「スノーピアサー」ポン・ジュノ監督“韓流にこだわるのは良くない…重要なのはストーリー”

OSEN |

8年にもなった。2004年冬のある日、ポン・ジュノ監督が映画「スノーピアサー」を作ろうと決心してから、それがスクリーンで実現され物語になるまで。その間ポン・ジュノ監督は、「グエムル-漢江の怪物-」を作り、「母なる証明」を誕生させ、着実に本人の名前に力を加えていった。

8年という長い歳月が過ぎたが、ポン・ジュノ監督は未だに「スノーピアサー」を映画にしようと決心したその瞬間を生々しく覚えていた。弘大(ホンデ)前のある漫画書店で偶然見かけたフランスの漫画、「スノーピアサー」。彼は最初“列車”という単語に惹かれ本を開いたが、本の最後のページを閉じる時は興味深い内容に惹かれたと言った。

「書店に行ったら、真っ黒い表紙に『スノーピアサー』と書いてあって、丸刈りの男女が抱き合っている漫画がありました。最初は列車とあるので、『おお、列車』という気持ちで本を手に取りました。人って、得体の知れない列車に対するロマンがあるじゃないですか。それで見たのですが、内容はさらにすごかったです。構成も興味深く、列車の車両によって階級が分かれるという面白いストーリーでした。『あ、これは映画にしなければ』と思いました。当時は、これほど苦難の道になるとは思いませんでしたね(笑)」

「ほえる犬は噛まない」から「殺人の追憶」「グエムル-漢江の怪物-」、そして「母なる証明」まで、ポン・ジュノの映画には、いつも“人”が存在する。ある状況に処した人間の行動により、人間の本性を絶えず探求してきたのだ。「スノーピアサー」もやはり同じだ。氷河期の中で唯一生き残った人たちが乗っている列車はこの世界、そして列車の車両ごとに位置している人々は秩序または枠に合わせて生きている私たちの姿だ。

「常に人間は、どこかから抜け出したい欲望を持っているようです。カーティス(クリス・エヴァンス)は最後尾車両から、牢獄車両の人たちは牢獄車両から。人間は枠の中に安住したがるのですが、抜け出したがる面もあります。列車を全体的に見れば、結局列車はそれに対するドラマだと思います。そして私は、カーティスが寂しい人間だと思いました。彼の旅が次第に孤独になっていくようだとも思いました。エドガー(ジェイミー・ベル)はカーティスのことが好き(?)なので、ナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)の登場に警戒したり、ちょっかいを出したりします。あの狭い人間世界で愛されたくて喧嘩するのが本当におかしくもありますし、一方では生存者たち同士で血まみれになりながら戦うこと自体が、人間の本当の姿のようだとも思います」

「スノーピアサー」の中核的な部分はすべて韓国から始まり、それ以降ハリウッドの有名俳優たちのキャスティング、多国籍スタッフの構成、チェコのスタジオでの撮影などにより、世界の観客を狙うグローバルプロジェクトに進化した。実は韓国の監督のグローバルプロジェクトは今回が初めてではない。キム・ジウン監督は「ラストスタンド」で、パク・チャヌク監督は「イノセント・ガーデン」でハリウッドのドアをノックしている。このように多くの監督が徐々に海外を目指していることについて、ポン・ジュノ監督に意見を聞いてみると、韓流よりはストーリー優先だという答えが返ってきた。

「映画というものは、言語圏の宿命があると思います。映画産業では、言語のテリトリーによって映画の市場が決まるじゃないですか。残念ながら韓国語を使う国は韓国しかないにもかかわらず、さらに南北で分かれています。それが私たちの運命であり、市場のサイズを決める要素です。インドは人口が多いので、海外開拓の意志がありません。彼らは、自国の映画を見て楽しみます。反面韓国はユニークな状況です。私の考えでは、韓国人の意志が強いからだと思います。悪く言えば、欲のインダストリーなんです。適切に作って楽しめばいいんですが、『海外へ出て行かなくては』と思う人が多いようです。韓国の映画市場も、世界で6~7位圏には入るのですが。監督の立場としては、韓国でうまく撮って韓国で成功するのも、世界的なことだと思います。韓流へのこだわりは良くないようです。韓国の大衆文化が世界を支配しなければならないというわけではありませんので(笑) 良いストーリーで美しい映画が出てくる方が重要ではないかと思います」

「スノーピアサー」が映画ファンたちに会うことを直前に控えてる今、ファンたちは「スノーピアサー」だけでなく早くから彼の次の作品に対して関心を示している。グローバルプロジェクトを発動させたポン・ジュノ監督が、果たして今後どのような映画を作り出すのか疑問が投げかけられている。彼はこのような疑問に対して、自分はストーリーに惹かれて映画を作るだけで、何かを企画しているわけではないと答えた。

「撮影監督がチェコで苦楽を共にして、それから帰国して映画『ブーメラン・ファミリー』を撮影しましたが、その映画を撮影しながら癒される感じで良かったと言っていました。それぞれ長所と短所があると思います。このシステムはうまく回っていて合理的ではあるけれど、反面余裕を持って唐突な話や深い会話を交わしながら新しいことを試すのは難しいです。『ブーメラン・ファミリー』を見ながら撮影監督が何について話していたのか、分かるような気がしました。そして私もそのような映画を撮りたかったですし。気のおけない俳優たちと密かに、深い話をしながら小さな規模で映画を作るんです。でも、まだ分かりません。韓国語で作ろうと構想しているストーリーが一つありますし、2010年から書いているストーリーも一つありますし、アメリカのエージェンシーが送ってくれたシナリオもあります。まだ分かりません。『スノーピアサー』も、グローバル大作にしようと企画したわけではなかったので。漫画を見て魅了されて『スノーピアサー』を作ったように、私は題材やストーリーに惹かれて動き出しますので」

記者 : キム・ギョンジュ、写真 : チェ・ギュハン