イ・ソンミン「ソン・ガンホ兄さんの推薦、無名俳優にとって本当に有り難いこと」

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映画「さまよう刃」でスクリーン初主演…「私は運の良い俳優」

劇団チャイム出身の代表的な俳優ソン・ガンホは、今や多くの後輩たちが最も憧れる韓国の代表的な俳優だ。そんなソン・ガンホが取りまとめるのは、自身が所属していたチャイム所属の後輩たちである。その中でも最近時の人として浮上している俳優イ・ソンミンには、数年前から大きな関心と愛情を持って接してきた。イ・ソンミンから先輩ソン・ガンホの深い後輩愛を聞くことができた。

ソン・ガンホとイ・ソンミンが共演した映画は5作に上る。イ・ソンミンがエキストラで出演した映画「シークレット・サンシャイン」「グッド・バッド・ウィアード」、そして助演で出演した映画「小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件」「凍える牙」「弁護人」だ。もちろん主演を務めたソン・ガンホは皆覚えているだろうが、イ・ソンミンは簡単には思い出せないほどの小さい役で出演していた。

「ソン・ガンホ兄さんはチャイムの先輩ですが、お忙しい中いつも演劇を見に来てくださいます。実は私は個人的にはガンホ兄さんとそれほど親しくないのですが、地方で撮影していると飲み会で挨拶してくださったりします。ガンホ兄さんは私の公演を見ているから私に親近感があって挨拶をしてくれたのだと思いますが、韓国最高の俳優ですから、実際にお会いすると本当に恐縮してしまいます。『シークレット・サンシャイン』でガンホ兄さんと初めて共演しましたが、本当に温かく接してくださり、食事に行く時も誘ってくださいました」


粘り強いソン・ガンホの推薦…「無名俳優にとって本当に有り難いこと」

ソン・ガンホは、「シークレット・サンシャイン」以後、「グッド・バッド・ウィアード」のキム・ジウン監督にイ・ソンミンを推薦した。韓国の代表的な俳優ソン・ガンホの推薦の一言は、当時名前がそれほど知られていなかったイ・ソンミンにとって、言葉通り“借り”に等しかった。その後ソン・ガンホはパク・チャヌク監督の映画「渇き」にもイ・ソンミンを推薦した。

「『シークレット・サンシャイン』が終わってからガンホ兄さんが「グッド・バッド・ウィアード」に出演されたのですが、その映画に私を紹介してくださいました。キム・ジウン監督との打ち合わせに一人で行ったのですが、『ガンホさんと親しいのですか?』と聞かれました。そして正直に、『いいえ、それほど親しくはないのですが』と答えました。その後映画に出演することになり、フルショットで1カット出ました。ガンホ兄さんと一緒に撮るシーンもあり、ガンホ兄さんはその時も隣に座るように言ってくださったりして本当によくしてくださいました。

私が監督に選ばれて出演したわけではないじゃないですか。正直、私の性格からして誰かが紹介してくれるからと言ってむやみに食いつく方ではないのですが、ガンホ兄さんの紹介であれば行く以外に選択はないです。『渇き』のオーディションに行った時、その場所が本当にぎこちなかったです。勧誘を受けて来たみたいで嫌でした。そこでも『ガンホさんと親しいのか』と聞かれましたが、『親しくない』と答えました。結局、そのオーディションには受かりませんでした。

後で偶然ガンホ兄さんに会ったのですが、『渇き』のオーディションに行ってきたのかと聞かれ、あれこれ話をして『親しくない』と答えたことを話すと、ガンホ兄さんは『どうして?!』と驚いていました。私は『正直、親しくはないでしょう(笑)』と言いました。ガンホ兄さんのお気持ちは分かりますが、大先輩俳優のガンホ兄さんと本当に歳月を積み重ねて親しくなったわけではないので」

しかし、ソン・ガンホの方も粘り強かった。それ以降、イ・ナヨンと共に主演を務めた映画「凍える牙」にもイ・ソンミンを推薦した。イ・ソンミンは当時、ソン・ガンホに「お兄さん、もう人からガンホ兄さんと親しいのかと聞かれたら、親しいと答えますよ」と言ったという。

「ガンホ兄さんは、本人が出演する映画には私を推薦してくださいます。実際、私のような無名の俳優にとっては本当に信じられないほど有り難いことです。『シークレット・サンシャイン』には一瞬出ただけだったのでガンホ兄さんの演技を間近で見る機会がなかったのですが、『凍える牙』では間近で長い時間見守ることができました。演技を見ながら“ああ、本当に凄い人だな”と感心した覚えがあります。とても刺激になりました。今回『さまよう刃』でチョン・ジェヨンからもとても刺激を受け、“皆、主役になる人にはそれだけの理由があるんだな”と納得しました」

ソン・ガンホは後輩たちの間では“イン検達”で通っている。後輩たちの名前をインターネットで検索し、情報を知り尽くしている達人という意味だ。イ・ソンミンは「ガンホ兄さんは同じ事務所の俳優たちのスケジュールを全て把握しています。時々テレビに出るとメールも送ってくださる」と耳打ちした。また、「先日は『官能の法則』をダウンロードして見たとメールをくださいました。後ろに心強いお兄さんがいるようで嬉しいですし、大先輩なので緊張もしています」と付け加えた。

「実は私は映画の撮影の後はホテルであまり寝れないので家に帰って寝る方です。だからガンホ兄さんとあまり飲む機会を持てなくて申し訳なかったです。ですが、『弁護人』の時はガンホ兄さんと少し親しくなったので、飲み会を楽しむこともできました。実は私は人見知りが激しく、『お兄さん、お兄さん』と言って愛嬌を振る舞うタイプでもないですし、ただニコっと微笑むだけです。ガンホ兄さんも凄くアクティブなタイプではありません」

イ・ソンミンは、今回の「さまよう刃」で得た後輩チョン・ジェヨンについて「彼は私と似たところが一番多い後輩です。趣味もなく家にいるのが好きで、何事にもすぐ飽きてしまうので唯一続けていることが演技という点でも同じです。違いがあるとすれば、ジェヨンは私よりもう少し明るく、お酒が飲めない私とは違って飲める方ですし、私は一人でいるのが好きですが、ジェヨンは大勢の人と一緒に過ごすのが好きです」と話した。

「チョン・ジェヨンは芯が真っ直ぐで正直過ぎる人です。表面上は“チャラチャラ”していますが、実は全くそうではありません。私のような人間はジェヨンのような人といるととても楽です。積極的に『お兄さん、一緒にランチに行こう』と話しかけてくれるし、先に向こうから近づいて来てくれるので気が楽です。私は社交的ではない方なので……ジェヨンのような人が好きです」


1年に1回は演劇を言い訳に先輩後輩の顔を見る

イ・ソンミンは、映画「群盗:民乱の時代」の公開を控えており、映画「ビッグマッチ」の撮影の真っ最中だ。また、下半期には期待作のtvNドラマ「ミセン-未生-」の撮影にも取り掛かる。スケジュールがいっぱいになっているにもかかわらず、彼は劇団チャイムの演劇「干上がりすり減るほど」にも出演する。イ・ソンミンは「1年に1回は演劇をやります。演劇をすることを言い訳に、里帰りして家族に会うような気持ちで先輩後輩たちに再会することができますから」と語った。

エキストラで出演した過去とは違い、現在はイ・ソンミンに気づき、好きになる人が増えている。彼の演技への信頼が高まっているのだ。「さまよう刃」ではさらに強固になったイ・ソンミンの姿を見ることができる。イ・ソンミンはチョン・ジェヨンと並んで主演を務め、映画のバランスを取りながらストーリーをしっかりリードした。

「運が良かったと思います。チャンスが訪れたことがです。いくら自分に自信を持っていても、チャンスが来なければ俳優は表現する場がありませんから。そして今は、何と言いましょうか、逆に大きな責任を感じています。実はある程度の地位に立つことで生じる義務感について“私が何を、何で私がそんなことしなければならないのか”と否定的に考えていましたが、今は正確に現実を直視して認めようと思います。さらに責任感のある良い演技をお見せすることが私のやるべきことだと思います」

記者 : チョ・ギョンイ、写真:イ・ジョンミン