「ナイン」が残した9つの名場面、名台詞

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※この記事にはドラマ「ナイン」の結末に関する内容が含まれています。
tvN月火ドラマ「ナイン~9回の時間旅行~」(以下「ナイン」)はタイムスリップドラマをキャッチフレーズにしているが、その中を覗いてみるとロマンス、アクション、スリラーなど色んなジャンルが混在している。そのため、“ロマンススリラー”と呼ばれるほどだった。第20話までのエピソードの中で、「ナイン」が残した名場面、名台詞を選んでみよう。

1.車窓のキス

写真提供=tvN
「ナイン」の第1話で、パク・ソヌ(イ・ジヌク)は車窓から顔を出したチュ・ミニョン(チョ・ユニ)にキスをする。そして、「僕たち、結婚しよう」とプロポーズし、ドラマの砲門を開いた。ネパールのヒマラヤ山脈の美しい風景とともに、2人の関係を視聴者に一気に刻み付けた。

2.「微笑み、今それが僕の生きるすべてだ」

チュ・ミニョンはパク・ソヌが余命宣告を受けたことを自分に話してくれなかったことに腹を立て、彼を問い詰める。だが、これにパク・ソヌは「微笑みが大事なのかと?僕は今全力を尽くそうとしているけど、本当は毎瞬間、何度も泣きたくなる。微笑みなんかじゃなく、僕にとって、それは僕の生きるすべてだ」と冷たく話す。余命宣告を受けた人生に対する挫折と、それにも関わらずチュ・ミニョンを手放したくないという切ない気持ちがそのまま溶け込んでいる台詞だ。

3.「記者の直感でこのファンタジーが真実という確信がする」

「ファンタジーが事実だ」という矛盾しているこの台詞は、このドラマに貫かれたメッセージである。パク・ソヌは繰り返される異常な偶然がおかしいと思い、兄ジョンウ(チョン・ノミン)の日記を見る。そして、日記の中のメモと一連の事件をまとめ、お香が過去に行けるタイムマシンであることに気づく。事実を重視する記者であるパク・ソヌが事実を知るために真相を探り、ファンタジーと衝突した。そして、そのファンタジーを事実として受け入れることで、ドラマが本格的な時間旅行に突入することを暗示した。

4.「信じたいファンタジーは信じて、愛する女は愛すればいい」

ついにお香を見つけ出し、過去を変えることができるという希望ができたパク・ソヌは、チュ・ミニョンと甘い夜を過ごす。彼は自分が見つけ出した事実がただの幻覚かもしれないと不安に思うが、チュ・ミニョンと3ヶ月ではなく、30年も一緒にいられるという希望に溢れる。新婚旅行の夜はそんなパク・ソヌとチュ・ミニョンが愛の感情を確かめ合う時間となった。

5.「僕なんかが神のふりをして、むしろ酷い目にあったんだ」

パク・ソヌの姪になったパク・ミニョンは、変わる前の世界に残されたレコード盤のメッセージを通して、チュ・ミニョンとしての記憶を取り戻す。混乱するチュ・ミニョンはパク・ソヌにキスをし、さらに自分の記憶に確信を持つ。その時、パク・ソヌは自分の時間旅行が生み出した悲劇を強く痛感する。「記憶もそのままで、遺物もそのまま、痛みもそのままだ。お香を捨てることで終わることではなかった。僕なんかが神のふりをして、バチが当たったんだ。一生、死ぬまで」と悟る。過去を変えようとしたが、かえってめちゃくちゃになってしまった「ナイン」の悲劇を痛感させる台詞だった。

6.「僕が世の中で一番嫌いな言葉が何だか知ってる?叔父さんだ」

チュ・ミニョンとしての記憶を取り戻したパク・ミニョンを見て、パク・ソヌは現在のもつれた関係を、自分を犠牲にしてでも解決しなければならないと思い、チュ・ミニョンに「不潔だ」と酷いことを言う。それに傷ついたパク・ミニョンは、チュ・ミニョンとパク・ソヌの思い出が詰まった公園でパク・ソヌに電話をかける。結局、チュ・ミニョンのもとを訪れたパク・ソヌは本音を話す。元の道に戻ろうとする運命のもがきを雨の中のロマンチックなキスで確認することができたシーンだった。

7.「今、僕は死にかけているけど、どこで死ぬのかは分からない」

2013年のチェ・ジンチョル(チョン・ドンファン)が過去に戻り、幼いパク・ソヌを殺害することをパクに指示する。幼いパク・ソヌは雨が降る道で襲撃を受け、辛うじてレコードショップに身を隠す。パクが幼いパク・ソヌに傷を負わせるたびに現在の大人のパク・ソヌの体に一つずつ傷跡ができ、危機感はさらに高まった。結局、捕まったパク・ソヌをパクがハンマーで頭を殴ろうとする瞬間、過去に向かった大人のパク・ソヌが現れる。ドラマの中で最も緊張感溢れるシーンである。

8.「どうしても20年間の映画を目の前で奪われた方が苦しいと思ったので。おそらく毎日が生き地獄のような生活になるでしょう。僕が経験したので分かるんです。生きていても生きている気がしないんです」

「ナイン」は過去の記憶が新しく芽生える瞬間、同時に現在にいる人物もそれを浮かべるという単純な論理を積極的に利用した。パク・ソヌは1993年のチェ・ジンチョルを脅しながら2013年のチェ・ジンチョルにメッセージを送り、視聴者たちに痛快感を与えた。チェ・ジンチョルは新しい記憶が浮かびあがるたびに独特の驚いた表情を見せ、ドラマへの集中度を高めた。

9.「大人になって僕にそっくりな人に出会ったら、絶対に仲良くならないで」

過去に閉じ込められ、チェ・ジンチョルにひき逃げされたパク・ソヌを幼いチュ・ミニョンが発見する。パク・ソヌは遺言を残すように幼いチュ・ミニョンに「大人になって僕にそっくりな人に出会ったら、絶対に仲良くしないで」と伝える。死を目の前にして時間旅行がもたらした悲劇を嘆き、最後までチュ・ミニョンの幸せを守ろうとしたのである。2013年に行方不明になったパク・ソヌを待ちわびているチュ・ミニョンは、このことが新しい記憶として浮かび上がり、嗚咽する。今目の前で愛する人が死ぬより、突然生々しく浮かび上がる記憶の中での恋人の死を見守るしかない悲劇。行くことも、話すこともできない状況で、彼女はただ涙を流すだけだ。最終回まで残り1話を残し、時間旅行がもたらしたすべての悲劇が爆発するシーンだった。

記者 : パク・スジョン、編集 : ホン・ジユ、翻訳 : ナ・ウンジョン