チェ・ダニエル、他の青春スターとは異なる成長ストーリー

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「彼らが生きる世界」から「ゆれながら咲く花」まで…28歳の役者の生き方

素敵な役者に出会うのは、いつも嬉しいことである。KBS 2TV「ゆれながら咲く花」のカン・セチャン先生役を演じるチェ・ダニエルもそうだ。28歳。まだ若い年齢にもかかわらず、着実にキャリアを積んでいくこの役者からは、プロらしさとさらなる成長に向けての努力が同時に感じられる。俳優チェ・ダニエルは、これからどんな道を歩むのだろうか。

チェ・ダニエル、ノ・ヒギョンとキム・ビョンウクに出会う

写真=KBS
チェ・ダニエルは、あるテレビCMで世間に顔が知られることになった。彼は、このCMで特有のとぼけた表情とお茶目な演技で視聴者の目に留まり、それまでの下積み時代を終えて、名前が徐々に知られるようになる。18歳で芸能界入りした彼は、デビューから約4年ぶりに初めて注目されることになったのである。そして彼はその勢いに乗って、ノ・ヒギョン脚本家のドラマ「彼らが生きる世界」(2008)のヤン・スギョン役を演じるというチャンスをつかんだ。

「彼らが生きる世界」で彼が演じたヤン・スギョンは、実は演じやすいキャラクターではない。単純でストレートで、自分の気持ちに素直なこのキャラクターは、多少憎たらしいところもあるが、決して憎めない可愛いキャラクターだった。このような多面的で複雑なキャラクターはデビューしたばかりの新人俳優にとって、そう簡単なものではなかったはずだ。おそらく「彼らが生きる世界」の制作陣も、ヤン・スギョン役にチェ・ダニエルをキャスティングしたのはある意味冒険だったのだろう。

しかし、そのような懸念は杞憂に過ぎなかった。チェ・ダニエルの演技が予想以上に優れていたのである。ニヤニヤした余裕のある表情に、新人とは思えない余裕、見る人まで楽しくするような遊び心は、まるでチェ・ダニエルがヤン・スギョンに思えるほど自然だった。CMスターのレッテルが一気に剥がれ落ちるほど、見事な演技を披露したのである。

特にチェ・ダニエルは「彼らが生きる世界」で、40年も先輩である女優ユン・ヨジョンと共演するシーンがとりわけ多かったが、自信に満ちた演技で注目された。後輩の演技に対し、率直な意見を話すことで有名なユン・ヨジョンが、「新鮮だった。ヤン・ドングンさんの演技を初めて見た時みたいだ」と絶賛にも近い言葉を残したほど、「彼らが生きる世界」のチェ・ダニエルは新人とは思えない演技力を見せつけた。

このように、彼は「彼らが生きる世界」を通じて役者としての可能性を発揮した。1~2回の脇役を除いて、初めてといっても過言ではない作品で目を見張るほどの成果を挙げたのである。特に同作は、ベテラン俳優でも演技するのが難しいといわれる脚本家ノ・ヒギョンの作品であることも注目に値する。当時ノ・ヒギョンは、チェ・ダニエルの演技に対して「満足している」と気に入った様子を見せた。

それから1年後、チェ・ダニエルは運命的な作品に出会うことになる。“シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)の巨匠”キム・ビョンウク監督の「明日に向かってハイキック」のイ・ジフン役にキャスティングされたのである。同作を通じて彼は「彼らが生きる世界」での軽くてユニークなイメージから変身を図ることが出来た。

ファン・ジョンウムとシン・セギョンの間で絶妙な三角関係を作り上げた彼は、「明日に向かってハイキック」の実質的な主人公だった。真面目ながらも面白くて、シニカルながらも優しいという二つの性格を持ったキャラクターを、ほぼ完璧に演じると同時に、ドラマの全体的な雰囲気を作りあげるために重要な役割を果たした。驚くことに「明日に向かってハイキック」のチェ・ダニエルからは、「彼らが生きる世界」の影を見つけることができなかった。

ノ・ヒギョンがチェ・ダニエルの可能性に初めて気づいた人物であるとすれば、キム・ビョンウクはチェ・ダニエルの可能性をさらに一段階進化させた人物だった。キム・ビョンウクは特有の孤独的かつ繊細な演出で、それまでのチェ・ダニエルが持っていたイメージを吹き飛ばす一方で、彼の感受性や真面目さを引き立て、役者として一歩前進できる土台を作ってくれた。ノ・ヒギョンとキム・ビョンウク、二人の巨匠に出会ったことは、役者としてそう簡単に手に入れることのできない大きな財産になった。

チェ・ダニエル、チャン・ナラに出会う

「明日に向かってハイキック」で一躍スターになってから、チェ・ダニエルは映画「シラノ恋愛操作団」「牛乳時代」などに出演する一方で、複数の作品に特別出演しながら活動の領域を拡大した。その結果、彼はデビュー以来初めて2011年、KBS 2TV月火ドラマ「童顔美女」を通じて、ミニシリーズ(毎週連続で2日間に2話ずつ放送されるドラマ)の主人公に抜擢され、女優チャン・ナラともこの作品で初めて共演することになった。

もちろん、最初は期待された作品ではなかった。当時KBS月火ドラマは長期間にわたる視聴率の不振に悩まされていて、裏番組の「チャクペ~相棒~」「私に嘘をついてみて」が既に視聴率を取っていた。しかし“チャン・ナラ&チェ・ダニエル”コンビは、しっかりとしたストーリーや説得力のあるキャラクターで徐々に視聴者の目を釘付け、20%に近い高視聴率を記録してKBS月火ドラマの救世主となった。チェ・ダニエルとしては、初主演作で手に汗を握る大逆転劇をやってみせたのである。

面白いのは、一躍KBSのヒットコンビとして浮上した“チャン・ナラ&チェ・ダニエル”コンビが1年ぶりにお茶の間に戻り、再度KBS月火ドラマの“面子”を立てていることである。「ゆれながら咲く花」のことだ。前作の「ウララ・カップル」の視聴率低迷や、競争作「馬医」の大々的な宣伝という悪条件にもかかわらず、少しずつ視聴率を上げてきたこの作品は、いつの間にか10%台後半という素晴らしい視聴率で“チャン・ナラ&チェ・ダニエル”の不敗伝説を再び証明してみせた。

一つ特記すべき点は、チャン・ナラと共演した二つの作品で、チェ・ダニエルが主演として存在感を発揮していくことである。「ゆれながら咲く花」で、彼はユニークな言葉遣いや仕草、喜劇と悲劇の境界を自由に行き来するカン・セチャン役の魅力を存分にアピールしている。どんなキャラクターであれ、スポンジのように吸収し、それを自分のものに再解釈して表現する境地にまで至ったのである。10年間磨いてきた演技力が徐々に光を放っている。

チェ・ダニエルは、あるマスコミとのインタビューで、「演技に対して決められた“型”を破りたかった」と話した。そのためには、もっと演技に対して真面目になって、鋭くなるしかないと言う彼は、“生まれつきの役者”である。少なくとも他の青春スターのように外見を武器に人々を惑わしたり、数多くの広告に出演して自分の名前を売ったりしない。チェ・ダニエルを見ることができるのは、いつもカメラが回って、数多くのセリフが交わされる場所。監督のキューサインとスタッフの汗が流れる場所にしかなかった。

才能や努力、情熱がうまく合わさって、日増しに成長しているチェ・ダニエル。彼のこれからの夢は果たして何だろうか。たぶん、それはこれからずっと役者として生きていくこと、そして“素晴らしい役者”として覚えられることだけではないだろうか。今も汗と涙の流れる激しい現場の中で、依然として“人生を演じる”役者として自らの道を黙々と歩んでいく彼に対して、激励の拍手を送りたい。

記者 : キム・ソンギュ