【ドラマレビュー】「男が愛する時」出来のいい恋愛ドラマ、期待していいのか 

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写真=MBC

刺激的な設定ありすぎ…俳優の演技と相乗効果を発揮してほしい

MBC「男が愛する時」が第1週目の放送を終えた。3日にスタートした同ドラマは「7級公務員」の後続ドラマで、レトロ風な恋愛ドラマだ。

「男が愛する時」は、わずか2話の中で成功のためには必要と言われるドラマの法則を全て動員した。序盤から視聴者の目を引くための刺激的な設定をあちこちに配置している。だが、それは一から十まで視聴者が予測可能だったり、期待しているちょうどそれくらいの設定である。


切ない恋愛のためのドロドロした設定

まるで網のように組まれた設定は、以下の通りだ。組織のボスと部下たち、他の人を愛するボスの恋人、そして主人公が愛する貧しい女性、暴力団によって苦しむ恋人の家族など。そこに大規模のお金と暴力、自殺未遂事件と拉致、そして泥沼の戦いまで加わった。

恋愛ドラマの主人公には、悲壮美が欠かせない。悲劇の深化で視聴者はさらにドラマにハマる。ソ・ミド(シン・セギョン)には貧乏な環境が一番の試練で、ハン・テサン(ソン・スンホン)は複雑な過去を持つ、ひどい寂しさに苦しむ人物だ。

二人の愛はこれからものすごい試練に直面するのだろう。三角、四角関係のための様々な人物も配置された。愛のために献身する“荒い男”は恋愛ドラマの中心である。以前だったら、清純で弱々しい印象の女性が主人公から愛されることが普通だったが、「男が愛する時」のソ・ミドはプライドと覇気の溢れる人物で魅力的だ。

このような設定の下で男が女のため自身の人生をひっくり返すことがなければ寂しくなるだろう。当然主人公のハン・テサンは暴力団員としての人生を捨て、組織から飛び出してしまう。だが、それを裏切りだと思う組織のボスは血まみれの復讐劇を繰り広げる。

その過程があまりにも過激だと思ったのだろうか。それでなければ目の保養が必要だと思ったのだろうか。制作陣はハン・テサンの上半身裸も数回にわたって丁寧に(?) 見せてくれた。初めての出会いから愛するようになったソ・ミドの“足長おじさん”を名乗る彼は“世の中でひとりしかない素敵な男”だ。悲壮美の漂う人物は、元暴力団員のハン・テサン、これが現在「男が愛する時」の一番大きな流れとなっている。

このようにわずか2話で10種類以上の強力な設定が一気に溢れ出た。視聴者の涙を誘うためならなんでもするというような勢いだ。複雑だと思ったが、実はドラマの構図は一目で分かる。これからの問題は、致命的な“愛”を作り出す相乗効果が俳優の中で発揮されるのだろうかという点である。

写真=MBC

カリスマ性のある男性主人公は皆どこに行ったのだろうか

個人的に挙げるなら「冬のソナタ」のカン・ジュンサン(ペ・ヨンジュン)、「チェオクの剣(茶母)」のファン・ボユン(イ・ソジン)、「パリの恋人」のハン・ギジュ(パク・シニャン)、そして「トキメキ☆成均館スキャンダル」のイ・ソンジュン(JYJ ユチョン)など。これまで恋愛ドラマであれ、そうでないドラマであれ、ドラマの男性主人公は視聴者のロマンとして浮上し、高い人気を得てきた。ドラマが終わる時間になると、掲示板には彼らに対する切ない鑑賞文が溢れ、彼らが語る一つ一つの台詞は流行語になった。

だが、もう男性主人公がシンドロームを巻き起こす時代は終わったのだろうか。最近のドラマからは、カリスマ性を持つ男性主人公がなかなか見つからない。その理由には、恋愛ドラマのありふれた話に飽きたこともあると思う。そして、無垢なヒロインのキャラクターが献身的な男性主人公を際立たせる設定も食傷気味だ。

恋愛ドラマはある程度陳腐になるしかない限界を持つ。ドラマの一番大きい骨格である“愛”を作り出すための設定が結局数々のドラマや映画で使い回されるアイテムであるためだ。それにも関わらず、これからはきちんとした恋愛ドラマが出ることを希望する人が多い。最近はドラマが次々に溢れ出てくるが、放送後にも話題になり続けるドラマに会うことはなかなか難しい。

ありふれた法則と飽きるほど多いラブストーリー。その題材と企画などが限界に達したとしても真剣な演技と安定したストーリーを持っていれば出来のいい恋愛ドラマの誕生が不可能なわけではない。恋愛ドラマの成功は、これから内容より“キャラクター”に頼るしかない。「男が愛する時」で恋愛のために入れた切ない設定が俳優の演技によってその機能を十分発揮できればと思う。

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記者 : ハン・ギョンヒ