「がんばれ、ミスターキム!」ヤン・ジヌ“優しい御曹司役は飽きた…壊れたい”

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韓国で先月放送が終了したKBS 1TV毎日ドラマ(月~金曜に放送されるドラマ)「がんばれ、ミスターキム!」で、ペク・ゴヌク役を通じて視聴者たちに存在感を示した俳優のヤン・ジヌ(34歳)。彼は劇中、継母のホン・ヘスク(キム・ヘソン)の歪んだ息子であり、友達のイ・ウギョン(ワン・ジヘ)の愛を利用し、結局、友情も恋も失ってしまうペク・ゴヌクを演じた。継母との和解を断り、最終的に逃避する姿で終わったため、視聴者を切なくさせた。

また、多くの視聴者は、ペク・ゴヌクが「がんばれ、ミスターキム!」の中で唯一の悪役だったことにも同情した。多くのものを持っているが、いつも一人の寂しいキャラクターだったからだ。実の父であるペク・ジェサン(イ・ジョンギル)にさえ、壁を作るしかなかったペク・ゴヌクを、ヤン・ジヌは自分の姿であるかのように自然に表現した。最近、やっとペク・ゴヌクというキャラクターと別れることができたという彼とTVレポートが出会った。

ペク・ゴヌクのエンディングは残念だが、多くを学んだ毎日ドラマ

「がんばれ、ミスターキム!」は、男の住み込み家政夫キム・テピョン(神話(SHINHWA) キム・ドンワン)が行き先のない子供たちを育てながら感じる喜怒哀楽を中心に描いた作品だ。従来の“マクチャン(非現実的で無理やり作ったストーリー)”の毎日ドラマとは異なる題材で、多くの視聴者の関心を集めたが、後半に行くにつれ物語が散漫になるという指摘を避けることができなかった。

作品が最初に意図したものと異なる時、俳優は混乱するしかない。ヤン・ジヌもペク・ゴヌクの結末について「ドラマが終わる1ヶ月前と2週間前の結末が予想していたものと違って、驚いた。結局、タクシーで電話する姿がペク・ゴヌクのエンディングだった」と名残惜しそうに語った。「ホン・ヘスクとも何かあると思って6ヶ月間がんばってきたのに、なんだか宙に浮いた感じで終わってしまい残念だった」

また、約7ヶ月間にわたって毎日ドラマの撮影をしながら、学んだものも多い。彼は「KBSでの毎日ドラマは、『変わった女、変わった男』(2005)以来二回目だが、『変わった女、変わった男』当時は、途中からの参加だったせいか、緊張した状態で撮影していたので何が何だか分からなかった。一方、『がんばれ、ミスターキム!』は、最初から参加できたという点で違う。肉体的には疲れていたが、毎日ドラマでの演技や表現方法など、かなり勉強になった作品だ」と話した。

「がんばれ、ミスターキム!」でヤン・ジヌがもっとも感謝している人は、ホン・ソック監督とキム・ジョンヨン監督だ。彼はホン・ソック監督とキム・ジョンヨン監督について、「俳優の感情変化のプロセスのために台本を修正してくれる監督に初めて出会った」と驚きをあらわにした。「監督が俳優に対する配慮をしてくれたおかげで、現場で大変なことはなかった。作業する過程が本当に楽しかった。新人の時に、こんな経験をしていればどれだけ良かっただろうかと、今更ながら残念に思ったほどだ」


御曹司役は飽きた、固まったイメージを破る俳優になりたい

俳優としてデビューして10年目、一度の大きなスランプを乗り越え、俳優に復帰してからもう2年が経つ。俳優として新しく歩みだしたこの2年の間に、演技をしたいという思いに揺るぎはなかったのだろうか?ヤン・ジヌは、「2回あった」と正直に答えた。

「『ダークナイト』『インセプション』『ブラック・スワン』など良い作品を見るたび、スランプに陥る。このような素晴らしい作品が、僕が演技できる間に韓国で作られるのだろうか?作られたとしても、僕に演じることができるのだろうか?などの悩みだ。仕事をしている時はこんなことで悩まないが、休んでいる時はよく悩む。やはり、演技に対する欲が大きいからだと思う(笑)」

ヤン・ジヌは、役を通してかっこよく見せたいという気持ちは全くないとし、「財閥の息子や優しい役はもう飽きた。固まったイメージを破る俳優になりたい」という願いを明らかにした。「ヒュー・グラントのように馬鹿みたいでも、かっこよく見える演技を必ずやってみたい。ヒュー・グラントの話す英語は、発音がはっきりしていないのにすごく伝わってくる。彼の英語を韓国語に変えて表現してみたい」

彼の演技に対する欲は、恋愛したいという気持ちまでも抑制する。ヤン・ジヌは、「30歳を超えると恋愛をしたいと思うより、仕事への欲が大きくなる」とし、「20代の時は欲がなかった。ハングリー精神も足りなかった」と自分を反省した。彼は「役の大小は気にしない。良い作品の良いキャラクターであれば、カメオ出演でもかまわない。世の中に存在しないキャラクターを作ってみたい」と目を輝かせた。今後がさらに期待できるヤン・ジヌの挑戦に拍手を送る。

記者 : イ・ウイン、写真 : キム・ジェチャン