Vol.1 ― 放送終了「主君の太陽」ホン姉妹、ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、それぞれの限界を超えた

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※この記事にはドラマ「主君の太陽」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS「主君の太陽」スクリーンショット
「あげたり、下げたり。この化け物たち!」結局、運命は運命で、恋は恋だった。太陽は最終的に主君のもとに戻り、他の人々も幸せな人生を取り戻した。まだ彼らの人生は「主君の太陽」の中で現在進行中だ。

本当に最後まで視聴者をあげたり、下げたりした。自分を超えるのが一番難しいといったところだろうか。「主君の太陽」の中で絡んだ人たちは全員、過去を乗り越え、新たな挑戦に成功した。韓国で3日に放送終了したSBS水木ドラマ「主君の太陽」(脚本:ホン・ジョンウン、ホン・ミラン、演出:チン・ヒョク)は全17話という短くも長い時間の間、視聴者を最後まで上げたり下げたりしながら長い挑戦を終えた。

ホン姉妹、ホン姉妹を超えた

誰が幼稚だと言ったのか。ホン姉妹がホン姉妹を超え、新たなスタートを切った。ドラマ開始当時、ラブコメディーとホラーの出会いという独特な素材で関心を集めたホン姉妹の「主君の太陽」は、これまで見せた“ありふれた”ラブコメディーになるのではないかという懸念の視線を受けた。さらにホン姉妹とコン・ヒョジンの出会いがその心配をさらに大きくしたのだ。

しかし、ホン姉妹は懸念を振り払うように、初回放送から追い込むような展開で視線を集め、すぐに弾けるような展開で視聴者を感嘆させた。第1話から17話まで、一度のもどかしさもなくコン・ヒョジンとソ・ジソブのラブラインも滞りがなかった。一般的なドラマがお互いに対する誤解とケンカで長い時間を無駄にするとしたら、“チュくん(主君)”と“テさん(太陽)”はお互いに対する気持ちひとつだけで、前に進んだ。言葉のとおり、スカッとするロマンスの始まりだった。

ホン姉妹は今回の「主君の太陽」を通して自分たちの限界を超えたといっても過言ではない。すでに複合ジャンルに一度挑戦し、それに満足できる結果が得られなかったホン姉妹は1年が過ぎた時点で複合ジャンルに再び挑戦し、成功を収めた。

また、延長絶対不可宣言で有名だったホン姉妹だが、異例的に1話延長を試みた。それさえも失敗がなかった。延長で緊張感が無くなる可能性があるという懸念とは異なり、最後まで呼吸を維持し、ハッピーエンドへと導いた。

再びラブコメディーへ…チン・ヒョクプロデューサーの好み狙撃

再びラブコメディーで帰ってきたチン・ヒョクプロデューサーが言葉のとおり、視聴者の好みを狙撃した瞬間だった。「検事プリンセス」で「ソ弁護士~」を女性たちの代表的な理想のタイプにし、今度は「社長~」を女性たちの理想のタイプに変えた。

お化けの話であるため、ドラマ撮影の間金縛りにあったというチン・ヒョクプロデューサーは実際、メロとラブストーリーが好きなロマンチックな男だそうだ。“お化け”というジャンルに挑戦したことで感じたプレッシャーも大きかったという説明だ。さらに前半のお化けの誇張された姿に視聴者が不快というような意見を出し、懸念の視線が注がれたりもした。

しかし、チン・ヒョクプロデューサーは初放送前の試写会でお化けのエピソードについて言及し、「エピソードが明かされる瞬間から人間のように変わっていく姿が見られるはずだ。ホラードラマは多いが、私たちは違うように見せたいという欲があった。エピソードとポイントがそれぞれ存在する」と明かしたことがある。

チン・ヒョクプロデューサーの言葉は最終回まですべて事実として証明された。コン・ヒョジンを追いかけていたコーヒーお化けも実はコン・ヒョジンと同じ事情を抱えていた人物であったことが描かれ、視聴者たちを最後まで掴んだ。最後の瞬間、たった一つの小さなものにも仕込まれていた伏線と暗示が視聴者たちを17話の間、止めておくことができる武器になった。

カッコつけないで…こんなソ・ジソブいいじゃないですか

ソ・ジソブが軽くなった。厳しい表情に眼差し一つで相手を制圧するカリスマ性を持っているが、今回だけは違った。コン・ヒョジンの愛嬌にとろけ、手を振りながら「消えろ」というそれなりに可愛い(?)台詞とアドリブも辞さなかった。それだけではなかった。普段なら見られなかった「ベイビー行こう」のパロディーは断然、ソ・ジソブの変身の中で最高の瞬間に選ばれた。

彼の演技変身は成功した。自身が自身を超えたケースに正確にはまったのだ。ソ・ジソブはこれまで「カインとアベル」「ファントム」「バリでの出来事」などを通して寡黙な男の標本となった。しかし、隠していた能力をいよいよ発散したのか。この男が誘惑を始めた。

コン・ヒョジンにストレートに愛情を表現するだけでなく、溶けそうに甘い眼差しもそうだった。いつも鋭い眼差しだけを見せていたソ・ジソブの完璧な変身だった。さらに、大げさなコミカルな演技も一品だった。「実は」という言葉はソ・ジソブに付けるべき言葉であるかのように似合った。この男、“実は”甘くて、“実は”図々しかった。


ラブコメディーのクイーンコン・ヒョジン、あなたには限界がない

コン・ヒョジン、言葉のとおり限界がない女優だ。今やお化けを見て憑依して、涙にロマンスまで“何でもできる”女優になった。名実共にラブコメディーのクイーンなのだ。もはやコン・ヒョジンをただ“ラブコメディーのクイーン”としてだけ見てはならない段階に来たようだ。

コン・ヒョジンは「主君の太陽」を通してホン姉妹と2年ぶりに再会した。最初から当然、懸念がついてきた。「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」後、再びホン姉妹の作品を選んだのが毒にならないかという懸念だった。コン・ヒョジンはすでに制作発表会のときからホン姉妹との再会について先に触れた。同じ姿を見せるのではないかという心配に「今度は役からして特別で違った。お化けを見る女だ。違わなければ選ばなかった」という自信あふれる発言で視線を引き付けた。しかし、それが実際に起きた。コン・ヒョジンはこれまで見せてくれたキャラクターとははっきりと異なるリニューアル“コンブリー(コン・ヒョジン+ラブリー)”で再誕生した。

キャンディ(漫画キャンディ・キャンディの主人公、お転婆で、元気に困難を乗り越えるキャラクター)を超えたヒロインに自身が愛する男、それだけでなく彼の周辺人物、視聴者まで上げたり下げたりする魅力を発散し、「主君の太陽」を最後まで引っ張った。

またキャンディに、シンデレラと思ったでしょう?まさか

再びキャンディ、シンデレラストーリーを期待していた人には申し訳ないが、「主君の太陽」は単なるシンデレラストーリーではなかった。大きな目から大粒の涙を流すヒロインもいなく、やさしいだけのヒロインが未来に対する悩みなしに王子様のような男に出会うシンデレラストーリーもなかった。

結局、お金持ちの社長チュ・ジュンウォンと屋根部屋に住んでいたお化けを見る女、テ・ゴンシルの恋は叶えられたが、シンデレラやキャンディのストーリーではなかったということ。特にテ・ゴンシルは誰かの邪魔によってではなく、自らの道を探すためにチュ・ジュンウォンのそばを離れる瞬間にも「私はキャンディじゃない。キャンディのようなものを期待している」という言葉をストレートに発散するなど、堂々とした女性の姿を見せ付けた。

最初、お化けの登場に震えながらチュ・ジュンウォンの手を握って抱き上げられていたテ・ゴンシルの姿はいつの間にか消え、新しい女性だけが残った。特にキャンディストーリーにシンデレラまで遠くに見送った「主君の太陽」はこれまで見ることのできなかった新たなヒロインの姿を残し、最終回を迎えた。お化けを見る能力を利用してお金を稼いだという多少、浮ついた設定だったが「主君の太陽」の中ではこれさえも現実的に見え、希望のある最終回を迎えることができた。

「主君の太陽」はみんなの愛と幸せ、願うことが叶えられ、幸せな最後を迎えた。幸せがいっぱいだった「主君の太陽」の主人公たちはそれぞれの幸せな人生を今も生きているはずだ。視聴者たちが「主君の太陽」を送った時間帯には新水木ドラマ「相続者たち」がやってくる。パク・シネ、イ・ミンホ、f(x) クリスタル、キム・ウビン主演の「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」(以下「相続者たち」)は韓国1%の高校生たちの物語で韓国版「ゴシップガール」を思わせる作品。「主君の太陽」の空席を「相続者たち」が埋めることができるかに注目が集まる。韓国で9日の午後10時から放送。

記者 : ムン・ジヨン