Vol.2 ― 「ハートレスシティ」ナム・ギュリ、自身を取り囲む誤解と真実

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女優ナム・ギュリの演技について語るときにいつも取り上げられるものがある。サークルレンズ(黒目部分の輪郭を際立たせ、瞳を大きく見せるためのコンタクト)とティント(元々の唇の色を生かして発色させるリップコスメ)、濃いメイクである。今回の総合編成チャンネルJTBC月火ドラマ「ハートレスシティ ~無情都市~」でも例外ではなかった。

ナム・ギュリが劇中で演じたスミンは児童養護施設で育った女性で、顔は綺麗だが化粧の仕方も知らないという素朴でありながら純粋な魅力を持っていた。しかし、ナム・ギュリの人形のように白い顔と赤い唇は、スミンの姿というにはあまりにも美しすぎた。「サークルレンズを外せ」「唇があまりにも赤い。ティントはもう塗らないで」など、俳優としての演技力ではなく、外見の指摘をする人々がでてきたのもそういう理由からだった。

「刑務所のシーンでは、ティントを塗りすぎだとか髪形があまりにも整っているとかそんな話をよく聞きました。しかし、私はそのシーンでは化粧をしないでと言われていたので、マスカラも塗らず、髪も整えていない状態でした。私は髪の毛が非常に細く、唇も明るいので誤解されたようです。本当に何もしていなかったのに」

最近、江南(カンナム)のあるカフェでインタビューのために会ったナム・ギュリは、そのような論争について知っていた。しかし、彼女は自身が釈明する代わりに、作品を通じて真実を見せることを選んだ。ドラマの後半にメイクを大幅に修正したのもそんな理由からだった。

「最初は、私の顔が白すぎて目立ちました。それで、綺麗に見えなくするための口紅を塗り、にきびができてもそのままにしたりと、ダメな部分があっても修正しませんでした。衣装も監督は華やかに着てほしいとおっしゃいましたが、わざとアクセサリーもつけませんでした」

あまりにも綺麗に見える彼女の顔は、むしろ短所となった。すっぴんで出てくれと言われてすっぴんで出ただけなのに、視聴者たちはそんな姿について指摘した。ナム・ギョリは結局、顔に塗るコンシーラーを唇に塗り色を抑えてまで、わざと蒼白な姿を見せなければならなかった。

「サークルレンズも前半だけはつけましたが、刑務所に入るシーンからはまったくつけませんでした。それなのに論争は続き、一度ファンの方たちがドラマのシーンをキャプチャーに撮ってインターネットにあげたこともありました。音楽番組でサークルレンズをつけている場面とドラマの場面を比較する写真をあげたのです。あまりにも悔しくて、メイクをしてくれるショップで『一体、メイクをどのようにすればいいのか』と尋ねるほどでした」

実は、ナム・ギョリのサークルレンズ着用論争はSBSドラマ「人生は、美しい」のときから始まった。彼女は論争が浮上し始めると、第19話からはレンズを外して出演したが、特有の大きな瞳と白い肌のために引き続き論争に巻き込まれた。

「キム・スヒョン作家は、人々が演技を見ずに、私の外見だけを見るとおっしゃいました。綺麗なふりをしなくても綺麗なふりをしているように見えると。だから、キム・ヘスク先輩が撮影に入るごとに私のまぶたをひっくり返して直接確認してもらいました。私は虹彩が濃く、肌も白いためにより目立って見え、サークルレンズをつけたと思われたんです」

ナム・ギョリとしては、悔しいと思って当然だろう。アクセサリーもつけず、他の女優たちよりもはるかに化粧もしなかったにも関わらず、毎回メイクが濃いといって論争に巻き込まれるからである。悔しいと思いながらも、今までどうして一度も話さなかったのかと尋ねると、彼女は「いつか分かってくれるだろうと思っていました」と答えた。

「実は、Twitterにメイクと全体のスタイリングについて書き込もうかと深刻に悩んだこともありました。しかし、むやみに釈明するとかえって論争を大きくすることになるかもしれないと思い、我慢しました。私が釈明すると信じてくれる人もいますが、色眼鏡をかけて見る人もいるでしょう。頑張ればいつかはみんなが分かってくれるだろうと思いました」

成熟した答えだった。彼女はTwitterでああだこうだと釈明する代わりに、着実に経験を積んで行くことを選んだのだ。女優ナム・ギュリとして認められ、人々に信頼されるようになると、論争は自然に立ち消えるというのが彼女の考えだった。

「私はまだ4つの作品しかしていません。未だに歌手としての華やかさや、スターとしての姿を覚えている方が多いので、もっと役者の姿で近づくしかないと思います。私の持っている人間的で温かい面を人々に見せたいです」

ナム・ギュリは悔しさを自ら釈明するよりも、演技力で認められる役者としての正攻法を選んだ。今はまだ4つの作品しかしていないが、これからどうやって誤解を乗り越えて行くのか、期待される女優だ。

記者 : チョン・ヒョンジン、写真 : クァク・ギョンフン