「プランマン」ハン・ジミン、端正な美貌だけではない意外な魅力を持つ女優

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女優ハン・ジミン(32)の始まりは、11年前の“リトルソン・ヘギョ”であった。色白の美肌と可愛い顔立ち、「私は何も分かりません」と言っているような純粋な眼差しまで。お兄さんたちを虜にした、まさに清純さ溢れる女神の登場だった。世は残酷ながらハン・ジミンにだけ不変の美しさを与え、彼女を見る女性たちを落ち込ませた。

これまでハン・ジミンは自身の最大の長所である端正で清純な魅力を武器に、ドラマで大活躍してきた。強い風が吹けば飛ばされそうなか弱さはもちろん、瞳を玉のような涙で潤ませ、世界が崩れ落ちそうな切なさを表現し、男性ファンの心を揺さぶった。大胆な露出のあるドレスよりは、端正な韓服(ハンボク:韓国の伝統衣装)のほうが似合う女優だった。

そのような彼女が思わぬ変身を試みた。振り返ってみると、本格的な変身は映画「朝鮮名探偵 トリカブトの秘密」(2011、監督:キム・ソクユン、以下「朝鮮名探偵」)だったようだ。濃いメイクにボディラインを強調した衣装で新しいハン・ジミンを見せてくれた。外見だけの変化ではなかった。冷たい表情に毒々しい口調、名家のお嬢様は去り、妖婦がそこにいた。一肌脱いだハン・ジミンは新鮮であり、衝撃的であったが、そんなハン・ジミンに出会えて嬉しかった。殻を破ったハン・ジミンの2度目の飛躍はこのようにして始まったのだ。

「そうですね。『朝鮮名探偵』がターニングポイントだったと思います。それまでは、私が作品を選べるような立場ではなかったので、他のことがやりたくてもできませんでした。似たような雰囲気の役が主に与えられました。機会に恵まれると、ただ一生懸命やるだけで、『これはダメ、あれはダメ』と選べるような立場ではありませんでした。テレビの中の女性というのはいつもそうじゃないですか。愛の前に内気で、傷付きます。変化を与えたくてもドラマの仕事の環境上、簡単ではありませんでした。当然、変身に対する望みは強くなっていきました。その望みを叶えたのが『朝鮮名探偵』とJTBCドラマ『パダムパダム~彼と彼女の心拍音』(以下『パダムパダム』)でした」

「朝鮮名探偵」「パダムパダム」を経てハン・ジミンはより一層大胆になった。デビュー以来初の試みとなるコメディ映画「プランマン」(監督:ソン・シフプ、制作:映画社日就月將)まで辿り着くことができたのだ。なんと清純でセクシーだとばかり思っていたハン・ジミンが、今回は爆笑を誘う。インスタントラーメンを食べながら口元からスープをこぼしたり、ガムを噛みながら眠ってしまったりすることもある。俗離れしている女神かと思ったら、実は焼酎とコプチャン(牛や豚の小腸)のマニアだ。意外にも壊れてしまったハン・ジミンは非常に魅力的だった。

「壊れてしまったというよりは、“お転婆娘”ぐらいにしてください。ソジョンは平凡な女性なんです。時には汚い時もありますが、その分自由奔放でその姿が可愛らしい人物なんです。このように描いてくださったソン・シフプ監督に感謝すべきなのかは分かりませんが……ハハハ。気楽に演じました。面白いですよね。実はこれが本当の私の姿でもありますし。ハハハ」

自身のイメージについて、「包まれています」と語り、豪快に笑うハン・ジミン。周りの知人たちが鼻で笑っていると話し「絶対に可憐ではない」と強調した。たおやかの代名詞だという取材陣の話には爆笑した。

「『たおやかの代名詞』と言ってくださるなんて光栄ですね。実はイメージのせいでプレッシャーを感じるというよりは、私自身が同じ姿に慣れてしまうというのが怖かったです。勇気を出せませんでした。正直、私を見る側も飽きてしまいますよね。私自身もそう感じているので、当然です。変身より挑戦がしたいと思いました。もちろん『プランマン』のソジョンを演じるのに、最初は違和感がありました。『ぎこちなかったらどうしよう』と心配をしましたが、幸いそれほど最悪ではなかったような感じがします(笑)」

筆者は「ハン・ジミンの成長」と言いたかったが、彼女は最後まで拒否した。何か大したことをやったわけではないという理由だった。映画の中で歌やダンスを披露したのは大きな変化とも言えるが、まずは試みたかったという。誰かの前でダンスを披露し、歌を歌う自分を見て恥ずかしくて隠れたいと思ったが、“恥ずかしくないふり”をしたというだけで誇らしいという。勇気を出して挑戦した「プランマン」に100%満足することはできないが、挑戦したということを自分で少し褒めてあげたいという。

「意図的にイメージを作り、隠すつもりはありませんでしたが……ハハハ。男性のファンのみなさんが『たおやか』と思ってくださるのを、嫌う女性はいませんよね。けれど、いつまでも清純で端正なままではいられないのです。これからの女優活動はより一層気楽に、余裕を持って、楽しくやっていきたいです。みんな私のことを気難しく思っているようですが、実は私、そんなに気難しくないんですよ。思われているより平凡です。綺麗に映らなくても、醜く見えても大丈夫です。女優は何でも表現できないと。私ももう結構年なので、実際綺麗なだけではないんです。隠れている贅肉もかなりありますし」

記者 : チョ・ジヨン、写真 : チョ・ソンジン