「サイコメトリー」キム・ガンウ“冷たいという誤解を解いていく過程にいる”

OhmyStar |


現実感のあるヤン・チュンドン刑事役「観客が僕を見て息苦しくなってほしい」

韓国映画で“スリラー”とは、観客の恐怖や好奇心を呼び起こすジャンルのことを指す。このような定義を念頭に置くならば、映画「サイコメトリー」は“スリラー”というよりは“ヒューマン”に近い。殺人事件を題材にしてはいるが、犯人を追う刑事とサイコメトリー(手や物に触れると、過去を見ることができる能力の持ち主)が、お互いの傷をかばい合う過程を描いたためだ。

超能力があるとしたら?「タイムマシーンに乗ってロトを買いに行く」

俳優キム・ガンウは「サイコメトリー」で、非常に現実的な刑事ヤン・チュンドン役を演じた。幼い頃のトラウマで刑事になったが、公務に力を入れるよりはねずみ講の浄水器販売に熱を上げていた彼は、過去の辛い記憶を刺激する事件を通じてようやく本業に戻る。先日「OhmyStar」とインタビューを行ったキム・ガンウは「サイコメトリーのキム・ジュン(キム・ボム)が冷たく謎めいた感じなので、彼とは対照的になりたかった」と話し「躍動感を維持するために努力した」と伝えた。

「映画『蜜の味 テイスト オブ マネー』の撮影が終わる頃、シナリオを頂いた。アクティブな姿のキャラクターで、遊べるキャラクターだったので惹かれた。映画で大げさな表情を作ったりするが、それはわざとだ。観客が自分を見て息苦しくなるほどドキドキしてほしいと思ったためだ。火と水が出会う感じを表現したかったというか。サイコメトリーという設定自体、非現実的ではないか。それを現実的に見せるようにするのは、相手役のリアクションだと思った」

普段演じるとき、過度な感情表現を好まないキム・ガンウだが、充血した目でキム・ジュンを見つめながら顔の筋肉まで震えるヤン・チュンドンの姿を見て、観客は更に映画に引き込まれることになる。「撮影の時は無我夢中で撮ったが、(キム・ボムとの)ツーショットは、なかなか似合っていた」と笑ったキム・ガンウは「『サイコメトリー』は見れば見るほど好きになる映画だ。緊張感が続くが、不快な刺激というよりは、ドラマのおかげで心が温まる」と満足気に語った。

キム・ガンウにサイコメトリーのような超能力で、手に入れたい能力があるかと聞いてみた。するとすぐに「タイムマシーン」という答えが返ってきた。過去に戻り、普段は買わないロトを買うという。キム・ガンウは「ギャンブルも知らずに、黙々と働いてお金を稼ぐタイプなので、(ロトが)当たることが怖い。俳優も何もかも、全部辞めてしまいそうだ」と話し「現実では確率が低く突然訪れた幸運のせいで、仕事を辞めるかもしれないが、過去に戻れば確率が高いので、俳優生活も続けるのではないかと思う」と語った。


絶えず“ひねる”キム・ガンウ「また旅行エッセイを出したいが…」

先に撮影を始めたが「サイコメトリー」は、「海雲台(ヘウンデ)の恋人たち」に続き、キム・ガンウが今までの誤解を解く過程の延長線上にある。最近注目を浴びたSBSの「ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~」も同じだ。「冷たい、近づきにくいという誤解を少しずつ解いていく過程」と語ったキム・ガンウは、「今年もおそらく“自分をひねる”作業をたくさんしなければならないようだ。親近感を与え、近くなれればそれで十分だと思う」と語った。

「今年はたくさんの作品に挑戦してみたい。助演でも今までしたことのないキャラクターに意識的にたくさんトライしたい。ひねり続けていく過程の一貫だ。実は、自分がどのような人間なのかよく分からない。演じるたびに同じように難しい。個人的にはじれったいロマンスに挑戦したいが、思い通りにできるわけではないので(笑)」

キム・ガンウは、俳優でもあるが旅行エッセイ「キム・ガンウ&イ・ジョンソプ男二人のとことんタイ旅行(二人のお喋りアクション超大作旅行エッセイ)」を書いた作家だ。インタビューの途中、速いスピードでキーボードを叩いている記者の手に興味を示したりもしたキム・ガンウは「執筆への思いは山ほどあるが、より演技が面白くなった」とし「たくさんの作品に出演したいので(次の本を出すためには)そこが問題」と笑った。

彼の本を待つ読者には残念なニュースだが、少し遠回りしても構わないだろう。様々な作品で彼を見ることができるから。最後に、生まれ変わっても俳優としての人生を選ぶのか聞いた。

「いや、選ばないと思う。今は演技が面白くなり良かったが、ここに来るまでが大変だったと思うので。寂しいし(笑) 得たものも多いが、失ったものも多い。それなら何をしたいのかって?それは分からない。事務職ではないと思う。あ、ラジオのDJは是非してみたい。ラジオは温かい感性の持ち主にしかできないと思う。声でそれが全部伝わってしまうので。声や音楽で感性を引き出すことがとても魅力的に思える」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク、写真 : イ・ジョンミン