「優雅な女」クォン・ユル“同性愛の演技、やたらと周りから心配された”

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写真=マイデイリー DB
クォン・セインからクォン・ユルに、俳優活動をしている間に改名することは容易ではない決断だっただろう。クォン・セインも、クォン・ユルもファンにとっては慣れない名前ではあるが、本人にとっては大きな決断だった。

そして、彼は同性愛の演技で再び他の人とは違う道を歩んだ。彼はケーブルチャンネルtvN「優雅な女」で、男のコン・ジョンハン(パク・ソンウン)を愛するチ・ソンギを演じた。最近、以前より同性愛を扱う作品が増えている傾向はあるが、依然として同性愛について色眼鏡で見る人が少なくない。それにもかかわらず、クォン・ユルはチ・ソンギという役柄を選択した。

彼はどうしてもう一度、挑戦をしたのだろうか。

「台本を初めて見た時、そういう質問を家族や友達からたくさん受けた。僕は同姓と異性間の関係ではなく、人が人を愛するという感じで受け止めた。正直言うと僕も最初やり方がよく分からなくて、たくさん迷った。理解しにくかったため、その感情が簡単に芽生えず、『もしや僕は空回りしているのではないか』という心配が多かった。たくさん悩んだ挙句、僕が理解した愛とは、その人を見ると、気分が良くて安定感のある、同性の友達がいるんじゃないか。同性愛は、そういう心からもう少し進んだ延長線上にあると思った」

同性愛だけでなくても「優雅な女」は、放送前から関心を高めた。なぜなら、ショーウインドー夫婦(仮面夫妻)、同性愛、コンガル家族(もめごとや手前勝手な振る舞いでばらばらになった一家)、不倫など、破天荒な題材を全て集めていたからだ。マクチャンドラマ(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)を描き上げるのではないかという懸念の声がたくさん出たが、実際「優雅な女」は人間愛を披露してくれた。

「ドラマ自体は、マクチャンドラマのようにばらつきが大きい内容ではない作品だった。破天荒な題材にたくさん期待したようだが、実はこのドラマは、事件の流れ的な部分だけがそうだった。破天荒な部分を期待していたなら、がっかりしたかもしれない。しかし、作り手からすると最初からそういうドラマであることを知っていたので、誠実に表現した」

その中で、最も扱いにくかったのは何よりも同性愛だった。クォン・ユルもこの役柄に対する重みを分かっていたはずだ。彼は同性愛という負担に長い間悩んだ末、選択した役だったという。

「隠された話なので、僕達とは違う姿だったらいいなと思った。しかし、同性愛者に関する調査をしてみると、日常の中にたくさんいた。僕の周りの誰かが同性愛者かもしれない。同性愛も日常的なものだが、特別だと考えていることが問題だった。同性愛者たちも僕たちと同じ人間だから。むしろ特別であることを望むというのは、良くないという見方ではなかったのではないか。刺激的でもなく大げさでもない、同じだということを見せたかった」

俳優クォン・ユルは、自分の演技については本当に真剣な人だが、人間クォン・ユルはいたずらっ子のような人だ。昨年韓国で放送されたケーブルチャンネルO'liveの「ユン・ゲサンのOne Table」で、ユン・ゲサンとともに料理番組を行いながら、彼は本当の姿を見せた。

「実を言うと僕は人見知りが激しい。一緒に共演した人と会ったら、その時演じたキャラクターのまま接してしまう。『One Table』はたくさん悩んだ作品だ。その上、僕は料理も好きじゃなかった。ゲサン兄さんから『お前と俺の、若い頃の思い出として残しておきたい』という言葉に心が動いて、結局承諾した。兄さんの口車に乗せられて選んだ」

彼は自身の「One Table」をやるとしたら、最終回に招待したい人として俳優ハ・ジョンウを挙げた。ハ・ジョンウとクォン・ユル、二人の縁は非常に特別だった。

高校生のクォン・ユルは、学校でも愉快で面白い人として有名であり、そのような彼と親しかった先輩がハ・ジョンウの演技面における弟子だったという。その後、大学の新入生と生徒会長として会った二人。ハ・ジョンウは、クォン・ユルを見て「お前があの子だったっけ?」と最初の一言がこれで、二人はそのようにルームメイトとして1年間暮らしながら、演技に対する夢を育ててきた。

「ハ・ジョンウ先輩は、僕の初めてのルームメイトで、僕に役者として持たなければならない姿勢や人生に対する考え方、情緒などを教えてくださった方だ。今も感謝してるし、身の置き所が分からない。本当に尊敬する方だ」

ハ・ジョンウとともに演技に対する夢を見ていたクォン・ユル。そういう彼が演じた役は、呆然として気の抜けたレジデントや保護本能をくすぐる大学生など、弱いイメージに相応しい役柄に限られている。未練がましいだろうが、まだ希望があると言いながら、明るく笑っていたクォン・ユル。彼の将来はどのように描かれるだろうか?

「たくさんの人から、僕は静かで堅苦しい人だと言われている。僕のイメージの問題だ。しかし、敢えてこれを変えようとしたり、拒否したりしない。少しずつ変化をつけるつもりだ。僕はまだ始める段階にいるんじゃないだろうか?」

記者 : イ・ジヨン