Vol.2 ― 「弁護人」ZE:A シワン“すべてソン・ガンホ&クァク・ドウォン&キム・ヨンエ先輩たちのおかげ”

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写真=映画「弁護人」のワンシーン
話題も問題も多かった映画「弁護人」(監督:ヤン・ウソク、制作:ウィダスフィルム)はいつの間にか誰もが当然視している観客動員数1000万人突破を果たした。早くからブームを起こして、ヒットの勢いは止まることなく、40~50代の中高年層の支持まで加わって、人気は頂点に達している。

1000万人の観客が「弁護人」を見ながら泣き、笑った。ある人は誰かを思い浮かべて懐かしみ、またある人は信じられない世の中に憤りを感じた。ソン・ウソク(ソン・ガンホ)が法廷で大声で叫んだ憲法第1条2項を聞いているとつま先から頭まで血が沸いてくる。すべてのシーンが観客の心をノックする「弁護人」は、このようにして観客の心を打った。

誰もが5回の公判シーンを「弁護人」最高の名シーンに選ぶが、これに負けない名シーンがある。それはZE:Aのシワン(25)が演じたジヌの拷問シーンだ。クッパ屋を営むスネ(キム・ヨンエ)の息子として、平凡な大学生活を過ごしていたが、釜林(プリム)事件に巻き込まれ、殺人的な拷問を受けることになるジヌ。暴行はもちろん、水拷問をされたり、逆さまにぶら下げられたり、顔にラーメンをかけられる拷問まで、観客も鳥肌が立つほどだ。シワンは演技するアイドルの限界を越えた、それ以上のものを見せて好評を得た。

「南営洞(ナムヨンドン)1985」(2012、監督:チョン・ジヨン)のパク・サンウォンのようにリアルな拷問シーンをこなしたシワン。やせ細った手足や焦点の合わない視線など、1988年生まれの彼にはあまりにも過酷な演技だった。シワンは拷問に疲弊したジヌ、そのものだった。

実際に代役を使わず、すべてのシーンを自分で演じたシワン。拷問シーンも例外ではなかった。生まれて初めて筋肉質な身体を手に入れるために熱心にトレーニングをしていたが、「弁護人」の撮影のためにすべてのトレーニングを中断せざるを得なかった。撮影は順番に行われず、拷問シーンのときはダイエットを、クッパ店でのシーンでは太らなければならなかったということだ。体重を増やしたり、減らしたり、凄まじいストレスが伴ったという。

「初めて身体を鍛えてみようとすごくトレーニングをがんばっていたんですが、無駄になりました(笑) 拷問で痩せ細った身体を見せなければならず、がんばって鍛えた筋肉を落とさなければならなかったので、勿体なかったですね。食べたいものも食べられなかったのに……。それでも、スクリーンで僕の身体を見ると、ジヌにピッタリでした。(―下着姿で登場するが、露出に対するプレッシャーはなかったのか?) 僕の目には僕の裸が目立つようには見えなかったのですが、むしろジヌが可哀想で悲しかったです」

なんとか細い身体にして一週間の拷問シーンの撮影に入ったシワン。拷問シーンを撮影中、小さな怪我もしたそうだ。映画でジヌを拷問したチャ・ドンヨン刑事役のクァク・ドウォンの手で間違って殴られ、顔にあざが出来た。外見から尋常ではなかったクァク・ドウォンの釜の蓋のようなぶ厚い手に綺麗な顔を差し出し、顔に青いあざができてしまったのだ。ジヌになってひたすら殴られていたら、最終的に顔にあざが出来ていたという。当時、ZE:Aの活動も並行しており、サングラスをかけるしかなかったそうだ。

「一時期ずっとサングラスをかけていました。僕はなんとも思っていませんでしたが、クァク・ドウォン兄さんは僕を見るたび大丈夫かと聞いてきました。あざがなくなるまで申し訳なさそうにしていましたが、それがまた申し訳なくて、あえてクァク・ドウォンさんを避けたりもしました。映画を見るとクァク・ドウォンさんは怖いですが、実際は世の中で一番純粋で優しい人です。本当にいい人です。そんな彼に出会えた『弁護人』は僕にとって本当に特別な作品です。色々な面で恵まれました。ハハ」

顔にあざを作っただけではなかった。水拷問シーンを撮影する時、拷問に入る前にシワンとクァク・ドウォンは二人だけのサインを作った。シワンが息が我慢できなくなるほど大変な時は、クァク・ドウォンの足を強く掴むことにしたそうだ。しかし、いざ撮影に入り、チャ・ドンヨンになりきったクァク・ドウォンはシワンのサインを忘れてしまった。意図せず本当に拷問を受けることになったシワン。カットのサインが出てようやく水の外に出た彼は、クァク・ドウォンのおかげで“リアルな”水拷問シーンを完成させた。


「かえって良かったです。恐らくサインを合わせたまま演じたら、あの凄絶さはなかったはずです。その後何回か撮影をしましたが、やはりリアルを越えるシーンはありませんでした。演技ではなく、本当に切羽詰った感じじゃなかったですか?(笑)」

チャ・ドンヨンがジヌの顔にガーゼをかぶせてラーメンのスープをかけたときも、鼻に辛いラーメンのスープが入ってしばらく大変だったが、それだけ役に集中することが出来てよかったというシワン。逆さまにぶら下げられるためにはたくさんの練習が必要だったという。ZE:Aの宿所で下着姿で手足をあげたまま横になり、メンバーたちを驚かせたりしたそうだ。

最後にシワンはキム・ヨンエに感謝を伝えた。本当の母親のようだったキム・ヨンエに感心したそうだ。キム・ヨンエの表情を見ているだけで何かがこみ上げてきて、ジヌの感情を楽に掴めたそうだ。シワンが感情を作ることが難しいだろうと、自身の撮影がないときもカメラの後ろで一緒に演じてくれたキム・ヨンエの気配り。そんな先輩たちの間で怠けるわけにはいかなかったため、シワンはさらに最善を尽くしたということだ。

シワンは終始、自分への称賛をすべてソン・ガンホ、クァク・ドウォン、キム・ヨンエのおかげだと述べた。肩を押さえつけられるほど重い荷を先輩たちが一緒に担いでくれたおかげでここまで来られたというのだ。「弁護人」のキャスティングをめぐり“ありえない”と表現する彼は、韓国最高の俳優が集まった「弁護人」を“凄まじいキャスティング”と言った。そしてその“凄まじいキャスティング”に参加できたことは奇跡であり、幸運だったという。

記者 : チョ・ジヨン