Vol.2 ― 放送終了「男が愛する時」ソン・スンホン、ビジュアルを捨て輝くとき

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※この記事にはドラマ「男が愛する時」の結末に関する内容が含まれています。
写真=MBC「男が愛する時」スクリーンショット
「ビジュアルを捨てる」

「男が愛する時」のソン・スンホンはデビュー18年目にして“ソン・スンホンの再発見”と絶賛され、この言葉を実践した。

6日、MBC水木ドラマ「男が愛する時」はハッピーエンディングで幕を下ろした。痴情ロマンスを披露すると宣言したこのドラマは、途中方向性に迷うような姿を見せ、最後の第19話と第20話ですべての物語を急いで終わらせた。

「男が愛する時」というタイトルのように、このドラマの主人公は明らかにソン・スンホンだった。視聴者はハン・テサン役のソン・スンホンに感情移入しながらドラマを見た。そのため、テサンは純粋で可哀想なキャラクター、ソ・ミド(シン・セギョン)とイ・ジェヒ(ヨン・ウジン)は優しい男を傷つける奇妙な男女になってしまった。

ハン・テサンはこの世にはいない、非現実的なキャラクターだ。母親に捨てられてヤクザになったが、まっすぐな性格をした人物だ。本を読むことが好きな彼は書店の娘ミドの学費を支援した。そして7年後、テサンはやっとミドの恋人になれたのだ。テサンはインターネットで恋愛の方法について調べながらミドの心を掴むために絶えず努力した。テサンの初々しい恋は視聴者を微笑えませた。

しかし永遠に続くように見えたミドとテサンの仲に亀裂が生じた。テサンがミドの留学を反対したことで二人の間に誤解が続いたのだ。交通事故に遭ったミドはジェヒと浮気をした自分をテサンが殺そうとしているのだと思うほどだった。しかしテサンはむしろミドとジェヒが上手くいくことを願っていたためより悔しかったし、可哀想に思った。視聴者もミドとジェヒへのテサンの復讐を楽しみにしていた。しかしテサンは優しいのか、お人好しなのか、ミドが戻ってくるたびに彼女のことを受け入れた。

最終回でも同じだった。ミドはテサンに対する自分の愛に遅れて気付き、テサンは書店の黒板に書かれた文章を見てミドの心に気付いた。2年後、テサンは再会したミドに「再び好きになりそうだ」と告白し二人の復縁を暗示した。

このように、ハン・テサンをはじめとする登場人物を理解することは難しかった。それにもかかわらず俳優たちの演技は輝き、安定した視聴者層を確保した。ヨン・ウジンは自分の感情に素直なジェヒを上手く表現し、神秘的な魅力のシン・セギョンはミドにぴったりだった。特にソン・スンホンはこのドラマを通じて“ソン・スンホンの再発見”と絶賛された。これまでソン・スンホンはいつも演技に対する指摘を受けてきた。彼自らもよく認識しているほどであった。そんなソン・スンホンが、18年目にして自分にぴったりな役を演じた。

もちろん最初からソン・スンホンの演技が輝いていたわけではない。ドラマの序盤、ソン・スンホンの演技はどこかで見た気がするうえに、古い感じがした。特にグラスを割るシーンなどでぎこちないところも見られた。野生的な男を演じるソン・スンホンは今回が初めてではない。ハン・テサンはソン・スンホンに演技大賞を与えた「エデンの東」の中のキャラクターと似ているところがある。しかし男の野望が重要であった「エデンの東」とは違って、このドラマでは恋に落ちた男性の姿にフォーカスが当てられた。

ソン・スンホンは回を重ねるごとに演技を認められた。おそらくミドとテサンのロマンスが本格的に描かれたときからだろう。ソン・スンホンはまるで実際にハン・テサンであるかのようなリアルな演技を披露した。その後、恋に傷つき憤る姿も上手く表現し、感情演技のレベルを上げたことを証明した。何より「ミド、~する?」というテサンの話し方はソン・スンホンの声と雰囲気にぴったりだった。

まだまだ青春スターのようだが、ソン・スンホンはすでに30代後半の俳優だ。考えてみれば、彼がこれまでハンサムな主人公ばかりしてきたため、彼の演技力をちゃんと見ようともせず、ビジュアル俳優だという認識しか持っていなかったのかもしれない。しかし今回彼はかっこよく見せることばかりに力を注がなかった。ソン・スンホン自ら自分を捨てたのかもしれない。彼は将来が期待できる俳優としてぐんと成長した。

記者 : ソン・ヒョジョン