※この記事にはドラマ「恋愛操作団：シラノ」の結末に関する内容が含まれています。
「人の気持ちを操作すること、簡単なことじゃなかった。自分の気持ちも動かせないのに……。ターゲットの心を動かしたのは依頼人の真心だったんだ。あなたも知っているだろう人の気持ちはどうも出来ないってこと」(「恋愛操作団：シラノ」最終回イ・ジョンヒョクの台詞より)

恋を叶えるだけだった彼らが恋を見つけた。tvN「恋愛操作団：シラノ」(脚本：シン・ジェウォン、演出：カン・ギョンフン、以下「恋愛操作団」)が今月16日、イ・ジョンヒョク＆少女時代 スヨンカップルのハッピーエンドで幕を下ろした。「恋愛操作団」は、恋愛下手な人たちに代わって恋を叶えてくれる恋愛操作団シラノエージェンシーの活躍を描いたドラマだ。

ユニークなリーダーソ・ビョンフン(イ・ジョンヒョク)、キュートでロマンチストなコン・ミニョン(スヨン)、天才工学エンジニアのムジン(ホン・ジョンヒョン)、美少年アラン(チョ・ユヌ)が恋愛操作団の一員だ。シラノエージェンシーの隣人で、イケメンシェフであるチャ・スンピョ(イ・チョニ)も注目すべきキャラクターである。

最終回は拉致されたミニョンを救おうとするビョンフンとスンピョの奮闘が描かれた。長かった三角関係にスンピョがピリオドを打った。スンピョは愛するミニョンのために人生最初で最後の“恋愛操作”を行った。スンピョの“恋愛操作”のおかげでビョンフンとミニョンは恋を叶えた。恋愛操作団もハッピーエンドを迎えた。ムジンは別れたヘリ(ハン・ヨンジュ)に再会した。アランはシラノ劇団の復帰作の主演として堂々とステージに立った。スンピョは料理スクールの講師として第2の人生を見つけた。

ありきたりではなく特別だったラブコメディ

ありきたりではないため、馴染みながなかった。しかし、特別だった。“恋”について異なる考えを持つ男女主人公のはっきりとした違いが面白さを倍増させた。イ・ジョンヒョクは初恋を親友に譲った後、“恋はビジネス、操作で出来ること”と考えるようになった。一方のスヨンは初恋で傷付けられただけだったが、“恋は真心”と考えた。

原作である映画(「シラノ恋愛操作団」)とも違う雰囲気を演出した。多少暗く、ドラマ的な雰囲気が強かった映画とは異なり、明るく感動的な要素を強調した。ラブコメディだが、従来のラブコメディとも違った。特にミニョンはこれまでのラブコメディでは見られないヒロインであった。いくら断られても最初から最後までビョンフンへの気持ちを諦めなかったのだ。綺麗な映像と美しい音楽も視聴者の目と耳を楽しませた。

恋という結果を得る“恋愛操作”が正しいのかに関する質問も投げた。人為的な“恋愛操作”を通じて誰かは恋を得るが、また違う誰かはその恋を失うかもしれない。ビョンフンを愛するミニョン、ビョンフンを愛するミニョンを知りながらも恋愛操作を依頼したスンピョ、ミニョンを愛しているがスンピョがもっと似合う人だと考え、恋愛操作を受け入れたビョンフン、そして視聴者の誰もが悩む問題だった。

恋愛操作団の多様な作戦も見どころだった。恋による傷のため、または恋を知らず傷ついた様々な依頼人のための作戦が視線を引きつけた。ターゲットにばれないかひやひやしながらもロマンチックな作戦が繰り広げられた。チ・ジニ、チェ・ウォニョン、イ・チョンア、イ・ユンジ、SHINee テミン、チョン・ユミ、コン・ユ、イ・グァンス、ク・ウネ、イム・ウォニ、イェ・ジウォンなどのスターが依頼人として登場し、面白さ倍増させた。

心残りとなったカメオ出演、好演した主役たち

スターのカメオ出演は確かに見どころだった。しかし、作品全体としては集中力を落とす要素として働いた。スターのカメオ出演では皆、熱演であった。しかし、各エピソードの依頼人として出演するにはスターの注目度が高すぎた。特に放送序盤に一気に登場したカメオ出演のスターが問題だった。主な出演者のキャラクターが確立される前に集中的に登場し、混乱を招いたのだ。

主人公たちの物語は後半になって本格的に描かれた。ビョンフンとミニョン、スンピョの三角関係がもう少し早く展開されていたら、集中度はさらに高まっただろう。ビョンフンとミニョン、スンピョを除くキャラクターに対する説明も不足していた。平凡な高校生とは違う人生を生きる美少年のアラン、無口な天才エンジニアのムジンについては疑問を残した。あやふやに終わったアランの初恋とムジンとヘリのロマンス、シラノ劇団の復活過程もしっかり描かれず、物足りなさを残した。

主演俳優たちの演技は申し分なかった。イ・ジョンヒョクとスヨンは16歳の年の差を乗り越え、ピッタリとした息を見せてくれた。イ・ジョンヒョクは「僕らの日曜の夜－パパ、どこ行くの？」のイメージを完全に捨てることは出来なかったが、“悪い男”の魅力を思いっきりアピールした。スヨンはガールズグループ少女時代ではなく、可愛らしいコン・ミニョンそのものだった。イ・チョニは久しぶりに挑戦するラブコメディを通じてロマンチックガイへ完璧に変身した。ホン・ジョンヒョンは独特なカリスマ性で存在感を示し、チョ・ユヌは純粋だが大人っぽいアランで魅力をアピールした。

「恋愛操作団」は、「美男イケメンラーメン店」「美男＜イケメン＞バンド ～キミに届けるピュアビート」「となりの美男＜イケメン＞」など“イケメンシリーズ”を制作したOh！boyプロジェクトの作品で、MBCドラマ「タムナ ～Love the Island」のシン・ジェウォン脚本家が脚本を手がけ、映画「死んでもハッピーエンド」のカン・ギョンフン監督のドラマデビュー作だ。