「フェニックス」が描くウェルダイイング…“幸せな最期とは”

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ホスピス病棟の話を描いた映画…出演者たち「死について考えるきっかけとなった」

今や“ウェルビーイング”(well-being:身体的・精神的及び社会的に良好な状態)よりも“ウェルダイイング”(Well-Dying:品格ある死、幸せな最期について学び、準備すること)が注目される時代。映画「フェニックス~約束の歌~」の中で死を前にした人たちは「余命宣告された者に怖いものなどない」と叫びながらも、いざ死の影が濃くなると「怖い」と本音をさらす。誰かにとって今日は数多くある日の中の一日でしかないが、昨日死んだ人にとっては、とても渇望していた一日だ。

21日の午後、ソウル広津(クァンジン)区ロッテシネマ建大入口(コンデイック)店で映画「フェニックス」のマスコミ試写会が行われた。試写会の直後に設けられた記者会見には、演出を務めたナム・テクス監督とFTISLAND イ・ホンギ、マ・ドンソク、イム・ウォニ、ペク・ジニ、シム・イヨンが参加した。

「フェニックス」は暴行事件で奉仕活動を命じられ、ホスピス病棟に行ったアイドル歌手チュンイ(イ・ホンギ)が、ヤクザ出身のムソン(マ・ドンソク)、ナイトクラブでアルバイトをするボンシク(イム・ウォニ)、ボランティアのアンナ(ペク・ジニ)、愛嬌たっぷりのハウン(チョン・ミンソ)と「フェニックスバンド」を結成することから展開されるエピソードを描いた映画だ。

ナム・テクス監督は「人間愛と笑い、悲しみを盛り込んだロベルト・ベニーニ監督の映画『ライフ・イズ・ビューティフル』をモチーフにした」と語った。ホスピスは死を前にした患者が、肉体的な苦痛を軽減し快適に死を迎えられるようにする特殊病院を指す。ナム・テスク監督は「撮影の時にズームアップとズームアウト、カットバージョンを一緒に撮り、編集過程でバランスを取った」と説明した。

「初めてシナリオを受け取って『できない』と言った」と話すイ・ホンギは「シナリオを読んでホスピスというものを初めて知り、経験したことがないことを果たして上手く表現できるのか心配だった」と伝えた。イ・ホンギは「結果がどうであれ、僕の人生で最も重要で意味深い映画になりそうだと思ったので出演を決めた」と語った。

マ・ドンソクは「心の温まる映画を探していたが、シナリオを読みながら涙を流した」とし「子供の頃バンド活動をしていたが、あまりにも昔の話で(ドラムを叩くことが)そう簡単にはいかなかった」と謙遜した。これについてナム・テクス監督は「マ・ドンソクさんは映画でドラムが下手な設定だが、思ったより上手く、練習を控えたほうが良いと思った」と語った。

一方、映画でギタリストとして登場したイム・ウォニは「ギターが弾けないので諦めようとした」とし「演技も心配だったが、ギターにもかなり力を入れた」と告白した。続いてイム・ウォニは「映画を準備しながら韓国ホスピス病棟の現実が間違って認識されていることが分かった」とし「この映画が(ホスピス病棟について)考え直すきっかけになればと思う」と語った。

死を題材にした映画に出演し、俳優たちも漠然と思っていた死について更に深く考えるようになったと告白した。ペク・ジニは「映画に出演してから、更に親孝行するようになった」とし、シム・イヨンは「悲しくて難しいことだと思っていた死が、ある人たちには人生を振り返り、生きていく勇気を与えるということに感動した」と付け加えた。

「フェニックス~約束の歌~」は韓国で30日に公開される。

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク