「大風水」ユ・ハジュン、絶対役者にはならないと思った“あいつ”

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写真=SBS

SBS「大風水」シンドン役……「妖僧よりは、革命家としての信念にできるだけ従おうとした」

シンドン(高麗時代の僧侶)は、容易ではないキャラクターだった。既にMBC「シンドン」(2005)というドラマで、高麗後期の僧侶の彼の一生を最初から最後まで描いている。ソン・チャンミンのシンドンは、「ハハハ」という笑い声でうめつくされた画像一枚が、ネットユーザーたちの間で愛されたおかげで、相当な期間、人々の記憶に残った。新しいシンドンが必要だった。

「大風水」でシンドン役を演じたユ・ハジュン(34歳)は、「若くハンサムなシンドン」を描きたいという思いからイ・ヨンソク監督に抜擢された。散髪ではなく丸刈りにさせて、聡明で鋭く見えるユ・ハジュンの眼差しを際立たせた。権力と色を欲した妖僧と、改革政治を繰り広げた革命家という相反した歴史的な評価の間では、後者を選んだユ・ハジュンは、「できる限り、シンドンの信念だけに従おうとしました」と話した。

「幼く見えるのが問題でした。無学(ムハク)大師(アン・ギルガン)と友人のように出てきますよね。だから、むしろ反対に力んで感情を高めて演じました。そうやって初めて、アン・ギルガンさんのような高段者に追いつくことができました。奇人のように演じるよりは、まるで道人が人の心の中を見透かすような視線を保つよう意識しました」

写真=SBS

シンドンの死により降板「早く死なせて、申し訳ない」

実はユ・ハジュンは、シンドンが登場する前から人々の印象に残るデビューを果たしている。先日放送された「大風水」メイキングフィルムで、イ・ヨンソク監督から練習が足りないとこっぴどく叱られるシーンがあったからだ。

ユ・ハジュンは、「当時カメラが回っていることも知らなかったが、どうしても放送で流すものだったので、ドラマチックな要素が必要だったようです。僕が経験した全ての撮影現場の中で『大風水』の雰囲気が一番良かったし、実際に監督は、スタッフや俳優たちに一度も怒ったことがないです」と振り返った。

「初めての撮影だったが、武術のやり方が変更されて新しく習得していたところでした。それを知らなかった監督は、僕が練習をしていないと勘違いしたんです。僕も言い訳をする性格ではないので、特に何も言いませんでした。今は監督が、ドラマ撮影用のカメラでない他のカメラが近づくと緊張しています。『ああ、あの時ユ・ハジュンのせいでひどい目に遭ったっけ』と(笑)」

「大風水」が、イ・ソンゲを王にする物語である以上、シンドンは速く消え去るしかない。今月6日放送された第18話でシンドンが死を迎え、降板することになったユ・ハジュンに対し、イ・ヨンソク監督は「早く死なせて申し訳ない。この役を通じて得るものがあったらと思う」という内容のメールを送った。

写真=ARENA

「常に俳優としてチャンスを得ていたが、重要なものは他にある」

短い出演にも関わらず存在感を証明したので、得たものは明らかにあるはずだ。「大風水」にシンドンが登場した次の日、ユ・ハジュンは、ポータルサイトの検索ワードランキングに上がって、関心を集めた。MBCドラマ「ある素敵な日」(2006)の“変態兄さん”とKBS 2TV「王女の男」(2011)のイム・ウンの時もそうだった。インパクトの強いキャラクターは、いつも彼にチャンスを与えた。

毎回“新しい発見”と評価されてきた俳優だが、ユ・ハジュンは来年で演技歴10年目を迎える。その経歴に比べ、フィルモグラフィーは意外とまばらだ。彼は作品を撮っていない空白の時間について、大胆にも「個人の幸せの方が重要だからです」と答えた。

「『ある素敵な日』が終わって、役者として定着できる良い機会がたくさんありました。あちこちからオファーがありましたが、むしろはじけて飛んで行ったようです。他の俳優たちに比べて切迫さがないように見えるかもしれませんが、違う形で表出したいと思います。演技よりは、一人の男としての人生を生きたくて、色々と見聞きしながら回りまわってきました。切迫さが足りないと言われることもありますが、僕には僕個人の幸せも重要なんです」

写真=CJ E&M
ユ・ハジュンは、「掴んだとて掴めるものではない」という持論を持ち、できるだけ自然に“流れて”来た。龍仁(ヨンイン)大学演劇科時代、恥ずかしがり屋の性格のために「あいつは100%俳優にはならない」と言っていた先輩たちの予言は、結局ハズレとなった。だからといって、“ただ流れで”俳優を生業としたわけではない。明らかに彼には、初めて接した演劇で、ガツンと頭を殴られたようなショックを受けた高校生の時の記憶があり、その気持ちに対し、水が流れるようについていったら道が現れた。

そんなユ・ハジュンに、今年、リアルバラエティ「アドレナリン」を通じて体験した“キャンプ”は、うってつけの趣味になった。必ずしも遠くに行かなくても、一人で自転車に乗って漢江(ハンガン)沿いを走り、途中でござでも敷いて一睡してからまた走りだすというのもやはり、彼にとってはキャンプだ。

「大風水」が終わって暇になった年末にも、ユ・ハジュンは友達と一緒にキャンプを計画している。旅行に行きたいと急いで香港行のチケットを予約したが、大統領選挙があるのを思い出して投票するためにキャンセルしたようだ。彼には本当に重要な価値の基準がまた他にあるようだった。

記者 : イ・ヒョンジン