ダニエル・デイ・キム「『LOST』は東洋人俳優にとって非常に大きなチャンスだった」

10asia |

「韓国とアメリカを繋ぐ架け橋になりたい」

アメリカのドラマ「LOST」でよく知られている韓国系アメリカ人俳優のダニエル・デイ・キムが韓国を訪れた。5月22日に開かれた「ソウルデジタルフォーラム2014」に出席するために訪韓したダニエル・デイ・キムは、俳優だけではなく、プロデューサーとしても韓国で活動したいという抱負を明らかにした。実際に今年の1月に韓国の大手芸能事務所と契約を締結し、本格的な韓国での活動に乗り出すための基盤を築いた彼は「韓国人とアメリカ人2つのアイデンティティを持つ者として、自分独自の強みを積極的に活用してみたい」と語った。

―今年初めに韓国の大手芸能事務所sidusHQと専属契約を結び、本格的に韓国での活動に乗り出す予定だと聞いた。

ダニエル・デイ・キム:現在、アメリカのCBSドラマ「HAWAII FIVE-0」のシーズン5に出演しており、映画の撮影にもこれから入る予定だ。しかし、韓国でも演技をする機会を探している。韓国語が堪能ではなく年齢的にも若くないので演じられる役には限りがあるだろうが、私にぴったり合う役がいつか現れることを期待して楽しく演技ができるチャンスを待っている。

―最もよく知られている作品がキム・ユンジンさんと共演したアメリカのドラマ「LOST」だ。この作品で韓国にもファンがたくさんできた。

ダニエル・デイ・キム:ドラマの中で私の韓国語の発音がおかしいことから、逆に関心を持つようになった韓国の視聴者が多いと聞いた。ハハハ。韓国語は今でも時間が空く度に勉強を続けているので多分もっと伸びると思う。とにかく「LOST」は東洋人俳優にとって非常に大きなチャンスだったので、とても意義深い作品として残っている。

―役者としてどのようなキャラクターで今後の地位を固めたいのか。

ダニエル・デイ・キム:個人的に私は韓国とアメリカ両方の国を代弁できるキャラクターだと思っている。私は韓国人であり、韓国に親戚もたくさんいる。このように、ルーツは韓国人で教育はアメリカで受けた在米韓国人社会の人たちを表現することもできるので、2つのアイデンティティを持つキャラクターが登場する物語にもとても興味がある。

―役者だけではなく、製作者としても活動する計画だと聞いた。

ダニエル・デイ・キム:今年の初め、アメリカに3ADという製作会社を設立した。韓国とアメリカを行き来しながら韓国ドラマの輸出や製作などに関わっていくと思うが、現在アメリカのテレビ局CBSでKBS 2TVドラマ「グッド・ドクター」のリメイクを検討している。CBSはこの件に対し肯定的に考えており、現在リメイクに関する詳細について話し合っている。韓国コンテンツが持つ強みが明確にあるので十分勝算があると思う。

―韓国コンテンツだけが持つ強みがあると言ったが、具体的にどのようなものなのか?

ダニエル・デイ・キム:ドラマを見ていると、キャラクターがとても具体的に描かれている。登場人物たちの感情表現も幅広く、繊細に描かれている。他の国の作品と比較すると、脚本家たちもとても優れていて、高品質な作品を作り上げている。他の国は韓国ドラマのように恋愛や悲劇を上手く表現できない。このような感性的な部分をアメリカやヨーロッパの視聴者にアプローチすれば、大衆文化コンテンツとして大きく成功する可能性があると思う。

―特に韓国ドラマの撮影現場は非常に急迫しており、厳しいスケジュールの中で撮影が行われているため事前制作制にするよう検討されているが、まだこれといった代案がない。これについてどう思うのか。

ダニエル・デイ・キム:今回韓国に来て制作に関わっている人たちとその件についてたくさん話をした。個人的には韓国の製作陣と脚本家たちは休憩が必要だと思った。しかし、事前制作制にした場合、メリットとデメリットがあるので、今の現状で事前制作制にすることが正しいかどうかはまだ分からない。

―韓流はアジア圏では人気コンテンツとして位置付けられたが、アメリカとヨーロッパ市場でも成功できるかどうかはまだ未知数だ。俳優兼制作者として活動しているが、これについてどう思うのか。

ダニエル・デイ・キム:私もアジア人だがアメリカのドラマに出演している。ハハ。もちろん難しい点もある。例えば、K-POPは目ではなく耳で聞く“音楽”なので世界とコミュニケーションできる部分がより幅広いが、ドラマや映画は目で見るものなので、西洋人とは異なる外見で違和感を感じる可能性がある。

―製作者として挑戦してみたい作品は?

ダニエル・デイ・キム:マイク・キムの作品で「北朝鮮脱出(Escaping North Korea)」という小説を脚色した映画を準備している。私のような在米韓国人が偶然北朝鮮の実態を知り、北朝鮮の住民たちの脱出をサポートする物語で、実話を基にしている。北朝鮮の人権問題の実状を知ってもらう良いきっかけになると思う。個人的にこのように有意義なプロジェクトを進行しながら韓国とアメリカの製作者たちを繋ぐ架け橋の役割も果たしたい。

記者 : 記者:チャン・ソユン、写真提供:SBS