少女時代「I GOT A BOY」は失敗なのか?

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写真=マイデイリー DB

少女時代が「I GOT A BOY」を歌った本当の理由

少女時代は、少なくともありふれた曲をリリースしていないことは確かだ。かつてこれほど歌一曲で激しい議論を巻き起こしたガールズグループはなかった。ガールズグループが巻き込まれた議論は、大抵エロティックなダンスや露出しすぎた衣装などの“扇情性”だった。しかし今、人々は少女時代のダンスや衣装ではなく、曲について語っている。

一体少女時代の「I GOT A BOY」は、どんな理由で人々の好き嫌いがはっきり分かれたのだろうか。

聞けないほどつまらない曲ではない。ガールズグループの聞けないほどの曲はすでにたくさんあり、似たような曲も絶えずにリリースされてきた。しかし、「I GOT A BOY」は決してそのようなレベルの曲ではない。聞けないほどの曲であれば、わざわざ議論する必要もなかったであろう。誰も聞かなかったはずだからだ。

「I GOT A BOY」はまず聞き慣れない。“変”だというのが、もっと的確な表現かもしれない。メロディーの変化が頻繁で、これまで人々が聞き慣れたパターンの変化ではないため、その変化を予測することが難しい。少女時代の既存の曲とは確実に異なっていることもあり、まずは曲を聞くことから抵抗が生じる。

また、“ガールズグループのヒップホップ”というイメージを前面に出していることもさらに抵抗が増す。少女時代のメンバーたちがバラエティ番組に出て、「Ayo」と言いながら粗雑なラップを披露するのは笑ってしまえばいいが、本格的にヒップホップを歌うと言って「Ayo GG」と言うと、人々は厳しくなる。「どこまで本気なのか見てみよう」というように聞くことになる。まるで男性アイドルたちがロック音楽をすると言った時に対する抵抗、厳しさと似ている。しかし、「I GOT A BOY」の導入部のラップは正直言って聞き心地が悪い。プロとは思えないのだ。

しかし、この抵抗を乗り越え、「I GOT A BOY」を引き続き聞いてみると、ようやく同曲の本当の魅力を感じることができる。最初の抵抗が消えてしまうほどの魅力だ。

「I GOT A BOY」は、大きく分けて二つのパートで構成されているが、両パートのリズム感とスピード感は非常に異なる。異なっているようで、また何となく似ているような感じだ。両パートを確実に対比させた後、最後にいたっては巧妙にミックスしているからなのか、その妙な異質はかなり中毒性がある。

導入部のラップが終わった途端に一つ目のパートのフックを登場させ、さらにスピードが速い二つ目のパートのフックは、パートが変わったことを知らせる“Ayo! Stop! Let me put it down another way”という歌詞の後にすぐ配置させ、一斉に歌い始めるため、体験するスピードの変化の幅も極端だ。

「私は本当に腹が立ってたまらない」で始まるティファニーのパートでは、速いスピードの電子音が急に消え、曲の全般的な雰囲気だった高くて賑やかな声ではなく、とりわけ低いボーカルに変えて集中力を高める。そして「Don't stop! Let's bring it back to 140」と叫んだ後はまたスピードを上げ、最後に至っては二つのフックが重なり合いピークを迎える構成も、一息つく暇を与えない。この4分30秒は緻密な構成になっており、退屈ではなく、音楽番組で少女時代の振り付けと共に見たら、曲はより生き生きとした感じになる。

結局「I GOT A BOY」の楽しさをちゃんと理解するためには、変化の流れをある程度把握しなければならない。問題は、その変化の流れというのがたくさん聞かないと見えてこないため、先ほども話したように“ガールズグループのヒップホップ”という抵抗感があるため、繰り返して聞くことはなかなか難しい。

ところが、そんなに“ヒップホップ”にこだわって「I GOT A BOY」を評価しなくてもいい。導入部のラップを除いては、ヒップホップの性格を持った曲ではないため、成りきったヒップホップを披露してくれることを期待する必要がない。また、繰り返して聞くほど十分な価値のある、よく作られた曲でもある。さらに、なぜこのような曲を少女時代が歌ったのかを考えてみたら、それなりの大事な意味がある。

その意味というのは、少女時代が「I GOT A BOY」を選択したことによって、限界が存在するガールズグループの道から離脱したということだ。このような動きは、「The Boys」の時にもある程度見られ、「I GOT A BOY」で完璧に新しい道に入ったと見られる。退歩せず、もっと長い間少女時代を維持することができる道への進入である。

これまで、少女時代の弱点は確かだった。有限するしかない“少女”のイメージ。それは、メンバーたちの年齢が重なると、それ以上前面には出せないイメージであって、デビューした年と現在が遠ざかっていくほど、“少女”のイメージは過ぎ去った時間によって少しずつ消えていくに違いない。これは少女時代だけではなく、すべてのガールズグループが抱えている問題でもある。

写真=SMエンターテインメント
そのため大半のガールズグループが選んだ方法は、“純粋”を“成熟”に変えることだった。しかし“セクシーさ”が“成熟”のように誤用され、“セクシーなガールズグループ”という逆説的なイメージは、人々に目を背けられた。ファンさえ、デビューしたばかりの“純粋”のイメージで飾ったガールズグループを離れ、多くのガールズグループは忘れられ、消えた。

おそらく、少女時代とSMエンターテインメントは、このようなガールズグループの生涯周期を一番よく認識していたのだろう。だから、“セクシーさ”ではない本当の“成熟”を見つけようとし、少女時代はイメージではなく、“音楽の成熟”を選んだのだ。

“音楽的に成熟した姿”“K-POPを導くガールズグループ”程度で、少女時代が見つけた新しい道を定義することができるだろう。「The Boys」は、陳腐でありふれたガールズグループの曲との別れを意味し、静かに発売した「The Boys Maxi Single」にたくさん入った、エレクトロニクサウンドまみれの「The Boys」のリミックス曲は、音楽的な変化への意志を公に表したものだった。もちろん、「The Boys」の時も、人々の反応はよくなかった。現在の「I GOT A BOY」よりはましだったが、「なぜそんな曲なのか」という不満は同じだった。

とわいえ、「The Boys」と「I GOT A BOY」のような曲で新鮮な衝撃を受けた方が、恥ずかしいミニスカートを履いて“開脚ダンス”を踊ったことで受ける衝撃より遥かにましだろう。少女時代のファンは、セクシーな少女時代が登場しなかったことに感謝すべきではないだろうか。

「Gee」のような曲をまた歌うべきではないかと言う人もいるだろうが、第2の「Gee」ブームは、そんなにすぐ作り出せない上に、「Hoot」と「Oh!」ですでにそれが容易ではないことは証明された。

いくら「I GOT A BOY」を巡っていろんな人たちがたくさんの話をしていても、少女時代はすでに自分たちの道を歩んでいる。他のガールズグループが考えることすらできなかったことを「あなた、マジでイケてる!」と歌いながら進んでいるのだ。

記者 : イ・スンロク