地上波ドラマが牛耳る時代は終わった…“ケーブルドラマ”全盛期

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もはや地上波がドラマを掌握していた時代は終わった。視聴者の嗜好が多様化し、より果敢で視聴者を引き寄せる新鮮な内容のケーブルドラマが、ドラマの勢力範囲を変えた。信じて見る、探して見るようにさせたケーブルドラマの人気、それは何だろうか?

地上波ドラマが業界を牛耳る時期は終わった。

チャンネル選択権の拡大や、視聴者の嗜好の多様化に伴い、韓国のケーブルチャンネルや総合編成チャンネルの躍進が著しく目立ち始めた。特に、表現の幅が比較的に広い非地上波放送のドラマは、多少果敢ながらもトレンドをしっかり押さえることに成功し、それはすぐ20~30代の視聴者層の安定した流入に繋がった。自ずとネットで話題となるため、企画も演出も優れた作品は、そのトレンディさで甚大な波及力を持つコンテンツに急浮上するケースもある。

その先頭にあるのは、断然tvN「応答せよ1997」だった。ソ・イングク、Apink チョン・ウンジ、ウン・ジウォン、INFINITE ホヤ、イ・シオン、シン・ソユルなど、“やや弱い”ラインナップでスタートした同ドラマは、80~90世代を正確に狙い、大きな反響を呼んだ。男子アイドルを愛する“パスニ文化”で郷愁を刺激した「応答せよ1997」は、平均視聴率7.6%(TNmS基準)を記録し、国民的ドラマとなった。

その他、tvNの「ロマンスが必要」「ナイン~9回の時間旅行~」「イニョン王妃の男」「ゴハン行こうよ♥」、OCN「特殊事件担当班TEN」「神のクイズ」なども、マニア層から人気を集めることに成功した。最近になってケーブルドラマの地位はさらに確立されてきた。特に「応答せよ1994」「エマージェンシー・カップル」「カプトンイ」に続くtvNの金・土ドラマラインの力は、地上波の視聴率をも圧倒する。地上波でも難しい3連続ホームランは、果たして可能だろうか。ケーブルドラマの代表作であり、最近のトレンドを如実に反映した3本の作品を調べてみよう。

信じて見るケーブルドラマの始まり「応答せよ1994」

2013年の最後を盛り上げたドラマは、何と言ってもtvNの「応答せよ1994」だろう。単純に視聴率だけではなく、出演した俳優たちそれぞれがスターとして脚光を浴びたことから、ドラマが持つ底力は十分に予測できる。無名に近かった実力派の俳優チョンウは「応答せよ1994」を通じて韓国映画界の有望株に浮上し、Ara、ユ・ヨンソク、キム・ソンギュンは自身の演技の幅を確実に広げることに成功した。Tiny-Gドヒの、ソン・ホジュン、B1A4のバロなども、自身の認知度をしっかりと高めた。

特に「応答せよ1994」は、シーズン制のドラマの成功を引き継いだことはもちろん、前作を越える結果を収めた点でさらに意義深い。放送前「応答せよ1997」の延長線上にあることが期待されながらも、懸念としても働いたのは事実だ。しかし、最終的には成功を収め、視聴者たちをケーブルチャンネルに引き寄せることに貢献した。最終回の第21話では、ニールセン・コリア基準で自己最高視聴率11.9%を記録し、瞬間最高視聴率は14.3%にまで上がった。

“信じて見るケーブルドラマ”という新語も、その頃に生まれた。「男子の資格」で一緒だったシン・ウォンホプロデューサーとイ・ウジョン脚本家は「応答せよ1994」の大成功を通じて前作「応答せよ1997」の成功が単なる運ではなかったことを証明した。そして、個々人のキャラクター構成と人物間の関係性、共感を呼ぶ様々なエピソードなどをきめ細かく繋ぎ、視聴者たちを熱狂させた。そのお陰で、まだ確定されてもいない新シーズンを待つファンがいるほどであり、放送局の立場からすれば、忠誠度の高い視聴者層を持っている「応答せよ」は“宝物”だろう。


心配したが、蓋を開けてみるとどんでん返し「エマージェンシー・カップル」

大きな成功を収めたドラマの後番組という事実は負担になるという。

「応答せよ1994」の後番組「エマージェンシー・カップル」は、スタートからこのような懸念の視線に直面した。前作により視聴者たちの目も肥えており、手に余るだろうという謂れのない推測も続いた。

しかし、それは杞憂に終わった。チェ・ジニョク、ソン・ジヒョ、イ・ピルモ、チェ・ヨジン、クララなど、実力派俳優と個性派俳優、ライジングスターなどを絶妙に織り交ぜた「エマージェンシー・カップル」は、「応答せよ1994」に劣らない波及力を発揮した。特に、6年前に離婚した夫婦が、病院の救急室で再会し再び愛を育んでいく過程はユニークかつ新鮮で、20~30代の女性視聴者層の全幅的な支持を受けた。チェ・ジニョクとイ・ピルモの恋愛をめぐる視聴者たちの論争は、前作のチョンウとユ・ヨンソクの関係と似ている。

視聴率でも良い成績を記録した。毎回自己最高視聴率を更新したのである。「エマージェンシー・カップル」は10週連続同時間帯視聴率1位を記録し、ケーブルドラマの底力を見せつけ、ケーブルドラマの人気がこれ以上驚くべきことではないことを証明した。それだけでなく「エマージェンシー・カップル」の放送直後、各ポータルサイトの検索キーワードランキングが「エマージェンシー・カップル」関連で埋め尽くされることを考えると、若者たちの支持率もかなり高いものと分析される。

もう1本の傑作誕生?「カプトンイ」

地上波でもミニシリーズドラマ(毎週連続で2日間に2話ずつ放送されるドラマ)だけで3本連続ホームランを打つことは難しい。ケーブルチャンネルは尚更だ。しかし、今回は違う。「応答せよ1994」「エマージェンシー・カップル」の連続ホームランに続き、「カプトンイ」まで3連作ヒットの可能性が予告された。

公訴時効が過ぎ、未解決事件として迷宮入りした華城(ファソン)市連続殺人事件をモチーフに企画された「カプトンイ」は、実際に華城連続殺人事件で容疑者を指す単語「カプトンイ」をタイトルにし、スタートから話題を集めた。イルタン連続殺人事件でカプトンイだという濡れ衣を着せられたまま死んだ父のために刑事になったハ・ムヨム(ユン・サンヒョン)を中心に、カプトンイを逮捕しようとする目標を持つ、様々な事情の主人公たちの誤解と確執、協力と犠牲が粘り強く描かれている。

出演俳優の顔ぶれも興味深い。「シークレット・ガーデン」「君の声が聞こえる」でヒットメーカーの仲間入りを果たしたユン・サンヒョンを筆頭に、印象的な演技で評判のソン・ドンイルがキャスティングされた。MBLAQのイ・ジュンがサイコパス役を演じ、キム・ミンジョン、キム・ジウォンなどが彼らをサポートし、ドラマをさらに興味深く展開させる。次々と公開される写真や予告映像だけを見ても、もう一本の傑作が誕生するに十分な組み合わせだ。

ケーブルドラマ、なぜ見る?

ケーブルドラマの波及力が日々強まる中、韓国の視聴者たちはなぜ地上波の番組ではなく、ケーブルドラマを見るようになるのだろうか。最も大きな理由は、表現の多様性にある。地上波番組があらゆる規制で表現に制約があることに比べ、ケーブルや総合編成チャンネルのドラマは、比較的自由だ。トレンディな題材を最もカジュアルに描けるのは、ケーブルドラマが持っている特別な長所だ。

また、視聴者たちが接しやすい地上波番組の場合、どうしても主要年齢層を考慮するしかない。難しく踏み込んだドラマより、理解しやすいドラマに焦点を当てるのもそのためだ。しかし、ケーブルの場合は違う。特定の年齢層をターゲットにしたトレンディなドラマを、負担を感じずに制作できることが長所である。これは深く考える必要がある推理ジャンル、衝撃を与えるほどの新鮮さが、主要年齢層の20~30代にアピールし、彼らのリモコンをケーブルチャンネルに固定させたのである。

記者 : チョン・ジウォン