「TWO WEEKS」イ・ジュンギ“初回放送直後、ドラマへの反応を見て叫んだ”

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“ソ・スジンの父親”チャン・テサンとして過ごした時間…「別の世界に入り込んだ感じ」

MBC水木ドラマ「TWO WEEKS」が終了してすぐ、イ・ジュンギはチャン・テサンの役から抜け出そうとした。わざと髪を金髪にしたり、外見のあちこちに変化を与えようとした。所属事務所に2週間だけ休暇をもらい、自分だけの時間を作ったが、むしろその時間の中で虚しさを感じたという。ドラマの後、イ・ジュンギは不本意ながらも“チャン・テサン病”(チャン・テサンのことで心を焦がすこと)に陥った。

一部メディアでは、彼の言葉の断片を切り取り“うつ病”という記事が報じられた。しかし、実際に話の筋道から考えると、彼の状態をうつ病と決め付けるにはやはり考え過ぎであった。役から抜けるためにサイクリングを始めたり、知人と時間を過ごしたりしながらイ・ジュンギは本来の自分を取り戻していった。自分の状態を周りを見て判断した。

「いつもは撮影終了後に役の余韻は長く続かなかったが、今回は少し長引いた。感情の消耗は前作でもあったが、今回はとりわけ消耗した。どこか別の新しい世界に入り込み、また帰ってきたような気分というか。精神的負担を感じていたからかも知れないし、ありのままの自分を放出したからかもしれない」


作品で役に入る度に自分を酷使?「上手くやらないと休めない」

イ・ジュンギは毎回作品で役を演じる度に細かいディテールまでこだわって表現しようとしてきた。その努力は自身を酷使していると思われるほど凄絶である。映画「王の男」「フライ・ダディ」の時は、綱渡りやボクシング、ロッククライミングを完璧に見せるために、しなくてもいいアクションをあえてマスターしたという逸話は、今や有名なエピソードとなっている。

「今回の作品でもそうしない訳にはいかなかった。冗談半分だが、今回上手くできなければ数年間は休むつもりだった。結婚もしていない僕が娘を持つ父親の父性愛を表現しなければならなかった。しっかり表現しないと共感も得られない上に『TWO WEEKS』がとんでもない作品になってしまう恐れがあった。

実は『TWO WEEKS』に出演を決定する直前、他の作品も見ていたが、ソ・ヒョンギョン脚本家にお会いして台本を受け取るとすぐに断った。この役はソン・ヒョンジュ先輩のように経験豊富な方が演じるべきだと思ったからだ。しかし、ソ・ヒョンギョン脚本家から連絡が来て、『絶対に出演するべきだ』と言われた。僕自身を変化させることができるから信じて付いて来いと仰り、早く決断して欲しいと言われて結局ソ・ヒョンギョン脚本家に会ってからわずか2日後に出演を決めた」

そうして出演を決めてからは苦難の連続だった。イ・ジュンギは「現場で上手だと言われることに慣れていたが『TWO WEEKS』は台本読みの時からあらゆる指摘を受けた」と言って厳しかった現場の雰囲気を語った。チャン・テサンの感情をどう表現すべきか悩んだが最終的には脚本家と監督に頼るしかなかった。

「何から始めるべきか分からないほど難しかった。監督が僕を励ましながら『第1話から共感してもらわなければならない』と仰ったので本当に最初から大変だった。どうすればチャン・テサンの父性愛に共感してもらえるだろうかと考えていた。しかも、これは普通の父性愛ではなく、いきなり現れた娘に対する愛情だ。ドラマが開始されたらまた悪質な書き込みをされて、非難を受けるのではないかと焦っていた(笑)

ドラマ開始前に記者懇談会を開いたが、ほとんどの記者の方からSBS『追跡者 THE CHASER』と比較する質問をされたが、それは『イ・ジュンギさん、本当にできるの?』という意味に感じられた。僕のファンも、なぜ僕がこの作品を選択したのか疑問に思う方も多い。信頼してもらえる要素がなかったのでプレッシャーが大きかった」


ごまかせない父性愛の演技…「視聴者の中で子を持つ親の反応が一番怖い」

戦々恐々としていたイ・ジュンギは「TWO WEEKS」の第1話が放送され、初めて気を休めることができた。第1話の放送直後、人里離れた山の頂上で、徹夜で撮影をしていたイ・ジュンギは撮影が終わるとすぐにインターネットの記事をはじめ、あらゆるインターネットコミュニティに投稿されたドラマへの反応をチェックした。初回放送なだけに冷静な評価が上がるだろうと予想したからだ。

「ドラマの掲示板も見ましたし、ファンの書き込みも読みました。しかし、『ウェルメイドドラマ(完成度の高いドラマ)が誕生した』『演技が上手だった』との褒め言葉が多く、それに対するコメントも良かった。その時は1人、山で叫んだ(笑) 本当に初回のことは忘れられない。プレッシャーがある程度吹き飛んで、これから何とかやって行けそうな気がした」

またイ・ジュンギは、この結果は一緒に共演した子役イ・チェミのおかげだとし、自身の父性愛を引き出してくれたのは他ならぬ「ソ・スジンを演じたイ・チェミだった」と語り、見事に演じてくれたと賞賛を惜しまなかった。演技は技術的な部分でカバーできるが、チャン・テサンの父性愛は彼とは別の人格ではないか。イ・ジュンギもそれを知っていた。

「父性愛はごまかせない部分だ。凄まじい絶叫なら、一般の人が経験するには複雑な感情なので技術面で何とかカバーすることができるが、父性愛は親であれば分かる感情だ。だから視聴者の中で子を持つ親が一番怖い(笑) もちろん、監督と脚本家が助けてくださった部分が大きかったが、ソ・スジンを見事に演じてくれたイ・チェミには本当に感謝している。あの子が繊細な演技と動きをとても見事にしてくれたおかげで僕も助かった。イ・チェミを見てください!父性愛が出ないわけがない(笑)」

イ・ジュンギは「TWO WEEKS」を通じて成長した面があると話した。演技的な面ももちろんそうだろうが、作品に対する姿勢もさらに成熟した。また、演技の底力も少し鍛えられた感じだという。色々な面でこのドラマはイ・ジュンギにとって大きな意味を持つことになりそうだ。

「たくさんの賞を受賞したが、僕は賞に対する意欲がとても強い。しかし、いつからか作品の質の方にこだわるようになった。もちろん賞を頂ければありがたいことだが、賞ばかりにこだわるわけにはいかない。

出演者同士ではパク・ハソンとキム・ソヨン姉さんと『受賞したいね』と冗談でお互いに言ったりするが、それよりも放送関係者の方々が称賛してくれたことが嬉しかった。前は賞を受賞しても『ジュンギさん、ドラマ面白かったよ』程度だったが、今回は『演技とても良かったよ』と言ってくれた。今の僕にとって、大きな賞を取るよりも客観的な評価の方が大きな喜びだ。

俳優としてまた違った面で成長した気分だ。ある能力が更に大きくなったことを経験したような気がする。だから逆に今、気持ちが空っぽになっているのではないかと思う。中にあるものを全部出してしまったので、それを埋めなければならない空間ができた。その空間にはきっと新たな別の役が入るのだろう(笑)」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル