Vol.1 ― 「スノーピアサー」ソン・ガンホ“オクタヴィア・スペンサー、実は繊細でか弱い女性です”
TVREPORT |
映画「スノーピアサー」(監督:ポン・ジュノ、制作:モホフィルム)を見ていると、ワールドスターが総出動し、目の保養にはなるが、何だか見慣れない感じがする。とにかく、韓国映画らしくはない。アメリカを守るヒーローであるキャプテン・アメリカが汚い顔で登場するからだろうか?負担感さえ感じるが、その瞬間、素晴らしい“神の一手”が登場する。ソン・ガンホ(46歳)が、「そうだ。聞いているんだよ」という乱暴な言葉遣いと共に一気に耳に入ってくる悪口で目を覚まさせてくれる。彼はそんな俳優だ。
確かに、世の中は変わった。韓国人俳優がハリウッド映画に出演して実力を発揮するのかと思ったら、今や韓国人の監督がハリウッドの俳優たちを率いて映画を撮る時代がやってきた。キム・ジウン、パク・チャヌク監督に続いて3番目にハリウッドに進出したポン・ジュノ監督は、400億ウォン(約35億3千万円)という制作費で17年間凍りついた地球を走り続ける列車を作り出した。この列車には、様々な人種の人々が前の車両から後ろの車両まで階級の上下によって暮らしており、ソン・ガンホとコ・アソンが韓国人を代表するキャラクターとして登場する。映画を見ている間、ずっと胸が熱くなるのは全て彼らのせいだ。
ソン・ガンホが演じたナムグン・ミンスは、最後尾車両の人なのか、前の車両の人なのかが正確に示されていない。ただ、列車のセキュリティ設計者だと観客に知らされているだけだ。また、“トレインベイビー”と呼ばれる娘ヨナ(コ・アソン)の父親であることとクロノール(劇中に登場する麻薬の一種で、吸い込むと幻覚作用を引き起こす工業用引火性物質)中毒者であることが知らされている。
「名前からして平凡じゃないですからね。ポン・ジュノ監督の遊び心が表れた部分だと思います。監督と話したことはありませんが、僕はまずこのように考えています。ナムグン・ミンスは英語圏の人々が発音しにくい名前ですよね。セキュリティ設計者の名前がナムグン・ミンスだと、立体感が活かされるのではないでしょうか。何だか名前からして難しそうな人のような気もするし……。初めて、カーティス(クリス・エヴァンス)と出会った時も可笑しいですよね。自分の名前を『ネムグン』と発音するカーティスに、『ネムグンではなく、ナムグンだ』とダイレクトに指摘するでしょう?謎めいた人物です(笑)」
平凡ではないのは、名前だけではない。ビジュアルも衝撃的だ。汚い上に、もじゃもじゃの髪とひげですごいことになっている。しかし、妙な魅力がある。人類最後のタバコ1本を吸うシーンからは、言葉通り“ダーティー&セクシー”な魅力が感じられる。以前から彼の致命的なセクシーさに気付いていたポン・ジュノ監督は、今回の作品でもそのようなソン・ガンホの魅力を漏らさずに活用した。
「僕がダーティー&セクシーな俳優ですって?(笑) とんでもない話です。ダーティー&セクシーな俳優にはキム・ユンソク、リュ・スンリョンがいるじゃないですか?ダーティーではないと思うので、セクシーくらいで……(笑)」
セクシーな彼の初登場シーンは、予想通り強烈だ。遺体安置所を連想させるような監獄で、特有の図々しさと反抗的な雰囲気で視線を引きつける。映画の中のカーティスのセリフからも分かるように、ナムグン・ミンスはクロノール中毒で監獄に監禁された。しかし、それだけではないような気がする。裏返してみれば、列車における絶対的権力者ウィルフォード(エド・ヘリス)との縁も深いのではなのだろうか。
「ナムグン・ミンスは列車のセキュリティ設計者なので、その気になればいくらでも前の車両と後ろの車両を行き来することができる人物です。そういう意味では、中間階層とも言えるでしょう。僕は、クロノール中毒だけではないと思います。前の車両の人々が席を外した時に、彼らの物を盗んでは最後尾車両の人々に売っていたのではないでしょうか?そうしているうちにクロノールにも手を出すようになり、最終的には窃盗の疑いで監獄に監禁されたのです。監獄の種類もいろいろありますが、僕がいた遺体安置所のような監獄は独房であるわけですよね。その分、重い犯罪を犯した囚人だという意味でしょう。ヨナは父親のすべてを真似する子だから、一緒に隣の監獄に監禁されたわけです」
実際にポン・ジュノ監督は、遺体安置所からインスピレーションを受けてナムグン・ミンスが監禁された監獄を構想したという。横になっているだけで妙な気分になりそうだがソン・ガンホは、「全然。むしろ自分の部屋みたいで楽だったんです」と楽しそうに話し、何も見えない真っ暗な中で横になっていることが、それなりに興味深い経験だったという。
実際、ソン・ガンホにとって本当に興味深い経験とは、ハリウッドで認められている俳優たちと一緒に作業するということだった。ジョン・ハート、ティルダ・スウィントンなど、名前だけ聞いても胸をときめかせる俳優たちのラインアップには緊張せざるを得ないだろう。さらに、クリス・エヴァンス、ジェイミー・ベル、オクタヴィア・スペンサーなど、今最もホットは俳優たちが加わった中で、韓国代表としてのプレシャーも大きかったはずだ。
「初撮影の時、胸がドキドキして、緊張もしました。まず、違う言葉を使う俳優同士が一つの作品で演技をするので、お互いの呼吸が重要でした。僕は韓国の俳優として上手くやらなければならなかったし、彼らも韓国の監督と俳優たちに上手くやる姿を見せたかったと思います。久々に緊張した初撮影でした」
ソン・ガンホは、「スノーピアサー」の撮影で初めて出会ったクリス・エヴァンスとジェイミー・ベルの第一印象について打ち明けた。
「初撮影の相手役がクリス・エヴァンス、ジェイミー・ベルでした。気まずいし、恥ずかしかったので挨拶をしましたが、それで終わりでした(笑) 『Hi. Nice to meet you』と言った後、何も話しませんでした。自己紹介もしませんでした(笑) コ・アソンが英語を上手く話せるので、話がある時はコ・アソンを通じて話しました。クリス・エヴァンスはかなりの人見知りだと聞きました。彼とはあまり話を交わさなかったのですが、コミュニケーションには全く問題がありませんでした。目を見ただけで何を考えているのかが分かったからです。後になって親しくなり、一緒にビールも飲みました(笑)」
ビールを一緒に飲む仲となったクリス・エヴァンスとの人脈を自慢すると思ったら、意外にも一番親しくなった俳優はオクタヴィア・スペンサーだと言った。彼の話によると、オクタヴィア・スペンサーは演技も、人間性も最高だという。
「『スノーピアサー』の撮影中に、オクタヴィア・スペンサーが誕生日を迎え、夕食会に招待されました。良い俳優であり、良き友人です。また、思ったよりも繊細でか弱い女性でした。劇中で、最後尾車両の人々が初めて突進するアクションシーンがありましたが、オクタヴィア・スペンサーがスタントマンと動きを合わせる過程でミスをしてNGになったんですよ。そのことですごく苦しんでいました。暴力をものすごく嫌い、怖がる人で、映画撮影が終わるまでそのことを申し訳なく思っていました。外見だけで人を判断することは絶対にしてはいけません(笑)」
確かに、世の中は変わった。韓国人俳優がハリウッド映画に出演して実力を発揮するのかと思ったら、今や韓国人の監督がハリウッドの俳優たちを率いて映画を撮る時代がやってきた。キム・ジウン、パク・チャヌク監督に続いて3番目にハリウッドに進出したポン・ジュノ監督は、400億ウォン(約35億3千万円)という制作費で17年間凍りついた地球を走り続ける列車を作り出した。この列車には、様々な人種の人々が前の車両から後ろの車両まで階級の上下によって暮らしており、ソン・ガンホとコ・アソンが韓国人を代表するキャラクターとして登場する。映画を見ている間、ずっと胸が熱くなるのは全て彼らのせいだ。
ソン・ガンホが演じたナムグン・ミンスは、最後尾車両の人なのか、前の車両の人なのかが正確に示されていない。ただ、列車のセキュリティ設計者だと観客に知らされているだけだ。また、“トレインベイビー”と呼ばれる娘ヨナ(コ・アソン)の父親であることとクロノール(劇中に登場する麻薬の一種で、吸い込むと幻覚作用を引き起こす工業用引火性物質)中毒者であることが知らされている。
「名前からして平凡じゃないですからね。ポン・ジュノ監督の遊び心が表れた部分だと思います。監督と話したことはありませんが、僕はまずこのように考えています。ナムグン・ミンスは英語圏の人々が発音しにくい名前ですよね。セキュリティ設計者の名前がナムグン・ミンスだと、立体感が活かされるのではないでしょうか。何だか名前からして難しそうな人のような気もするし……。初めて、カーティス(クリス・エヴァンス)と出会った時も可笑しいですよね。自分の名前を『ネムグン』と発音するカーティスに、『ネムグンではなく、ナムグンだ』とダイレクトに指摘するでしょう?謎めいた人物です(笑)」
平凡ではないのは、名前だけではない。ビジュアルも衝撃的だ。汚い上に、もじゃもじゃの髪とひげですごいことになっている。しかし、妙な魅力がある。人類最後のタバコ1本を吸うシーンからは、言葉通り“ダーティー&セクシー”な魅力が感じられる。以前から彼の致命的なセクシーさに気付いていたポン・ジュノ監督は、今回の作品でもそのようなソン・ガンホの魅力を漏らさずに活用した。
「僕がダーティー&セクシーな俳優ですって?(笑) とんでもない話です。ダーティー&セクシーな俳優にはキム・ユンソク、リュ・スンリョンがいるじゃないですか?ダーティーではないと思うので、セクシーくらいで……(笑)」
セクシーな彼の初登場シーンは、予想通り強烈だ。遺体安置所を連想させるような監獄で、特有の図々しさと反抗的な雰囲気で視線を引きつける。映画の中のカーティスのセリフからも分かるように、ナムグン・ミンスはクロノール中毒で監獄に監禁された。しかし、それだけではないような気がする。裏返してみれば、列車における絶対的権力者ウィルフォード(エド・ヘリス)との縁も深いのではなのだろうか。
「ナムグン・ミンスは列車のセキュリティ設計者なので、その気になればいくらでも前の車両と後ろの車両を行き来することができる人物です。そういう意味では、中間階層とも言えるでしょう。僕は、クロノール中毒だけではないと思います。前の車両の人々が席を外した時に、彼らの物を盗んでは最後尾車両の人々に売っていたのではないでしょうか?そうしているうちにクロノールにも手を出すようになり、最終的には窃盗の疑いで監獄に監禁されたのです。監獄の種類もいろいろありますが、僕がいた遺体安置所のような監獄は独房であるわけですよね。その分、重い犯罪を犯した囚人だという意味でしょう。ヨナは父親のすべてを真似する子だから、一緒に隣の監獄に監禁されたわけです」
実際にポン・ジュノ監督は、遺体安置所からインスピレーションを受けてナムグン・ミンスが監禁された監獄を構想したという。横になっているだけで妙な気分になりそうだがソン・ガンホは、「全然。むしろ自分の部屋みたいで楽だったんです」と楽しそうに話し、何も見えない真っ暗な中で横になっていることが、それなりに興味深い経験だったという。
実際、ソン・ガンホにとって本当に興味深い経験とは、ハリウッドで認められている俳優たちと一緒に作業するということだった。ジョン・ハート、ティルダ・スウィントンなど、名前だけ聞いても胸をときめかせる俳優たちのラインアップには緊張せざるを得ないだろう。さらに、クリス・エヴァンス、ジェイミー・ベル、オクタヴィア・スペンサーなど、今最もホットは俳優たちが加わった中で、韓国代表としてのプレシャーも大きかったはずだ。
「初撮影の時、胸がドキドキして、緊張もしました。まず、違う言葉を使う俳優同士が一つの作品で演技をするので、お互いの呼吸が重要でした。僕は韓国の俳優として上手くやらなければならなかったし、彼らも韓国の監督と俳優たちに上手くやる姿を見せたかったと思います。久々に緊張した初撮影でした」
ソン・ガンホは、「スノーピアサー」の撮影で初めて出会ったクリス・エヴァンスとジェイミー・ベルの第一印象について打ち明けた。
「初撮影の相手役がクリス・エヴァンス、ジェイミー・ベルでした。気まずいし、恥ずかしかったので挨拶をしましたが、それで終わりでした(笑) 『Hi. Nice to meet you』と言った後、何も話しませんでした。自己紹介もしませんでした(笑) コ・アソンが英語を上手く話せるので、話がある時はコ・アソンを通じて話しました。クリス・エヴァンスはかなりの人見知りだと聞きました。彼とはあまり話を交わさなかったのですが、コミュニケーションには全く問題がありませんでした。目を見ただけで何を考えているのかが分かったからです。後になって親しくなり、一緒にビールも飲みました(笑)」
ビールを一緒に飲む仲となったクリス・エヴァンスとの人脈を自慢すると思ったら、意外にも一番親しくなった俳優はオクタヴィア・スペンサーだと言った。彼の話によると、オクタヴィア・スペンサーは演技も、人間性も最高だという。
「『スノーピアサー』の撮影中に、オクタヴィア・スペンサーが誕生日を迎え、夕食会に招待されました。良い俳優であり、良き友人です。また、思ったよりも繊細でか弱い女性でした。劇中で、最後尾車両の人々が初めて突進するアクションシーンがありましたが、オクタヴィア・スペンサーがスタントマンと動きを合わせる過程でミスをしてNGになったんですよ。そのことですごく苦しんでいました。暴力をものすごく嫌い、怖がる人で、映画撮影が終わるまでそのことを申し訳なく思っていました。外見だけで人を判断することは絶対にしてはいけません(笑)」
記者 : チョ・ジヨン、写真 : ムン・スジ、映画「雪国列車」