Vol.2 ― 「スノーピアサー」ソン・ガンホ“愛国マーケティングを強要したくはない”

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俳優ソン・ガンホ(46)は韓国では既に定評のある、“信頼して見られる”俳優の一人であり、海外でも有名な俳優だ。ハリウッドで認められているパク・チャヌク、ポン・ジュノ、キム・ジウン監督の映画で常連のように登場する彼は、いわゆる“強制海外進出”した数少ない俳優の一人だ。

そんな彼が「凍える牙」(監督:ユ・ハ)以来1年ぶりにスクリーンに帰ってきた。ポン・ジュノ監督の新作「スノーピアサー」(制作:モホフィルム)でだ。さらに世界167ヶ国という大きな市場を背に、華麗なるカムバックを果たしたのだ。

ファンは早くも歓呼した。「グエムル-漢江の怪物-」('06)「殺人の追憶」('03)を通じて、息がぴったりと合った姿を見せてくれたポン・ジュノ監督とソン・ガンホが7年ぶりに再会した作品であるためだ。クリス・エヴァンス、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントン、エド・ハリス、ジェイミー・ベル、オクタビア・スペンサーなど華麗なハリウッドの出演者がいなくても、2人が出会ったというニュースだけでも十分、注目を集めた。

“ポン監督のペルソナ”となったソン・ガンホ。2人の相性はまさに抜群だ。10年もの長い歳月の間、3本の作品を一緒にしたソン・ガンホとポン・ジュノ監督はいつの間にか唯一無二のパートナーとなった。

「“ペルソナ”と言われることが多いですが、そうかも知れませんし、違うかも知れません。僕がポン・ジュノ監督とだけ映画を撮っているわけではないので。ご存知の通り、今年の9月には『観相師』(監督:ハン・ジェリム)もありますし、冬は『弁護人』(監督:ヤン・ウソク)もありますから。ハハ。でも、作業を通じてポン・ジュノ監督とはしっかりとした信頼感を築けました。歳は2つ下ですが、もはや昔からの友人みたいな感じです。本当にいいパートナーであり、尊敬する映画人です」

グローバルプロジェクトと呼ばれるほど予算430億ウォン(約38億円)を投じ、「スノーピアサー」に対する期待はファンだけではない。映画を作ったポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、コ・アソンはもちろん、韓国映画界のすべての関係者がこの映画に注目している。

パク・チャヌク監督の情報によると今月22日、マスコミ向けの試写会で「スノーピアサー」がベールを脱いだ日、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホは移動する車の中でSNSを検索し、リアルタイムで反応を検索したそうだ。予想とは違う姿だ。自身の作品に対する反応を、このように気にするのは初めてだ。

ソン・ガンホに当時の状況を聞くと、ゲラゲラと大笑いした。終始「もう、パク・チャヌク監督も信じられないんだね」と恥ずかしそうな顔をした。合わせて「僕よりポン・ジュノ監督、パク・チャヌク監督がずっと気にしていた」とこっそりとその輪から抜けようとし、笑いを誘った。

「試写会をしたので、当然反応は気になります。昔と違ってすぐに分かるから不思議でもあり、ぞっとする評価が怖かったりします(笑) 『スノーピアサー』だからではなく、いつも緊張します。すべての力を注いだ作品が初めて披露される場じゃないですか。ですが、『スノーピアサー』はなんと言いましょうか、もう少し気になりましたね。おそらく、僕たちが反応を検索してみたのは、そういった意味の反証ではないでしょうか?」

反応についての話が出たついでに、「スノーピアサー」を韓国映画ではなく、外国映画として見る視線について見解を聞いた。海外スタッフ、ロケーションのためなのか、韓国映画という感じがしない。これについてソン・ガンホはしっかりとした声で「『スノーピアサー』は洋画ではない」と声を上げた。

韓国資本が入った「スノーピアサー」は韓国を代表するというには足りないところが多いが、自身とコ・アソン、そしてポン・ジュノ監督までプライドをもって作った作品だというのが彼の説明だ。167ヶ国への輸出も韓国映画で文化を知らせる行為であり、多くの人種の人が見るという思いから責任感も感じるという。

「アフリカでこの映画を見ると考えてみてください。彼らは韓国という国がどこにあるのかも知らないのに、文化として先に接することになるじゃないですか。胸が躍りますね。韓国と初めて出会うのかも知れないのに、“泥を塗ったら”どうしようと思ったりもします。自信をもって“これが韓国映画だ”と話したいです。そうなることを祈ります。だからといって愛国マーケティングを強要したいとは思いません。韓国の観客からたくさん愛されればこの上なく嬉しいと思いますが、“愛国映画だから愛してください”と駄々をこねたくはありません。確かに『スノーピアサー』は韓国だけでなく、世界で通じるレベルですから。自信ありますよ。ハハ」

記者 : チョ・ジヨン、写真 : ムン・スジ