「ドラマの帝王」は「彼らが生きる世界」を超えられるか?

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「商業性 vs 人間愛」という共通の題材に「コミカル vs 恋愛」で異なるカラー

SBSの新月火ドラマ「ドラマの帝王」が話題だ。作品性や真心などものともせず、もっぱら本人の欲を満たすために働くアンソニー・キム(キム・ミョンミン)と、純粋な心を持ったサブ脚本家(チョン・リョウォン)が主軸となる。脚本を担当したチャン・ハンジュン監督は「ドラマを作る人々が欲望のために生きているのか、お金のために生きているのか分からない。この人たちのストーリーをドラマにしようと思った」という。

予告編でイ・ゴウンは「あなたみたいなやつがドラマ業界で権力を握るのを、本当に見ていられない」と鬱憤を晴らす。これは、“人間愛”や“真心”は全くなく、もっぱら“視聴率”と“商業性”にだけこだわるドラマ業界の現実に対する脚本家の不満を示したものとも見える。また、イ・ゴウンが“サブ脚本家”であるだけに、自身の名前を掲げた作品を作るためには、長い苦難の歳月を送らなければならない、数多くのサブ脚本家の声を代弁しているようにも見える。

写真=SBS
先月最終回を迎えた月火ドラマ「シンイ-信義-」は、“名物にうまいものなし”ならぬ“名物に恋愛のみあり”と言って良いほど、企画の段階からキム・ジョンハクプロデューサーとソン・ジナ脚本家が言及してきた“国の運命を左右する医師”は最後まで見当たらなかった。また、“100億の制作費”は全部どこにいったのやら、俳優とスタッフに報酬をきちんと支払えない事態まで起きた。このような状況で「シンイ-信義-」のバトンを引き継ぐ「ドラマの帝王」は、「シンイ-信義-」の多少物足りなかった部分を相殺する逆転を見せてくれるのだろうか?

作品性と真心で武装した「彼らが生きる世界」を超えられるか?

2008年10月末から12月まで、似たような時期にKBS 2TVで“ドラマを通じた本当の疎通”を掲げたドラマが放送された。ピョ・ミンスプロデューサーとノ・ヒギョン脚本家の「彼らが生きる世界」がそれだった。「彼らが生きる世界」は、同時間帯に放送されたSBS月火ドラマ「天国の階段」の人気に押され、視聴率においては苦戦したが、今でも「彼らが生きる世界」廃人がいるほど、視聴者に感動と余韻を与えている。

「彼らが生きる世界」と「ドラマの帝王」は、もちろんその表現のコードから明らかな違いがある。「彼らが生きる世界」は、ドラマ制作環境の中での“恋愛”を掲げているが、「ドラマの帝王」は、最初から“コミカル”を掲げている。しかし、“商業性”との“真心”の対決で、“真心”に軍配を上げた「彼らが生きる世界」は、作品性だけは確実に認められた。

「ドラマの帝王」はどんな歩みを見せるだろうか。コミカルさの中で共感と余韻、そして確実な作品性まで認められればこの上なしだが、一般の人々に多少馴染みのないドラマ制作環境をドラマの主な舞台にし、“関係者だけが共感する内容”になるのではないかという懸念も残る。「彼らが生きる世界」と舞台は同じだが、多少異なるコードで人々に近づく「ドラマの帝王」。SBS月火ドラマを“ドラマの帝王”にすることができるか、今後を期待したい。

記者 : ユ・スヨン