「金よ出てこい☆コンコン」次男イ・テソンと三男パク・ソジュンの話:SPECIAL INTERVIEW

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MBC新週末ドラマ「金よ出てこい☆コンコン」のパク・スンサン(ハン・ジニ)家には、足りないものなど何一つない家族に見える。財力があり、立派な息子や嫁が何人もいる彼に悩みなどはなさそうに見える。だが、その裏を覗いてみると、これだけめちゃくちゃな家庭もない。3人の息子はそれぞれ違う母を持っており、父は今も2人の女性と関わっている。さらに本妻、つまり長男パク・ヒョンス(ヨン・ジョンフン)の母は愛人たちの計略によって追い出された。それも浮気をしているという侮辱的な濡れ衣まで着せられたまま。それだけでなく、末っ子のパク・ヒョンテ(パク・ソジュン)は未だに結婚前に付き合っていた女性のことが整理できず問題になり、次男の妻ソンウン(イ・スギョン)の過去も普通ではない。それに教科書のような人物パク・ヒョンスまで妻のユナとそっくりのモンヒ(ハン・ジへ)と関わることで一触即発の状況、いつ壊れてもおかしくない不安な状況が続いている。

ところで、この家庭と対立しているチョン・ビョンフン(キル・ヨンウ)の家族にも問題がないわけではない。経済的な余裕とは関係なく、両家は一日も穏やかな日がないが、意外なのは所々に“マクチャン(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)”の要素が見られるにもかかわらず、あまり非難されていないということだ。同じ放送局の週末ドラマだが、毎日のように“マクチャン”と非難される「百年の遺産」としては「どうしてうちのドラマだけなのか」と愚痴をこぼすかもしれない。なぜ「金よ出てこい☆コンコン」は“マクチャン”と非難されないのだろうか?その制作陣と役者に会ってみた。

参加者:イ・ヒョンソン監督、俳優イ・テソン、イ・スギョン、パク・ソジュン、ペク・ジニ、コラムニスト チョン・ソクヒ

―“マクチャン”という用語をめぐって色々と議論がありますが、すでに代名詞のように使われていますので他に表現のしようがないですね。とにかく、内容には確かに“マクチャン”の要素がありますよね。それなのに非難されない理由は何でしょうか?

イ・ヒョンソン監督:この機会にそれを代替できる用語が出来ればいいでしょうね。笑えるほど日常では起こりそうにない出来事と非倫理的な内容、これはまったく違う話なので。実は、遡ってみるとギリシャ神話のエディプスの話も物凄くマクチャンですよね?一応ハ・チョンオク脚本家が上手く書いてくれたおかげです。ハ・チョンオク脚本家と私が共有する哲学がいくつかあります。「実際は皆、哀れな人間だ」「悪い人にも泣くしかない事情がある」「悪い人にも食べて暮らす権利がある」この三つがすべての人物に秘められていると思います。これらが調和して上手く表現されれば、同情や憐憫をいくらでも引き出せると思います。

―パク・ヒョンジュン(イ・テソン)だけ見ても最初は野心に燃える悪い人間だと思いましたが、時間が経つにつれだんだん可哀想になってきました。

パク・ソジュン:実は一番可哀想です。自身の生涯は母(イ・ヘスク)の息子として生きて死ぬと言っていましたよね。

イ・テソン:最初は僕も混乱しました。それで見えない部分を監督とたくさん話しながら埋めていきました。そのおかげで次の台本が出たとき、以前と違う姿が見えてきて理解できたんです。

「俳優にとっては良い機会です」

―一方で20話まで放送された今でも理解し難いキャラクターがソンウンです。まだ彼女の過去と秘密は明らかになっていませんし。MBC「ソウルメイト~恋人たちのダイアリー~」の明るいスギョンが好きだった私は、今回のイ・スギョンさんのイメージを見て当惑しました。

イ・スギョン:監督が私のような人が悪役をすれば、また違う悪役を表現できるのではないかとおっしゃいました。うちの母がサウナに行ったとき、皆さんが「イ・スギョンじゃない、イ・スギョンだ」と言っていたそうです(笑) 女優としてはいい機会ですね。でも、最初のシーンはとても大変で「早く他の人を探したほうがいい気がします」という言葉を口にするところでした(笑)

イ・ヒョンソン監督:私は綺麗な人が好きで、イ・スギョンさんのような綺麗な女優が悪役をすればいいなと思いました(笑) ところが、実際のイ・スギョンさんは人が良すぎる性格で(皆口を揃えて「本当にいい人です!」)、声のトーンを決めるのが難しかったです。そのため私も最初は変えなきゃいけないのかな?とちょっと悩みました(笑) でもイ・スギョンさんが努力をし、それを乗り越えてくれたんです。

―パク・ヒョンテとモンヒョンは、いつもソンウンから冷遇される立場ですが、どうでしょうか?

ペク・ジニ:演技ですが、それが難しいです。それでもたまに言うべきことは言います。

パク・ソジュン:僕は兄嫁(ソンウン)に嫌なことがあれば全部表現しています(笑) いつも人の顔色を伺いながら育ったため、家では表現できないだけです。

イ・スギョン:性格もキャラクターによって変わるようです。この頃は普段の生活でもストレートに言うようになりました。これを見れば悪役もそれなりに魅力がありますね。

―末っ子カップルは今始まろうとする段階で、演技とはいえ二人の間には微妙な感情ができるのではないかと思いますが。

パク・ソジュン:そうですね。少しずつできています。

―いいえ、そうじゃなくて、役者のパク・ソジュンさんとペク・ジニさんの間にです(笑)

イ・ヒョンソン監督:いつも現場で私たちがそそのかしています。「付き合いなさい!」と。お似合いでしょう?(笑)

ペク・ジニ:心強いです。初めてお会いしたときは気まずくて大変でしたが、今は頼りにしています。

イ・スギョン:私たちは未だに気まずいですよ!(笑)

―イ・テソンさんは今回のドラマの前にも切ないラブシーンはあまりなかったですよね?MBC「愛情万々歳 ~ブラボー!マイラブ~」も、「エンジョイライフ~愛がすべて」も対立ばかり経験して急にハッピーエンドになりましたね。

イ・テソン:もうそろそろ出てきますよ。待っていてください(笑)

「必ずしも悪人か、善人かを決め付けられるものではありません」

―それにしてもこのドラマでイ・テソンさんの笑顔はなかなか見られないですね。

イ・ヒョンソン監督:キャンプのシーンで笑ったでしょう。実際はコメディアンのように面白い性格なんですが。これから次第に笑えることが起きますよ。パク・ヒョンジュンがソンウンの過去を知る瞬間、また波乱が起きるでしょうし。もうすぐソンウンがパク・ヒョンジュンのために全てを投げ出すシーンも出てきます。パク・ヒョンジュンを後継者にする切り札を手にしたけれど、そのカードを使う瞬間、ソンウンは崩壊してしまうことを覚悟しなければならないので。“劇”という文字は虎、豚、刀で構成されています。二頭の野獣が刀を持って対立している様子が劇というわけです。見方によっては虎が悪い可能性もありますし、イノシシが悪い可能性もあります。お互いに立場が違って、自身の道を歩むということだけで、必ずしも悪人か善人かを決め付けられるものではありません。

―ところで善悪とは別に、結婚している夫婦であるにもかかわらず、恋愛模様に進展がなくてもどかしいです。

イ・ヒョンソン監督:どうしても週末ドラマなので(笑) パク・ヒョンテとモンヒョンは、今週いよいよ手を握るんですよ(笑) それにパク・ヒョンジュンとソンウンもスーパーでの買い物シーンは仲睦まじい姿がよく撮れているでしょう。

―スーパーに一回行っただけで記事になったわけですから、今までどれだけ事件がなかったのかが分かりますね。

イ・ヒョンソン監督:私たちはカップルの愛情表現よりも、家族の調和に焦点を当てていますので……。

―監督が妬ましくてわざと避けているのではないですか?(笑)

イ・ヒョンソン監督:違いますよ。私もラブシーンがとても好きですよ(笑) 次第に出てきますから。

「台本を見たら十分理解できました」

―もう一つ、皆さんはモンヒョンがなぜバカみたいにこのような結婚をしたのかに疑問を持っています。私も時代錯誤だとは思いましたが、見ていたら分かるような気がしました。

ペク・ジニ:私も台本を見て十分納得しました。たくさん愛され、母と姉の犠牲によって勉強できたじゃないですか。その愛を家族にお返しするんです。パク・ヒョンテの被害者意識、喪失感もモンヒョンが満たしてあげるでしょう。

パク・ソジュン:僕もパク・ヒョンテについて僕だったらどうしただろうかと色々と考えてみました。3人目の母だし、色々な面で彷徨わずにはいられません。何も考えずそんなことをするわけではありません。

―ところで、パク・ヒョンテは欠点が多い人ですが、おかしいことに非難されていません。なぜでしょうか?

パク・ソジュン:同情心をくすぐるためではないでしょうか。視聴者には、こいつがなんでこんなに行き過ぎたことをするのか理解していただいていると思います。

―パク・ソジュンさんの前作、KBS 2TV「ファミリー」を思えば、今のひねくれた姿はとても意外です。

イ・ヒョンソン監督:とても演技が上手でした。オーディションに100人は来たと思います。その中でもパク・ソジュンさんの演技が一番痛かったです。

―これからユナも戻ってくる予定で、パク・ヒョンスの母の秘密も明かさなければならないですし。まだ道のりは遠いですね。

イ・ヒョンソン監督:テレビというものは基本的に勧善懲悪と因果応報を見せるしかないと思います。代償行動であっても「人間はこんなふうに生きていかなければならない」と見せる必要があるので。勇気を与えることがドラマ本来の目的でしょう。それでこの前、キャンプ場のシーンを撮るとき話の流れを考えてみたのですが、突出した感じはあったもののわざと幸せな絵を描いてみました。そうしながら少しずつ心の扉を開いていくのです。

イ・スギョン:家族愛を見せてくれて私たちにとってもいい時間でした。

―俳優の衣装やヘアスタイルなど、見所も多いです。若い役者はもちろん、ベテラン俳優まで緊張すると思いますが。

ペク・ジニ:それぞれのキャラクターがあまりにも違うので、気を使ったことはないと思います。

パク・ソジュン:本当に不思議なくらいそれぞれに個性があります。キャラクターが。それに皆キャラクターとよく合っています。

イ・スギョン:どうしてそんなに皆違うのか、本当にキャスティングが良かったんだと思います。私はキャラクターを際立たせるために努力しています。

イ・ヒョンソン監督:運が良かったですね(笑)

イ・テソン:夕飯を食べるシーン以外は家にいるシーンがほとんどないです。それでどうしてもスーツ姿が多くなってしまいます。

イ・ヒョンソン監督:そのようなビジュアルを生かすため映像も一般的な色と変えて作るなど、かなり気を遣いました。

―でも、第1話の映像はあまり気に入りませんでした。何だか色がくすんでいるような感じとでもいいましょうか?

イ・ヒョンソン監督:それが……急に制作に入ってしまったのでテスト撮影する暇がありませんでした。第1話のチョン・モンヒの屋台シーンは綺麗に撮れましたが、スタジオに入ってからトーンを合わせるのが難しかったんです。野外のトーンに合わせてほしいと説得してそうしました。MBCでは初めてだと思います。

―父パク・スンサンのせいで全ての問題が起きたわけですね。その他にもこのドラマには特に尊敬できる大人がなかなかいません。間違ってもすまないと言う大人がいませんし。

イ・ヒョンソン監督:世の中をリードしていく大人が子どもたちの人生を左右します。子供の未来にも関与しますし。でも、それがまた人生なんです。大人だからといって全員大人であるわけにはいきませんよね。パク・スンサンについて言い訳をするとすれば、彼が間違ったことをしたのは事実ですが、それは過去のことです。今は兄弟間の対立を助長した人ではなく、兄弟が仲良く生きていくことを願う優しい父です。それを妨害した人物がチャン・ドクヒ(イ・ヘスク)です。17話の導入部分を見るとパク・スンサンがパク・ヒョンスに言う言葉があります。「ユナのわがままを許しているのはお金のためだけではない」改めて申しあげますが、人間の一面だけを見ないでほしいです。

イ・スギョン:私は、たった一つでも見習うところのある大人ならいいと思います。仕事でも、家庭でも。

イ・テソン:僕が思う母という存在、祖母という存在の枠がありました。でも、今回のドラマをするうちにそれがなくなりました。大人も人間なんだな、そんなこともあり得るだろうなと思うようになりました。

ペク・ジニ:このドラマでお会いしたベテラン俳優の方々は皆、心の目と耳が開かれている方たちです。権威意識のようなものは全くありません。私もそのように開かれている大人になりたいです。

パク・ソジュン:生きていると1年が違って、6ヶ月が違いました。演技を続けながら大人になれば、手本となるような先輩になりたいし、良い父親になりたいという気持ちもあります。今は具体的な考えはありません。そんなに意地を張らずに、オープンマインドな人になれればいいと思います。

―現場でも大人たちが模範にならなければならないと思いますが、監督の役割が大きいと思います。

イ・ヒョンソン監督:私もまだ大人ではありません。孔子も60歳になってやっと大人になると言いました。耳順(60歳の異称)になれば、私を批判する話も笑いながら受け入れることができます。

―私はキャラクターの成長する姿が気に入っています。モンヒョンが姑と夫を変化させますよね。世の中に必要な人はまさにこのような人です。それから何よりパク・ヒョンジュンが変化する姿がいいです。ソンウンにもそのような機会が訪れればいいのになと思います。

イ・ヒョンソン監督:チョン・モンヒがこれまではいい女ですが、チョン・モンヒが辿り着けなかった愛の定義にソンウンが辿り着けます。

ペク・ジニ:パク・ヒョンテは愛情不足なキャラクターじゃないですか。私のキャラクターは逆に物凄く愛され、期待されていたので、それをパク・ヒョンテに注ぎ込むようです。

―ペク・ジニさんは今回MBC「黄金漁場-ラジオスター」に出演されているのを見ましたが、これからもバラエティに出られても上手くやれると思います。

パク・ソジュン:ただ笑っているだけでいいと思います。

イ・ヒョンソン監督:ただ笑っているだけで癒しになります。

イ・スギョン:私にバラエティは似合わないと思います。でも、ペク・ジニさんは映画のプロモーションで何度か出演されていましたが、とても好きでした。

ペク・ジニ:思ったより面白かったです。最初は緊張しましたが。

―とにかく、ドラマはいい方向に行くんですよね?

イ・ヒョンソン監督:ネタバレかもしれませんが、パク・ヒョンジュンが兄弟のために何かをします。最後はハッピーエンドに。

―明るい方向に進むとおっしゃっていますので楽しみにしています。お忙しいところ、時間を割いていただきありがとうございました。

エピローグ
悪役と言えるイ・テソンさんとイ・スギョンさんは、役とは違って明るくて華やかな印象だったが、末っ子夫婦役のパク・ソジュンさんとペク・ジニさんは、ドラマのキャラクターとあまり大差がないように見えた。特にベージュのスーツを綺麗に着こなしたパク・ソジュンさん。カフェに着くやいなやアイスアメリカーノを注文したが、イ・ヒョンソン監督が「ここに覆盆子(ボクブンジャ:バラ科のラズべりーのことでキイチゴの一種)スラッシュ、あったっけ?それが体にいいんだ」と言ったらすぐ覆盆子スラッシュに変更した。インタビューを終えるときに見たら飲み干していた。気に入ったのだろうか?それともお薦めしてくれた監督への配慮だったのだろうか?どちらにしても可愛い。

文:コラムニスト チョン・ソクヒ

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記者 : チョン・ソクヒ