Vol.2 ― 放送終了「火の女神ジョンイ」作品性&視聴率を乗り越えた俳優たちの熱演

OSEN |

※この記事にはドラマ「火の女神ジョンイ」の結末に関する内容が含まれています。
「火の女神ジョンイ」のもどかしい展開と低い視聴率にも、俳優たちの熱演は最後まで輝いた。ムン・グニョンの悲しい嗚咽演技は依然として印象に残るものだったし、イ・サンユンの切ない純愛の演技は女心をくすぐるのに十分だった。

22日に韓国で放送されたMBC月火ドラマ「火の女神ジョンイ」(脚本:クォン・スンギュ、イ・ソユン、演出:パク・ソンス、チョン・デユン)の結末は、ユ・ジョン(ムン・グニョン)が日本へ渡ることで中途半端なハッピーエンドに終わった。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)が勃発した中、不安定な権力を握った光海(クァンヘ、イ・サンユン)は17年後も依然としてユ・ジョンを思い続ける一途な姿を見せた。

「火の女神ジョンイ」は、朝鮮時代初の女性沙器匠(陶磁器を制作する名匠)である百婆仙(ペク・パソン)の波瀾万丈な人生と愛を描くという企画意図で始めたが、“試練の克服”というお決まりの展開で視聴者たちを落胆させた。特に、女性初の沙器匠であるユ・ジョンが陶磁器を作るシーンよりも宮中暗闘と復讐劇の割合が多くなり、ドラマはアイデンティティを失った。

以降制作陣はユ・ジョンとイ・ガンチョン(チョン・グァンリョル)の出生の秘密を持ち出して視聴率の引き上げに注力したが、視聴者の関心を取り戻すには力不足だった。反対に最後まで反省しないイ・ガンチョンの図々しい態度は、ユ・ジョンをより一層痛ましいものにして企画意図からは遠ざかった。

ここに歴史とは異なり、キム・テド(キム・ボム)が突然死を迎えるシーンは、ドラマの完成度と説得力を大いに落として視聴者からの反感を受けた。ジョンイのせいで勃発したように描かれた文禄・慶長の役が、ユ・ジョンの日本行きにより締めくくられるような強引な結末も、低い視聴率の要因となった。

ただ、作品の惜しい完成度にもかかわらず、ムン・グニョンとイ・サンユンを始めとする俳優たちの熱演は輝くものだった。ムン・グニョンは、朝鮮最高の沙器匠であるユ・ウルダム(イ・ジョンウォン)の養女であり陶磁器作りに天才的な能力を持つユ・ジョン役を演じ、あらゆる困難にも初の女性沙器匠として成長する凛々しい姿を披露した。ムン・グニョンは、徹底して復讐する冷静な姿を演じながらも、出生の秘密が明かされた後は胸を打つ嗚咽演技でお茶の間を涙で濡らした。それこそ、ムン・グニョンの真価が発揮された瞬間だった。

イ・サンユンとキム・ボムは、ムン・グニョンの助力者として切ない純愛を演じて女心をくすぐった。イ・サンユンが演じた役柄は王である光海で、聡明さと暖かさを併せ持った君主であり、文化に人一倍の見識を持つだけに、ヒロインのムン・グニョンと甘い雰囲気を演出した。王子の身分にも愛の前では積極的なイ・サンユンの姿は、女性たちの心を掴むに十分だった。ここにキム・ボムが影のようにユ・ジョンのそばを守りながら恋心を抱くキム・テドを演じ、初めて挑戦する時代劇の演技にも安定した武術演技と切ない片思いを披露して存在感を見せた。

またイ・グァンスは、バラエティでの姿とは正反対の姿を見せて視聴者を楽しませた。作中で品行が荒く卑劣な王子臨海君(イムへグン)役を演じたイ・グァンスは、卑しい口調と卑劣な表情で悪役を見事に演じ、ドラマの緊張感に貢献しながらシーン・スティーラー(主演よりも注目される脇役)としての立場を固めた。

このように、蓋然性のないストーリー展開で視聴者からそっぽを向かれた「火の女神ジョンイ」だが、黙々と自分の役割を演じこなした俳優たちの演技は、十分拍手に値するものだった。

記者 : オ・ミンヒ