キム・ソヒョン“役者”としてのぶれない意志、そして悩みたち

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1ヶ月後には数え年で16歳になり、中学3年生になるこの少女は、ここ5年間で印象深い演技を披露して視聴者の間ではベテランの子役として位置付けられた。子役女優キム・ソヒョンの話だ。同い年の少女たちは思春期の初々しい気持ちの中で学生時代を満喫しているはずだが、キム・ソヒョンは撮影現場とスタジオを忙しく行き来しながら夢を育んでいる。それでも学生としてやるべきことは忘れない。

「しっかりしている」という褒め言葉が自然と出てくる。目の前に座っているこの少女は幼い子役スターに表れやすいスター意識などはどこにも見えず、純粋そのものであった。そんなキム・ソヒョンにとって“演技”が持つ意味とはなんだろうか。

着実に積み重ねてきた演技活動…自然とついてくる悩みたち

今年も数多くの作品に出演した。その中でもSBSの出演作だけで3本に上る。「私の10年の秘密」から「君の声が聞こえる」「怪しい家政婦」という3本の作品に連続で出演したキム・ソヒョンは多くの悩みを抱えているように見えた。特に、「イメージの消耗になりかねない」という筆者の心配する声には共感するようにして頷いた。

「実は子役の演技だけなので、無理をしてやっているわけではありませんでした。撮影期間も長くありませんでしたし。けど、今年は似たような役を連続して演じたという感じも少なからずあります。しかも、『君の声が聞こえる』は私がやりたいと言って出演したものなんです。台本を見たら、本当に面白くて。すぐに『やります』と答えました。『怪しい家政婦』もそうなんですね。この役はぜひ演じてみたいと思って選びました。来年からは少しずつ調整が必要だと思います。映画も撮ってみたいです。様々なものに挑戦して、経験してみたいと強く思っています」

キム・ソヒョンはその年齢の子役とは違って確固たるイメージを固めた数少ない女優だ。清純で清楚な役から、毒々しい眼差しの悪役の演技までよく似合う彼女だが、自身が思う最も似合う役はしっかりとしたイメージの賢い生徒役だという。特にキム・ソヒョンは視聴者の心に響く演技をしてみたいと覚悟を語った。

「しっかりとした役の演技が面白くて、良いと思います。MBC『会いたい』で披露した清純な役も良いですが、『君の声が聞こえる』のチャン・ヘソン役が良かったですね。物怖じしないで裁判所に証人として立つ姿が嬉しく、胸が一杯になりました。結果も良かったですね。しかし、思い出に残る作品を一つだけ挙げるとしたら『会いたい』なんです。社会的に暗い部分を演じましたし、ヨ・ジング兄さんと初々しくて可愛い初恋も演じました。とても思い出に残る作品です」


キム・ソヒョンの語る「怪しい家政婦」

ドラマの最初から最後まで出演したのは今回が初めてだった。子役の限界とも言えるが、これまでは長くて第6話まで、短ければ第2話までの出演にとどまっていた彼女だったゆえに、序盤から後半までという長く期間を演じ続けた「怪しい家政婦」は慣れない経験の連続だったが、スムーズに撮影を終えることができた。キム・ソヒョンは胸いっぱいの気持ちを語った。

「これまでドラマに出演して、最初から最後まで出演をしたのは今回が初めてでした。そこで長く演じるということへのプレッシャーもありましたし、体力的にもとても辛かったです。『本当に終わりがあるのだろうか』と思うほどでした。いざ終わってみると、すっきりした気持ちもありますが、一生懸命に走ってきたので寂しい感じもします。私にとっては意味の深い作品ですね」

「怪しい家政婦」は家族間の対立を多少極端な方法で解決したことで冷たい視線も浴びた作品だ。特に、青少年の登場人物が自殺を試みるシーンが何度も登場し、放送通信審議委員会からの警告も受けた。

「ウン・ハンギョルが家出をして、さらには自殺まで試み、父親をそこまで追い詰めるべきなのかとも思いました。引き続き良くない方向に走ろうとするのも理解できませんでした。しかし、最近のニュースを見てもそうなんですが、一部の青少年の間でこのような事件が起きていないわけではありませんよね。そのようなことを通じて、そんな青少年の考え方や心理をたくさん学びました。ウン・ハンギョルは優しくて純粋な子なので、そのうような姿を見せてでも止めたかったのではないでしょうか」

役者キム・ソヒョンと学生キム・ソヒョン、そしてありがたい家族たち

学校生活に誠実なことで有名なキム・ソヒョンは、「怪しい家政婦」を撮影してからは数えられるほどしか学校の授業に出席できなかったという。そのため、来週から試験期間だというキム・ソヒョンは泣きそうな顔になって話を続けた。

「本当に大変なんです。来週から試験なのに、勉強に無理が出ると思います。冬休みの間に、これまでにできなかったことをたくさんやっておかないと。授業にあまり出席できなかったので、そこでできなかったものをたくさんやらないといけません。冬休みの方がもっと忙しくなりそうです。演技は続けますが、勉強も諦めたくはありません。大学もちゃんと勉強して行きたいんです。心理学と国文学を専攻したいです。文章を書くのが好きなんですよ。夢が本当に多いです」

学校の休み時間に友達とお喋りをして、授業が終わると友達同士で遊ぶ年だが、キム・ソヒョンにはそれも簡単なことではない。学校に行ける日が数えられるほどしかないのもその理由ではあるが、クラスメートが自分に違和感を感じるのではないかと申し訳なく思う気持ちの方が大きい。

「久しぶりに学校に行くと、クラスメートは『芸能人が来た』と喜んで迎えてくれます。話しかけてくれずに、関心を示してくれないよりはずっと良いですよね。それでも、私が仲が良いと思った子たちですら私を完全に友達としては見てくれていないようです。そのようなことが、寂しいというよりは逆に申し訳ないんです。私は友達だと思って隠すことなく全部話すんですが、友達の方が『芸能人なんだからある程度は隠して、優しくしているんだろう』と思っているようです。そう思わせてしまっていることが申し訳ないですね」

15歳の少女が選んだ女優の道は、友達だけでなく最も近くにいる家族に対しても申し訳ない気持ちを抱かせる。1歳違いの弟が思春期を迎えるのを見守りながら、「母を奪ったような気がしてすまなかった」と話すキム・ソヒョンからはその年齢の少女とは違った成熟さが感じられた。

「ドラマを撮影しながらウン・ドゥギョルとウン・セギョルの反抗を見ていたら家の弟を思い出しました。まだ母親からの関心が必要な子なのに、私が母親を奪ったような気がして申し訳ない気がしました。それでも弟は私には何も言わないんです。逆に母親に『姉さんが大変そうだけど大丈夫?』と聞いたりするみたいです。しかし、やはり思春期なので母親とは仲が良くないみたいなので心配です」


キム・ソヒョンの2013年、そして未来

休むことなく走ってきた一年だった。そんな彼女に自分自身に星をいくつあげたいかと尋ねた。キム・ソヒョンは星5つの中で2.5つと答え、筆者とマネージャーを困惑させた。あまりにも厳しい点数のために説得を続け、やっと出し直した点数ですら星3.5つだった。

「まだ走り続けたいんです。あまり良い点数をあげてはダメですよね。まだもっと鞭を打って、頑張りたいです。演技をたくさんするよりも、もっと成長した多彩な姿をお見せしたいです」

若い年齢に似合わない答えだった。多くの女優と息ぴったりの相性を誇るキム・ソヒョンの考える本当のお手本とは一体誰なのかと気になった。

「コン・ヒョジン、ソン・イェジン姉さんのようになりたいです。『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~』でのコン・ヒョジン姉さんは自然で、綺麗に見せようと頑張らなくても美しかったです。演技も優しく、そのような雰囲気を学びたいです。ソン・イェジン姉さんからはラブストーリーでの演技を学びたいです。演技の実力をたくさん培い、キム・ヘスク先輩のような女優になりたいとも思っています。人々を引き寄せられる、一緒に泣かせるような女優に成長したいです」

記者 : ムン・ジヨン、写真 : キム・ジェチャン