【ドラマレビュー】「ドラマの帝王」SUPER JUNIOR シウォン…“クソ俳優”を演じるのは大変?

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授賞式を控え、時宜にかなった“足演技”への戒め

2012年の芸能界を説明するうえで、外してはならないキーワードが一つある。それは“クソ俳優”だ。

この“クソ俳優”という単語は、10月KBS 2TV「キム・スンウの乗勝長駆(スンスンチャング)」に出演した中堅俳優パク・グンヒョンが言及した言葉だ。彼は、撮影現場でネームバリューだけを信じてスターとして振る舞う俳優たちをこう表現したのだ。共演しに来たなら他の俳優と付き合う必要があるのに、あるスターたちはただ涙を流すことしかできないくせに、まるでものすごい演技でもしているかのように思い違いをしているということだった。

“クソ俳優”と同じく、“足演技”(演技が下手という意味)も今年を盛り上げたキーワードかと思われる。プロの演技者でない、アーティストや芸能人、アイドルスターのドラマ出演が増え、多くのスターが演技力で悪評され、不正確な発声、ぎこちない演技などをまとめて視聴者は彼らに“足演技”という不名誉を与えた。

“クソ俳優”と“足演技”が今年とりわけ多く言及された理由は、それだけドラマを見る視聴者の目が高くなり、限られたスター俳優でなく作品性で勝負するドラマも多く制作されたためである。また、これからはドラマ制作現場と俳優たちが自らこのような問題意識に共感し、俳優にとってもっとも重要なのは演技力だという事実が改めて注目されている。

パク・グンヒョンの“クソ俳優”発言に俳優ユン・サンヒョンは、自分が過去“クソ俳優”だったこと、演技の準備ができていない状態でドラマの主演になり苦労した話を率直に打ち明け大きな反響を呼んだ。今は韓流スターとして注目されている彼だが、もし彼が自分の足りないところに気づかず学ぼうとする姿勢を持たなかったならば、彼は依然として“クソ俳優”と“足演技”というタイトルを持って生きていたかもしれない。

写真=SBS
そのような意味で、25日放送された「ドラマの帝王」は依然として“スター意識”だけを持ってちゃんとした演技に対する考えもなしに生きている俳優たちにとって、良き忠告になっただろう。この日SUPER JUNIORのシウォンが演じるカン・ヒョンミンは、初めて自身の演技について客観的な評価を聞き、大きなショックを受けた。

ハンサムな外見だけで人気を引き起こし、韓流スターという栄誉まで持っているカン・ヒョンミンの周りには、彼の人気を信じ甘いことだけを話す人しかいなかった。そのせいで彼は、自身の演技を振り返る時間を持ったこともなく、また足りないものが何かも分からないまま過ごしていた。まさに“クソ俳優”だったのである。

しかしこの日、彼は「正直ルックスはまあまあいい線いっていますが、演技はできないと思います」という新米マネージャーの正直な告白と、ネットでの非難コメント、市民との会話を通じて初めて自身の演技力に疑問を抱く。さらに、年末の演技大賞を狙いインパクトあるシーンを撮りたいがためにシナリオの修正を依頼し、アンソニー・キムに厳しく忠告されてから初めて俳優として自覚する姿を見せた。

この日アンソニー・キムは、演技より受賞に気を取られているカン・ヒョンミンに「お前の台本分析は小学生レベルで、お前の演技は天下一の“足演技”だ。これから無駄なことは言わずに、台本が出たら一言残らず覚えるようにしろ」と怒鳴りつけた。細かい感情の表現や状況にふさわしい演技を要求するのではなく、ただ台本を覚えることだけでもしっかりしろという言葉にカン・ヒョンミンはショックを受け、撮影しながらそのショックを引きずり、NGを出し続けた。

結局彼は、それまであんなにも嫌っていたソン・ミナのもとを訪れ、悩みを相談するまでに至る。普段の明るいイメージとは違い、彼は「僕はそんなに演技が下手ですか。ソン・ミナさんから見ても僕の演技はそんなに下手ですか。女優として正直に答えてください」と真剣に尋ねる。これにソン・ミナは、「自分の演技力についてなにかしら努力したことがある?自分の短所について知っていることはあるの?」と聞き返した。

続いてソン・ミナは、自分はまだ発音が気になって毎日1時間ボールペンを口に加えて発音の練習をしていることを話し、自分の限界を自分で感じなければ直せないとアドバイスする。最高のトップスターと言えるソン・ミナさえも毎日演技のために時間を費やし努力していることは、カン・ヒョンミンにとって少なくとも刺激になり、彼は心から自分を振り返る時間を持つことになった。

普段はCM、お金、イメージ作りにだけ気を使っていたトップスターカン・ヒョンミンが、初めて俳優として自分の現在の位置を自覚する瞬間だった。おそらくカン・ヒョンミンは、これからプライドなど考えずより良い演技のために低姿勢で学ぼうと努力する本当の演技者に生まれ変わるだろう。その過程でソン・ミナと繰り広げる甘いロマンスは、ドラマのもう一つのビタミンになるはずだ。

もしかするとこの日、カン・ヒョンミンは“クソ俳優”から抜け出す第1歩を踏み出したのかもしれない。俳優であれ歌手であれ誰であれ、誰でも足りないところはあるはずだ。しかし、自分が足りないことを知っている人とそうでない人は、天地の差だ。前者は発展する可能性が高いが、後者は永遠にその場にとどまるしかないからだ。

もし、自分の人気だけを信じて、あるいはルックスだけを信じて今年の年末授賞式で大きな賞を期待している俳優がいるのなら、この日「ドラマの帝王」が伝えたメッセージを忘れないでほしい。人気より、受賞より重要なのは、自分の限界を認め努力する意志を持つことだ。

そういうわけで、「カン・ヒョンミンさん!あなたはこれ以上“クソ俳優”ではありませんよ」

記者 : パク・チャンウ