「ホジュン」シリーズ第5作目、歴代最高のホ・ジュンは…?

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「執念」から「ホジュン~伝説の心医~」まで、ホ・ジュンを題材にしたドラマの変遷史

MBCの野心作「ホジュン~伝説の心医~」の第1話が18日に放送された。

同作は「善徳女王」のキム・グンホン監督と「ホジュン~宮廷医官への道」「朱蒙(チュモン)」のチェ・ワンギュ脚本家がタッグを組み、キム・ジュヒョク、ペク・ユンシク、パク・ジニなど演技派キャストが勢ぞろいしているだけに、同作の行方に関心が集まっている。ホ・ジュンは過去に何度もドラマや映画として制作され「必ずヒットする題材」と言われるためである。そこで気になった。果たしてこれまでホ・ジュンを題材にした作品にはどのようなものがあるだろうか。またホ・ジュンを演じた役者には誰がいるのだろうか。

「執念」とイ・ウンソンの「小説 東医宝鑑」

写真=MBC
ホ・ジュンを主人公とした最初の作品は、1975年のMBC連続ドラマ「執念」である。「カエル夫」「キョドン奥様」で有名なピョ・ジェスン監督と、イ・ウンソン脚本家が手がけた同作は、キム・ムセン、イ・スンジェ、イ・ヒョチュン、チョン・ヤンジャなど当代の人気俳優が名を連ねたドラマである。患者を救うべく一生を捧げ、様々な苦難や逆境に負けずにたゆまぬ努力を続け、御医(オイ:王の主治医)になったホ・ジュンの生涯を描き、視聴者から高く支持された。

「執念」でホ・ジュン役を演じたキム・ムセンは、独特の骨太な演技でホ・ジュン役をリアルに演じ、当代の演技派俳優として名を馳せた。同作は第12回百想(ペクサン)芸術大賞のテレビ部門で作品賞を受賞し、主演を務めたキム・ムセンは最優秀男優賞を獲得するなどダブル受賞に輝いた作品でもある。「PD手帳」という番組で有名なパク・ゴンシクプロデューサーはこのドラマを以下のように振り返った。

「1975年、村の里長(イジャン:村長)宅に登場したテレビは村の祭りのようなものだった。数多くの番組の中でとりわけ忘れられないのが『執念』だった。ホ・ジュンの生涯を描いたドラマの中で、キム・ムセンは汗を滝のように流しながら患者に針を刺した。情熱的に医術を説明し、『小説 東医宝鑑』を執筆していた彼の姿には渾身の力を注ぐ一人の人間の情熱と真実があった。その真実が幼かった少年の目にも見えたのだ」(PDジャーナル「僕の人生の光-キム・ムセン主演のMBCドラマ『執念』」より)

写真=映画「執念」
1976年には同名の映画「執念」が制作された。イ・スンジェが“2代目ホ・ジュン”に起用され、キム・チャンスク、パク・ピョンホなどが脇を固めた。「三絃六角」「三号脱出」などで知られていたチェ・イニョン監督がメガホンを取り、シナリオはドラマと同様にイ・ウンソン脚本家が書いた。映画「執念」はドラマに劣らない作品性と大衆性で良好な興行成績を収めた。さらに第16回大鐘賞(テジョンサン)映画祭で優秀作品賞を始め、監督賞、脚本賞、編集賞、撮影賞などを総なめにし、第13回百想芸術大賞では大賞、作品賞、脚本賞、主演男優賞を受賞し存在感を遺憾なく発揮した。

その後イ・ウンソン脚本家は「執念」のストーリーを土台に、1984年11月から釜山(プサン)日報に小説を連載した。これが全4巻(春夏秋冬)で企画された「小説 東医宝鑑」である。第一巻目の一冊分を10年以上も練り直したほど力を入れた同作は、後に“脚本家イ・ウンソン”を象徴する代表作となった。

イ・ウンソン脚本家の友人で放送記者だったイ・ジンソプ氏は、「彼は一つの人間像を追及し、作品として仕上げるために粘り強く凄まじいほどこだわった」(1991年、韓国愛書家クラブ「『小説 東医宝鑑』とイ・ウンソン」の発表文より)と語り、イ・ウンソンの執筆へのこだわりを評価した。彼は複数の出版社に門前払いされていた「小説 東医宝鑑」を創批社に紹介し、発刊できるように手伝った人物でもある。

しかしこのような努力にもかかわらず、1988年1月、88オリンピック記念特集ドラマを書いていたイ・ウンソンが心臓麻痺で突然亡くなり、「小説 東医宝鑑」は結局完結できず3巻分の“未完の作品”になってしまった。その後同作はホ・ジュンを題材にした複数の作品の原作として20年を超えた現在までも読者から愛されるベストセラーとなっている。

「東医宝鑑」とホ・ジュンブーム

写真=MBC
1991年には「小説 東医宝鑑」を原作としたMBC月火ドラマ「東医宝鑑」が放送された。ソ・インソクが主人公のホ・ジュン役を熱演し、イ・スンジェがホ・ジュンの師匠ユ・ウィテ役を演じて、深い印象を残した。そのほかにもキム・ヨンリム、チェ・ブラム、イ・ウンギョン、イ・ギョンジン、イ・ウォンジョンなど、演技派キャストが脇を固め、ドラマに重みを加えた。全14話で放送されたこのドラマは短いが、ホ・ジュンの生涯を丁寧に描いた秀作と評価されている。

それから8年後の1999年、MBCは再びホ・ジュンが主人公の作品を制作した。それが韓国民衆時代劇の草分け的存在であるあの有名なドラマ「ホジュン~宮廷医官への道」である。しばらく現場を離れていたイ・ビョンフン監督のテレビ復帰作でもある同作は、現代的かつスタイリッシュな演出、キャストの名演技、豊富な想像力を土台にしたスピーディーな展開で爆発的な人気を集めた。

時代劇は古臭いという先入観を取り払った「ホジュン~宮廷医官への道」は、ラップやピアノの旋律が融合した曲をBGMにするなど“若い感覚”の表現に取り組んだ作品でもあった。その結果「ホジュン~宮廷医官への道」は老若男女から愛される最高の作品となることができた。最高視聴率64.2%という恐ろしい数字を記録し、平均視聴率はなんと53%(AGBニールセン・メディアリサーチ、首都圏基準)、視聴占拠率は85%に達した。

写真=MBC
出演者たちも全盛期を迎えることになった。“4代目ホ・ジュン”のチョン・グァンリョルは迫真の演技で視聴者を釘付けにし、自身初となる演技大賞をも手に入れた。当時彼の人気はまさに“国民的俳優”そのものと言えるほどだった。91年に続き2度目のユ・ウィテ役を演じたイ・スンジェも名優と称えられた。また彼は75年の「執念」から99年の「ホジュン~宮廷医官への道」までホ・ジュンを題材にした全作品に出演したという珍記録も残した。

しかし何と言っても「ホジュン~宮廷医官への道」が生んだ“ビックスター”は、イェジン役のファン・スジョンだった。ホ・ジュンを密かに慕って医女になるイェジン役を見事に演じた彼女は、上品かつ端正な魅力で視聴者を一気に魅了した。その後彼女はいわゆる“ヒロポン事件”に巻き込まれる前まで当代のトップスターとして人気を博した。その他、脇役として出演したヒョンシク、イ・ヒド、チェ・ラン、キム・ヘスクなども人気を集めた。

受賞歴も華々しい。前述の通り主人公のチョン・グァンリョルがMBC演技大賞の大賞を、ファン・スジョンが最優秀女優賞を、ヒョンシクがキャラクター人気賞を手に入れた。演出のイ・ビョンフン監督はその功を認められ、韓国放送協会放送大賞の優秀作品賞、国会大衆文化メディア賞、韓国放送PD連合会の今年のプロデューサー賞を受賞し、最高の演出家として名声を高めた。

社会的な波及力は想像を超えるレベルだった。「ホジュン~宮廷医官への道」のヒットで、原作の「小説 東医宝鑑」は放送される間ベストセラー1位をキープし、全国の漢方医も過去に例を見ないほど好況を享受した。劇中、ホ・ジュンが熱で苦しむ患者たちを梅で治療するシーンが放送された時は、梅が飛ぶように売れて「入手できなくて食べれない」ほど品薄になる現象まで起こったこともあった。梅飲料も“ホ・ジュンブーム”のおかげで作られたヒット商品だった。

ドラマの主題歌が収録されたOST(劇中歌)も大ヒットした。ソプラノ歌手のスミ・ジョーが歌ったタイトル曲「不忍別曲」やBGMで流れた様々なピアノ曲が収録された同作は、2000年の一年間で30万枚弱も売れ、“ホ・ジュンブーム”を実感させた。OSTが文化商品のひとつに認められ始めたのもこの時からのことである。このように「ホジュン~宮廷医官への道」は、ひとつの時代劇の作品が社会や文化全般にいかに影響を及ぼせるかを端的に見せた作品となった。

写真=MBC

「ホジュン~伝説の心医~」“ヒットする題材”という名声を受け継ぐことができるだろうか

あれから13年が経った現在、今回は「ホジュン~伝説の心医~」が5番目のバトンを受け継いだ。第1話の視聴率が6.7%と悪くないスタートを切った「ホジュン~伝説の心医~」は、果たしてこれまで放送された歴代の“ホ・ジュン”ドラマのようにまたも“ヒット作”となることができるだろうか。MBCがプライドをかけて作る全120話の「ホジュン~伝説の心医~」がどのような結果を出すかとても気になるところだ。

19日に放送されたMBC「ホジュン~伝説の心医~」の視聴率は、全国基準で7.5%(AGBニールセン・メディアリサーチ)だった。一方裏番組のKBS 2TVテレビ「1対100」は7.1%、SBSの「現場21」は5.9%を記録した。

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記者 : キム・ソンギュ