チョン・ヘビン、アンチファンを援軍に変えた彼女

OSEN |

一瞬にして人々に名前を知らせたが、彼女が得たのは温かい関心ではなくアンチファンの刺々しい視線だった。最高の人気を博した男女マッチングバラエティ番組「カン・ホドンの天生縁分(チョンセンヨンブン)」を通じて可愛い容姿や優れたダンス実力で“イサドン(24時間回る)”というニックネームを得て圧倒的な存在感をアピールした彼女は、ある瞬間からできた“百万アンチ”(アンチファンが多いという比喩的な意味)について悔しいとは思わないという。代わりに歯を食いしばった。やっと手にした作品の中で誰も失望させることなく少しずつ成長していった彼女は、作品を豊かにする魅力的な助演から、やがて視聴者の人気を一身に受ける主演にまで着実に成長し、女性の身で厳しいジャングルまたは消防署等でも誰よりも先に率先する大胆な性格で、やっと人々の暖かく好奇心が混じった視線を受けることになる。デビュー12年、このような過程で容易なものはひとつもなかった。一段階ずつ着実に進化してきたチョン・ヘビン(30)の努力が重なった結果だ。

チョン・ヘビンは韓国で9月4日放送が終了したKBS 2TV水木ドラマ「朝鮮ガンマン」で欲望に燃えるチェ・ヘウォン役を熱演した。涼しげな美貌、強いカリスマ性を持つ彼女は混沌とした開化期を背景にした「朝鮮ガンマン」が、痛ましい歴史の中で暗く展開する中、華麗な姿の裏に悲しさを隠しているヘウォンのキャラクターを生き生きと演じ、ドラマに活力を与えた。特に、根性で下っ端から担ぎ商人団の首長にまでなった積極的な女性を演じたチョン・ヘビンは、彼女のか弱く華麗な容姿、また彼女が持つ女戦士のようなイメージをうまく溶けこませ、パク・ユンガン(イ・ジュンギ)、チョン・スイン(ナム・サンミ)、チェ・ウォンシン(ユ・オソン)等のキャラクターの中でも断然視線を捉えた。

「人物そのものに愛着が持てました。自分の出演シーンがない時も現場を訪れ細かい部分に気を使いました。いつも扮装チームと相談しながらヘウォンのキャラクターを作っていきましたが、そのおかげで華麗なキャラクターがさらに目立つことができたと思います。最初はヘウォンの韓服(ハンボク:韓国の伝統衣装)にパワーショルダーがあって慣れなかったのですが、見れば見るほどヘウォンのキャラクターとよく合いました。綺麗でなければならないと言われ、細かいところにもっと気を使いましたが、スタッフたちがヘウォンのキャラクターに愛着を持って気を使ってくださったので、プレッシャーはあまり感じませんでした。夏キャンプに来たように楽しい時間でした」

特にチョン・ヘビンは共演したユ・オソンに感謝の気持ちを伝えた。劇中で親子として登場した彼らは現場でも実際の親子のようにお互いを配慮しあって息を合わせたという。また、チョン・ヘビンはユ・オソンという俳優が見せる誠実さやカリスマ性などをそばで見ながら多くのことを学ぶことができたと話す。

「一番記憶に残るシーンは、ユ・オソン先輩の前でヘウォンが挑発するシーンでした。第12話で半蔵(ユンガン、イ・ジュンギ)に手を出すと、私も失うことになると挑発するシーンでした。私はそのシーンがヘウォンを一番よく表現できるシーンだと思いました。そのシーンだけは完全にチェ・ヘウォンになっていたと思います。その時初めて先輩から褒めていただきましたし。いつもたくさんアドバイスをしてくださって、準備するものを教えてくださって、共演しながら幸運だと思いました。いつもカリスマ性にあふれていますし。演技している姿を見ると、なぜこの俳優が名前を聞いただけでオーラが感じられるか、わかりそうな気がしました」

チョン・ヘビンは複数のドラマやバラエティ番組SBS「心臓が跳ねる」「ジャングルの法則」以来、たくさんの人から温かい賞賛の言葉をもらい大きく感動したと話し、この幸せを続けていきたいという思いを率直に伝えた。“百万アンチ”と呼ばれる数多くの悪質な書き込みに傷つけられた20代を乗り越えた今、最近一番大きな話題を集めたMBC「僕らの日曜の夜-リアル入隊プロジェクト本物の男」女軍特集にキャスティング第1順位の候補に上がるほど、確実に変わった雰囲気が彼女には愛されている気分を感じさせるという。

「『チョン・ヘビンに謝罪する』という書き込みがたくさんありました。バラエティのため傷ついた心がバラエティで解消されているのを見たら、正解はよくわかりません。でも信条をもって頑張っていたら、こんなに良い日も来るみたいです。私は20代の時は私の芸能界生活が苦いものばかりだと思っていました。当時の書き込みを見たら『俳優をしちゃいけないのかな』と思われるほど、うつ病も経験して、大変傷つきました。本当に長く感じられた時間でしたけれど、このように解消されるんですね。頑張ったのを認めていただいて、好感を示していただいて、本当に不思議で嬉しいです。冤罪を晴らしたような気分です」

また、チョン・ヘビンは二度と悪質な書き込みを経験したくないと話し、愛されたい欲求を隠さなかった。チョン・ヘビンは「心臓が跳ねる」を撮影する時、極限の状況でつらいと思ったりもしたが、自身の行動に意味を与え褒めてくれるファンの声のため耐えることができたという。

「ファンは私の命を救った方々です。このように愛されたら、誤解を招くような事件を作ったり、悪役を演じたりそういうのが嫌になりました。ずっと愛され続けたいです。ハハ。実は過去に痛い経験がありまして。悪役をして憎まれることに非常に敏感で二度とそうなりたくありません。それで愛されて共感を買う、応援してもらえるキャラクターを熱演して、人々から力を得たいです。私の欲です」

記者 : クォン・ジヨン