米国が目をそらした米軍犯罪…喚起させたPSYの力

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写真=SBS

人間的に素敵なこの男のパワーを応援する理由

「僕のキャリアに傷が付いても、それは重要ではありません。一番重要なことは、僕が一人の人間として心からそのような言葉を使ったことに対し、深く後悔しているということです」(If it's gonna hurt my career or not, that's not important. The most important thing is that as a human being, I really, fully regret the using of (those) kinds of words)

「江南(カンナム)スタイル」の歌詞をそのままPSY(サイ)に返したいと思う。「昼の間は温かい人間的な男、夜になれば心臓が熱くなる男、そんな二面性を持つ男」くらいでいいのだろうか。人間味があって不正なことには我慢できず、自身がやるべきことだと思ったら憤然と立ち向かう韓国の男としてである。

10日(現地時間)ワシントン・ポストとの現地インタビュー(「A penitent Psy brings 『Gangnam Style』 to Washington」)でPSYはこのように話した。決して行き過ぎた説明や弱腰ではなかった。ただ、一人の人間として、アーティストとして自身が使用した、行き過ぎた言葉への心からの遺憾の表現だった。そして、ワシントン・ポストはPSYの気持ちを刺激的に報道せず、理解に近いレベルの記事を掲載した。一言で説明するなら温かい光景だった。


議論にも「兄さんはクリスマススタイル」

「僕はキャロルでも歌おうとここに来たわけではありません。さあ、皆一緒に踊りましょう。兄さんはクリスマススタイル!サンタベビー!」

10日、PSYは「ワシントンのクリスマス」コンサートの収録を成功裏に終えた。オバマ大統領が馬ダンスを踊るかどうかは重要ではなかった。一部の米メディアが、最近アメリカで起きたPSYの“反米”を巡る議論と関連し、彼のホワイトハウスでの公演に問題を提起したためだ。だが、ホワイトハウスが彼のコンサートを取りやめることはなかった。

これに先立ち、7日にアメリカの一部のメディアが2002年、PSYが反米パフォーマンスとともに「米軍とその家族を殺そう」という内容のラップをしたという内容を報道し、これに対しPSYは即時に“謝罪”と“遺憾”を表明した。これは、米主要メディアによって報道された。一部のメディアは、多数のアメリカ人がPSYのホワイトハウスでの公演を積極的に反対していると主張した。

PSYは「8年前僕が歌った楽曲は、当時世界中に反戦世論が拡散する状況でイラク戦争と韓国人の女子中学生2人が亡くなった事件に対する感情的な反応だった。表現の自由を擁護する人物の一人だが、適切な言葉で適正な水準を守らなければならないことに気づいた。その記事がどういうふうに解釈されるかと考えると、心から申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と真心を込めて解明した。


2002年、女子中学生死亡事件をアメリカに喚起したPSYの力

PSYがワシントン・ポストとのインタビューの途中「I deserve that」という表現を使ったことはかなり印象的だ。「そんな扱いされて当然だ」という言葉で簡潔に気持ちを伝えた彼は「悲しみに対する表現と描写が僕の仕事の一部だと思っても僕が使った特定の言葉は行き過ぎた」とアーティストとして警戒すべきこととして説明する慎重な姿を見せた。また、「8、9年前のことだし、それから僕も年をとってかなり変わった」とも述べた。

ワシントン・ポストのインターネット版は7月「江南民族主義:PSYの反米ラップに驚いてはいけない理由」という記事でPSYの過去のパフォーマンスが太陽政策をはじめとする南北の特殊な関係と民族主義と関連があるという分析を出した。10日のインタビュー記事もPSYのホワイトハウス公演現場とインタビュー、そして議論の前後を説明した企画記事だった。PSYの過去と現在、そして未来まで見通す水準の高い記事だった。

注目すべき点は、米メディアの“PSY議論”の記事の中で2002年、米軍の装甲車によって死亡した女子中学生、ヒョスンとミソンの事件が正確に書いてあるということだ。その当時アメリカ本土で注目されなかった米軍犯罪が10年以上経った2012年、PSYによって取り上げられている。特に、有力紙のワシントン・ポストの7日付記事は米軍に対する敵対感が存在するしかなかった当時の事件の前後の事情を詳しく書いた。PSYが「その当時は、国中が悲しみに沈んでいた」と言ったことの話だ。

PSYの謝罪とこれを受け入れるアメリカの雰囲気が、非常に常識的で成熟したということは言うまでもない。ここに誰にもできなかった不当な米軍犯罪をアメリカで喚起したということは、PSYブームがもたらした外交の成果だと見てもいいのではないか(パン・ギムン国連総長との出会いよりももっとインパクトのある)世界的なスターになったPSYのこれからの歩みが注目されることもこのような彼の力があるためだと思う。そして、PSYは自身の言葉通り「年をとって成熟した」姿を見せている。彼がどこまで伸びていくのかも非常に気になる。

記者 : ハ・ソンテ