や脚本家、そして雲の上の存在のようなチョン・ジヒョンさん。このドラマを通じて特別な繋がりができました。私にとって宝物のような出来事です。何よりドラマが大ヒットしましたよね、そのことだけでもとても満足しています。

―高視聴率を記録しましたが、撮影現場のムードはどうでしたか?

ユ・インナ:現場のムードは監督に左右される傾向があります。監督が神経質だとか気性の激しいタイプだと現場もピリピリして落ち着きません。チャン・テユ監督はどんなに緊迫した状況でも冷静で穏やかなんです。焦ってことをしくじることはありません。限られた時間の中で完璧な仕事をしていました。まさに超能力を持つ宇宙人のようでした。そのおかげで現場は穏やかでいいムードでした。チョン・ジヒョンさんと、キム・スヒョンさんはとても愉快な方なんです。楽しそうしています。とりわけジヒョンさんはソンイそのものでした。だから現場はいつも笑いにあふれていました。

―撮影中の面白いエピソードや苦労したシーンはありますか?

ユ・インナ:特にこれといってありません。セミは最初から最後まで涙を流したり、シリアスなシーンが多かったんです。そんなシーンを演じるたび、辛くて悲しい気分になりました。セリフを練習する時から感情が高ぶり、涙がこぼれたほどです。演じていた数ヶ月間の間1日たりともセミから逃れられなかった。エピソードではありませんが、そんな調子でした。


「リアリティーがあって味わい深いセリフを楽しんで欲しいです」

―ドラマの中でト・ミンジュンは宇宙人という設定です。宇宙人の存在を信じますか? 信じるとしたらどんな姿だと思いますか?

ユ・インナ:いると信じています。でも会うことのできない存在でしょう。地球人と宇宙人は決して出会うことはないけど絶対に宇宙人はいます。宇宙人も他の星に生命体がいると想像して、人間に似た絵を描いているかも。その可能性はあると思います。宇宙人の姿は、私たちとはかなり違って、映画「アバター」のように体がすごく大きかったり私たちとは肌の色が違うと思います。

―過酷な撮影でも透明感のある美肌が印象的でした。肌の透明感をキープする秘訣を教えてください。

ユ・インナ:他でもない照明とレフ板の効果です。俳優の肌を美しく見せるには照明とレフ板が重要です。私は美容情報番組の司会を始めてから以前にもまして美容に気を使うようになったんです。大事なことはインナー・ビューティーです。体の内側が健康なら顔色もいい。だから健康的な食生活を心がけています。ビタミン剤を飲んで栄養を補うのではなく、野菜や果物を通じて体に必要な栄養素を取るようにしています。

―日本のファンの皆さんにドラマの見どころとおすすめポイントをお願いします。

ユ・インナ:何よりもドラマの題材が新鮮です。それから出演者の美しいビジュアルと、味のある演技も見どころでしょう。何よりも味わいのあるセリフがたくさん登場します。リアリティーがあって味わい深いセリフばかりです。翻訳の水準が高くなったとはいえ、韓国語と日本語では違いますよね。意味が十分に伝わるか心配ですが、セリフに注目して観ていただければと思います。

―最後にファンの皆さんへカメラを見て一言お願いします。

ユ・インナ:冬真っ盛りの寒い中でドラマの撮影が行われました。私は好きな人に愛されないキャラクターで辛い時もありました。でも現実の世界では大勢のファンに応援していただき元気をもらいました。皆さんのおかげです、感謝しています。これからもっといい演技で皆さんにお目にかかります。どうかお幸せに。

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記者 : Kstyle編集部