映画「神の贈り物」ムン・シヒョン監督“本当にキム・ギドク監督のシナリオ?と思った”

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演出のムン・シヒョン監督「母と娘が一緒に見ても良い映画になるように」

写真=イ・ジョンミン
キム・ギドク監督が自身のシナリオをムン・シヒョン監督に任せながら言った言葉は「ちょっと温かくしてみなさい」だった。子供を持つことができない女性と望まない子供を妊娠した少女が出会って起こる様々な事件を女性の視線で温かく描いてほしいと依頼したのだ。

昨年、釜山(プサン)国際映画祭で公開された映画「神の贈り物」が10日、韓国で公開された。映画祭のバージョンから多少構成が変更され、作品の時間も短くなった。19禁ではあるが、確かなのは“キム・ギドクらしさ”が非常に減ったことだ。映画にはユーモアもあり、2人の女性を眺める温かい視線も感じられた。

「本当にキム・ギドク監督が書いたのかと思うくらい、可愛らしくて温かったです。感性的でした。さらに、春に撮ったので生命の温かい気が盛り込まれたと思います。監督からシナリオを渡されるとき明るくて肯定的に描いてもいいと言われました。私も今回の作品は母と大人の娘が一緒に見ても良い作品になればと思いました。俳優たちも繊細に人物を表現してくれて、よく出来上がったと思います」

グーグルマップで見つけた一軒家…「『神の贈り物』だった」

写真=キム・ギドクフィルム
本来ムン・シヒョン監督は前作「Karma」「Home Sweet Home」などから分かるように自分で脚本を書き、演出するのが好きなタイプだ。「神の贈り物」はキム・ギドク監督がシナリオを書きながら女性監督であるムン・シヒョン監督を頭に入れて地道に作業した結果だと言える。ムン・シヒョン監督は「キム・ギドク監督も女性に演出して欲しいと、ずっと話していました。物語そのものが考える材料になりました」と快く引き受けた理由を明らかにした。

ただ、いざ始めると場所が問題だった。2人の女性が山の中の離れた一軒家で数ヶ月間同居するという設定だったが、それに合う家を手配するのに問題があった。本来はキム・ギドク監督が自分の娘のため山の中に建てた家を背景にしようとしたが、周辺で工事をしていたため外された。新しい家を手配することが制作陣の課題だった。

「演出部がグーグルマップの衛星写真を見ながら、家がありそうなところを探し回りました。たまたま助監督が車に乗って行く途中、ある山を見ながら家がありそうだと言ったんです。小川を車で渡って登ってみたら本当に家がありました。別荘のような感じで借りるのは難しいだろうと思いましたが、大家さんがほとんどただで貸してくれました。また、不思議なのはその家の近くにお寺がありましたが、そこのお坊さんが私たちを見て『立っているところは女性の山で生命の誕生に適したところ』と言いました。映画の撮影にぴったりだったんです」

次の問題はキャスティングだった。「神の贈り物」は、当時全く映画に出演したことのない新人女優チョン・スジンと広く知られていないが実力のあるイ・ウヌを主演に抜擢した。これは“キム・ギドクらしい”決定だったと言える。

「演技が上手な子役俳優もいいと思いましたが、新鮮な顔がほしかったです。多くの新人俳優に会う過程で、スジンさんには3回くらい会いましたが、自然で妙な魅力がありました。子供と大人の境界のような顔を持っていました。スジンさんは自身が選ばれるとは思わなかったと言っていますが、私は2回目に会った時から強い予感がしました。ウヌさんは、新鮮で女性らしい感じが漂う女優だったので一緒にすることにしました。細かい表現が長所である女優です。キム・ギドクフィルムは、新人と作業しながら他の制作会社が発見していない魅力を見つけ出すことが好きです」

成功したニュースプロデューサーが映画に転向?「運命だった」

写真=イ・ジョンミン
ムン・シヒョン監督はアメリカで新聞放送を専攻した後、ニュース制作プロデューサーを務めていた。映像と映画が好きだったとはいえ、2005年、韓国のキム・ギドク監督が演出部を募集するという公告を見て、全てを辞めて帰国した。なぜキム・ギドク監督だったのか。

「映像の仕事をしていたので自然に機会が訪れたんです。私の生活を大胆に捨てたわけではありません。もしかすると、私にとっての『神の贈り物』だったと思います。ニュースプロデューサーとして直接事件に接していたので、大変な部分が多かったです。人々に伝えなければならないのに、残酷な事件に私自身が耐えられなかったのです。その中で映画のようにフィルターをかぶせて、俳優を通じて話を伝えるのはどうかと思いました。

キム・ギドクフィルムの演出部の下っ端から始めました。アメリカで監督の映画「受取人不明」を見て感銘を受けてすぐに来たんです。なぜかというと、まるで鴨が卵から出て初めて見たものを母だと思うように、私にとってキム・ギドク監督はそういう存在でした。いつも私は師匠と呼んでいます。チョン・ジェホン監督はお父さんと呼んでいました(笑)」

写真=イ・ジョンミン
創作者に誰かの影を被せるのは失礼だというが、ムン・シヒョン監督は「キム・ギドク師団」という表現を「光栄に思います」と話した。その理由は簡単だった。「生き残る方法を学び、予算の限界、表現の限界を乗り越える方法を学びました」とムン・シヒョン監督は伝えた。

ただし「神の贈り物」が多くの観客に出会えず、直ちにIPテレビなど二次市場に移ったことをムン・シヒョン監督は残念に思っていた。ムン・シヒョン監督は「小さな映画が生きていく方法を探す過程に『神の贈り物』があると思います。配給の劣悪さを乗り越える方法が二次市場の拡大とも言えますが、出演してくれた俳優たちには申し訳ないです」と言った。

ムン・シヒョン監督の目標は明らかだ。作品を通じて話し、作品で認められたいということだ。現在彼女は親世代の話を執筆している。犠牲ばかり強要された父親の話がムン・シヒョン監督と会ってどんな調和を成すのだろうか。確かなことは、商業映画にはできないことにムン・シヒョン監督は挑戦しているということだ。

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル